大流行、季節はずれのインフルエンザ、その理由はこれ⁉

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2019年春、なぜか季節はずれのインフルエンザが流行しています。インフルエンザといえば冬に流行するものである、が常識として受け止められています。しかし、インフルエンザが流行するのは必ずしも冬の季節だけではないことは、意外と知られていません。

季節はずれのインフルエンザ流行、本当に季節はずれなのか?

実は数年前に夏休み明けのインフルエンザが流行したことがあります。

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2009年9月2日朝日新聞「新型インフル拡大 夏休み明けたのに、全国で休校35校」より

2009年のインフルエンザ流行騒動は、今まで流行したことのないH1N1という種類のインフルエンザA型が世界的に蔓延しました。世界中のだーれも今まで感染したことのない種類のインフルエンザであるために、当然免疫を持った人がいない為に大流行しました。

今年2019年の春にインフルエンザが流行る兆候をみせ、メディアが騒がしいようです。

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https://news.yahoo.co.jp/pickup/6321181

季節はずれのインフルエンザ流行に関して、その原因について色々な解説が出回っていますが、いくつか素朴な疑問が浮かんできました。

現在流行中のインフルエンザはB型が多いらしいのですが、B型インフルエンザの場合、症状として熱が出にくいとの話が出回っています。これって本当なのかを昨年検討しました。

大流行中のB型インフルエンザ関連記事、朝日新聞に電凸しました❗その結果は⋯。

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インフルエンザは、A型であろうとB型であろうと症状に変わりはありません。その根拠となる論文を紹介しつつ、高熱出ないB型に注意という正確とは言えない情報に対して注意喚起をしたいと思います。A型でも高熱が出ないことがあるのです。大手メディアの情報とはいえ健康・医療にまつわる情報は特い読む人に正しく伝わっていません。

インフルエンザの型によって症状に違いがある、この話は多分正しい情報ではないと判断しております。

そもそもインフルエンザは冬に流行するものなのか?

インフルエンザが流行する季節は冬である、これは常識とされていますが。これって本当なんでしょうか?冬は寒く免疫力が弱る(これもなんだか怪しい説なんだけどなあ⋯)上に、湿気に弱いインフルエンザウイルスが冬は空気が乾燥する為に死滅しにくいので大流行する、って説明をなんの疑いも無く信じている人も多いかと思われます。

しかし、世界的な視野でインフルエンザ感染を見てみると北半球は夏であっても南半球は当然冬であり、こんな状態になっています。

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WHO influenza update より

これを見る限り、北半球が冬であり、南半球が夏であるにも関わらずインフルエンザ感染者は世界中に満遍なく発生していることがわかります。

つまり、インフルエンザの流行は何も冬限定とは限らない、と言えるのでは無いでしょうか?

もう1つ素朴な疑問があります。インフルエンザウイルスは湿気によって活性を失う、だから空気が乾燥する冬の間はなかなか失活しない為に流行する。

インフルエンザに感染しない為に加湿器をバンバン使用するのも、インフルエンザ対策である、と当然のように受け止められています。しかし、これって本当なんでしょうか?

どう見ても空気が乾燥しているとは言い難い国ではインフルエンザは年中発生しているのです。
東南アジアでは雨期にインフルエンザが流行します。こんな論文があります。

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PMID:23505366

乾燥する季節に流行するはずのインフルエンザが温帯地域では雨期に蔓延していることが明らかになっています。

となると、冬の乾燥した季節に流行することが常識となっているインフルエンザですが、なぜ温暖な、それもどう見ても乾燥しているとは言い難い雨期に東南アジアでは流行するのか、という素朴な疑問が湧き出てきちゃうのです。

結論:インフルエンザは世界規模で考えると年中流行している

基本的には北半球では1ー2月の冬に、南半球では7-8月(南半球の冬)に、そして亜熱帯地域では年間を通じてインフルエンザは流行しています(「Influenza and Other Respiratory Viruses Detected by Influenza-Like Illness Surveillance in Leyte Island, the Philippines, 2010–2013」 PMID:25893441 )。

日本などの北半球に集中しているいわゆる先進国と亜熱帯地域や南半球の国々では衛生環境や医療に対する知識に違いがあることが予想されます。

インフルエンザの感染経路として飛沫感染と接触感染が知られていますが、冬の乾燥した時期にインフルエンザが流行するのは飛沫感染であり、亜熱帯地方で流行するのは接触感染が主なものである、なんて考え方も可能です。さらにインフルエンザ感染に対する最大の防御策としてのワクチン接種率も国々よって違っています。

猛威をふるった2018年ー2019年の季節性インフルエンザです。暖かくなってきた春であっても、インフルエンザウイルスの残党は日本のどこかに潜んでいます。インフルエンザは冬の間は特に気をつけなければなりませんが、実際は一年中棲息していて、海外旅行あるいは旅行者を通じても感染する可能性があるもの、と捉えていて間違いはありません。

残念ながらインフルエンザワクチンは一般の医療機関では既にすっからかんだと思います。いざインフルエンザに感染してもGW中は10連休の医療機関もあるようです。飛沫感染に対するマスクの予防効果は現時点では明確ではありませんが、手洗いは間違いなく感染症の予防となります。

今シーズンのインフルエンザワクチンの効力は常識的に考えて、4月から5月にかけては期待できません。じゃあ、インフルエンザに罹らないようにするにはどうしたら良いのでしょうか?

先ほど床屋さんで仕入れた話ではGW中に家族4人でハワイに行くとのお客さんの場合、エコノミーなのになんと総額250万円❗とのこと。私は家に引きこもって遅れ遅れになっている書籍の原稿書きに専念する予定です。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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