東京都医師会の尾﨑治夫会長が医療現場を大混乱に陥れる可能性のある爆弾発言をしてしまいました。
どこかの医師会の感染症関連理事でさえこのような受け止め方をしています。
本記事の内容
イベルメクチンの服用を東京都医師会が推奨?
都医師会の尾﨑治夫会長が2021年8月13日の緊急記者会見でイベルメクチンというオンコセルカ症の治療薬が感染症に効果がある発言したと受け止められています。
詳細に会見を視聴してみると、イベルメクチンがいま世界中を席巻している感染症に対する治療効果があるだけではなく、感染予防効果もあると受け止められてしかたのない内容です。
しかし、イベルメクチンが現在世界中に拡散している感染症に対して効果があることは論文ベースでは全く認められていないのです。
そこで大慌てで私はこのようなブログ記事を書きました。
しかし、前掲のスクショのように医師であっても、東京都医師会がイベルメクチン服用を推奨しているように受け止められてしまう状況になってしまっています。
イベルメクチンの効果を示した論文は捏造であり既に撤回されている。
これだけ世界中に蔓延していて多数の死亡者を出している感染症ですから、それこそ世界中の医師以外の研究者も血眼で治療薬を模索しています。ひょっとして効果があるんじゃないかと言われつつ消え去った薬も少なくはありませんが、その中の代表例がイベルメクチンなのです。
イベルメクチンが新型コロナ感染症に効果があるのではないかという話は2020年に「Antiviral Research」という医学専門誌に掲載されたこれです。
しかし、この論文は「in vitro」と書かれている試験管内での実験の結果であり、イベルメクチンを人体に投与したものではありません。
この論文がきっかけとなってイベルメクチンの投与を開始した国もあったようですが、思わしい感染抑制効果も感染者に対する治療効果も残念ながら認められていません。
イベルメクチンに関する誤解を招く論文は多く研究によって効果は否定されてます
結論からお伝えします。
イベルメクチンはいくつかの国や医療機関及び医師によって誤って使用されており、この疾患の治療に対する有効性と安全性の科学的証拠はありません❗
世界中が特効薬的なものを求めていて現時点でイベルメクチン関連の臨床データが不均一で信頼性を欠くものであると認識されているため、しっかりしデータを取るために日本の製薬会社がイベルメクチンの治験を開始しようという矢先に都医師会の会長尾崎先生のそそっかしい発言ですから、現場の臨床医は困惑しています。
イベルメクチンの効果を否定した論文の代表はこれ
イベルメクチンが期待されたような効果がないことを伝える論文は多数あります。JAMAという信頼性の高い医学専門誌にもこのような論文が掲載されています。
この論文の結論は
イベルメクチンはプラセボを投与された患者と比較して有意差はありませんでした。
です。つまり全く効果のない偽薬を服用させたグループとイベルメクチンを服用させたグループと比較して効果に差が無い、つまりイベルメクチンを服用する意味がないことを伝えています。
イベルメクチンを製造販売している製薬会社が効果を否定
製薬会社は特効薬を開発すれば多大な利益を得ることができます。世界中が求めている薬を開発したらそれはそれは製薬会社としては大喜びでしょうね。しかし、イベルメクチンに関しては次のようなアナウンスをしています。
もしも効果があり世界中で大ヒット商品間違いない自社の薬を否定したとしたら株主からめちゃくちゃ訴えられる可能性があるのに、イベルメクチンを製造販売している製薬会社自体が現時点では効果を否定しています。
イベルメクチン使用経験を喧伝する医師の問題点
先日テレビで自分はいままでイベルメクチンを積極的に処方して、診ている患者さんの誰一人死亡していない、と豪語しているお医者さんを見かけました。
このお医者さんがイベルメクチンブームに油を注ぐ結果になっていると感じています。この話を聞くには重要なポイントがあります。この先生、そもそも重症化しない軽症の患者さんだけを担当して診察治療しているんじゃないでしょうか?
バイアスかかりまくりの話に振り回されないように注意喚起したいところで、東京都医師会の尾崎会長の無責任発言というさらなる油が大量に注がれてしまいました。
私が所属する目黒区医師会は東京都医師会にもれなく所属し、東京都医師会は日本医師会に所属する組織構成になっています。日本医師会が東京都医師会の尾崎会長の爆弾発言に対してなんらかの対応をしていただけることが誤解を解消するいちばんの手段じゃないかなあ。
関連ブログ。
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