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1日にコーヒー4杯で自殺リスクが半減⁉コーヒーと自殺には関係があるのか検証します

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コーヒーを飲むことによって、ある病気になりにくいとの医学論文が多数でてきました。

具体的に1日何杯のコーヒーを飲めば病気予防が可能になり、死亡リスクが減るかについての論文も見受けられます。なかにはコーヒーを1日4杯飲むことによって自殺のリスクが減少するとの医学論文さえ登場しています。

一方でコーヒーを好む人は自殺リスクが高くなる、と真逆の医学論文も存在します。

果たしてコーヒーと自殺リスクの関係はどのようになっているのでしょうか?

コーヒーは体にいいのか、悪いのか、ハッキリしろ!

コーヒーが体に良いとか、悪いとか両極端な研究結果がでていますが,今度はコーヒーを飲むと自殺するリスクが減るという研究論文が出てきました。

コーヒーが体に悪いということはこちらのブログに書きました「死亡リスクがコーヒー1日4杯飲むと高まるって本当?」

それに反するコーヒーが体に良いというブログはこれ「コーヒー1日4杯以上、前立腺がんリスク減❗この前の話と真逆だぞ。」に書きましたが、全く相対する結果が医学では導かれてしまうことが多いのです。

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ここのような研究をする医学分野では疫学と言いますが、ワクチンが効くとか効かないとか、何々を食べると何病のリスクを軽減するとか増やすとか、一般の人は何を信じればいいのでしょうか?実は医療サイドだって次から次と出てくる論文に振り回されてしまっているんです。 特定の因子を持った人と持たない人、ここで因子とかの言葉を使うからまたまた一般の人が理解することができにくくなっていますね。

医師でもよく理解していない人もいるのでご安心ください⋯って訳にはいきませんね。「あんたに健康預けているんだから!あなた医者でしょ❗もっとしっかり勉強しなさいよ!」と患者さんも主治医をガンガンいじめてくださいね。

それによって勉強不足の医師が勉強するようになれば良いことです。不勉強な医師の噂は患者さんの井戸端会議の俎上にのり、勉強不足医師のもとを尋ねる患者さんが減っていくのですから、経済学の原則「神の見えざる手」によって日本の医療も淘汰されていくことが将来を明るい未来に導くのです(ちょっと意味違うかな 笑)。

コーヒーと自殺の関係は?

今回の研究はコーヒーを飲む人と飲まない人が将来的に自殺をしたか、しなかったかを追跡調査したものです。ここで注意しなければいけないのはコーヒーと自殺の因果関係が判った訳ではないということ。

もともと、コーヒーを好む人は嗜好品を選択する遺伝子が自殺をしないように作用する遺伝子を持っているかも知れません。その辺りが因果関係として捉えるとヘンテコな理論を振り回す一派に洗脳?される可能性がありますので要注意です。

あくまでコーヒーの嗜好と自殺に相関関係がある、という結果がでたということです。今回の論文はハーバード大学の人によって発表され「Coffee, caffeine, and risk of completed suicide: Results from three prospective cohorts of American adults.」(World J Biol Psychiatry. 2013 Jul 2.)という題名で掲載されています。

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HPFSと呼ばれる米国で行なわれた男性43,599人を1988年から2008年まで追跡したもの、NHS(女性看護師さん)を対象に1992年から2008年に渡って行なわれた調査対象73820人、さらに1993年から2007年に行なわれたNHSⅡという言う女性91005人を対象にした大きな研究をもとにデータを検討したものです。この人たちに紅茶などのカフェイン飲料、コーヒー、カフェイン抜きのコーヒーのどれを嗜好するかを調べ、分析をしました。

その結果は

  • HPFSで79%、NHSで80%、NHSⅡで71%の人がコーヒーを主なカフェイン源としていた
  • 3つの調査対象のうち277人が自殺していた
  • カフェインありのコーヒーを飲んでいる人の方が自殺のリスクがほぼ半減していた

カフェイン入りのコーヒーを飲んでいる人の方が自殺しない!というものです。

これはコーヒーを飲む人です

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一方、こちらはカフェイン抜きのコーヒーを飲む人です

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健康法として極端な食生活は正しいのでしょうか?

これの結果をもって早まった答えを導いては行けません。カフェインは脳内神経伝達物質を産生することがしられており、この作用が抗鬱効果があるのでは?と考えられています。

しかし、脳内の働きはすべてが解明されている訳ではないので、100%この説が証明されているのではありません。うつ気味の方が周囲にいるからって、決して「コーヒーはうつを抑える効果があるんで、どんどん飲んだ方がいいよ」などの余計なお世話はしないようにしましょう。

今回の調査でもコーヒーを一日2−3杯飲む人と4杯飲む人の間で自殺のリスクに大しては差がなかったのです。

一方、フィンランドの研究では一日に8−9杯コーヒーを飲む人は自殺リスクが高まることが発表されていました。つまり、いくら大規模な調査であるからといって、原因と結果、さらにはその作用機序が明らかにならない限りは「何々を食べると健康になる」とか「何々は体に悪い」と通常の食生活で口にするものを単純に判断することはかなり危険なことを皆さんに知ってもらいたいのです。

ひょっとすると今回の調査でも元々コーヒーを好む傾向の人は図太い神経を持っているかも知れませんし、健康に気を使ってカフェイン抜きのコーヒーを好む人は繊細な神経を持ち合わせているという評価もできます。

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http://ezradew.com/body/caffeine-pros-vs-cons/

しかし、今回の結果が全く無駄になる訳ではないのです。今後、同様の調査を行う場合は前もって、うつ傾向のある人と無い人を別けてから調査を行えば良いというヒントを与えてくれます。 疫学調査で完璧な因果関係を証明する為には、全く同じ遺伝子を持った人を全く同じ環境で生活をしてもらって、一方はコーヒーを、もう一方はカフェイン抜きのコーヒーを飲み続けてもらって数年後のどちらが、どれだけ自殺したか?という実験を行なわなければなりません。

そんなことは不可能ですし、万が一、カフェイン抜きのグループの方が自殺者が多かったら、「以前、カフェイン抜きコーヒーを好む人は自殺者が多いって研究があったのに、こんな研究を行って非人道的だ❗」という非難にさらされる結果にもなりかねません。

今回の論文は医学の疫学調査の解釈の難しさを思い知らされた研究でした。

このブログは2013年12月10日に投稿しましたが、サイトリニューアルに合わせてフォームを統一させました。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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