一番人気がカロナールである理由、二番人気のロキソニンとの大きな違い

患者さんが処方薬の中で固有名詞をもっとも知っているのがロキソニンだと考えていたのに、なぜかこの頃はカロナールの処方を希望されることが多くなりました。

カロナールとロキソニンの違いについて解説してみますね。

カロナールの特徴

カロナール(Calonal)は一般名はアセトアミノフェン(Acetaminophen)で、あまり聞き慣れない、あゆみ製薬株式会社が製造販売しています。

カロナールの効果・効能として中枢神経に働きかけることによる解熱鎮痛効果であり、医師の間では特に解熱効果を期待して使用されています。特に小児に対してはカロナールが第一選択薬として考えている医師も多いと思われます。

なぜか最近一般の方も「カロナールを処方してもらえますか?」とおっしゃる方も多いようで、ワクチン接種後の副反応の1つである発熱対策としてカロナールを希望しているんでしょうね。

解熱鎮痛効果といえば医師であろうと一般の方であろうとロキソニンが一番有名なんじゃないかと、考えていたのになぜカロナール>ロキソニンになってしまっているのでしょうか?

ロキソニンの特徴

ロキソニン(Loxonin)の一般名はロキソプロフェンナトリウム(Loxoprofen sodium hydrate)であり、医師の間でも痛み止めと言ったらロキソニン、熱があったらロキソニンと長い間考えられていました。

第一三共の代表的な薬であったロキソニンなのですが、2017年の売上高は365億円であっても前年度比では2.6%減少、2018年の売上高予想も前年度比15%ダウンとかなりの落ち込み様です(参考:https://answers.ten-navi.com/company/12771/)。

なぜ処方薬としてロキソニンは右肩さがりで、カロナールの人気が高まっているのでしょうか?

ロキソニンの人気が急落、カロナールの人気が急上昇の理由はインフルエンザ脳症発症リスク?

インフルエンザ脳症と呼ばれる重篤な疾患があります。インフルエンザ脳症を起こした人が医療機関受診時に解熱剤としてジクロフェナクナトリウムやメフェナム酸を処方されていたと1999年~2001年の調査でわかりました。またそれ以前からインフルエンザの時に解熱剤としてアスピリンを処方されるとライ症候群に為りやすいとの報告もありアスピリンを含む解熱剤の処方を控える医師が多くなっています(現時点ではライ症候群とアスピリンの因果関係は否定的)。

医師がインフルエンザ脳症の発熱対策としてカロナールを積極的に使用する様になったきっかけが上記のような理由であり、日本小児科学会の「インフルエンザ脳炎・脳症における解熱剤の影響について」によって以下のような提言・見解がだされたことが大きいのです。

一般的に頻用されているアセトアミノフェンによる本症の致命率の上昇はなく、インフルエンザに伴う発熱に対して使用するのであればアセトアミノフェンがよいと考える。

日本小児科学会理事会https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=201

詳細については独立行政法人医薬品医療機器総合機構「緊急安全性情報 インフルエンザ脳炎・脳症患者に対するジクロフェナク ナトリウム製剤の使用について」をご参照ください(https://www.pmda.go.jp/files/000148557.pdf)。

ボルタレンに対する緊急安全性情報「イエローレター」

かなり怖い感じの色使いのイエローレターと呼ばれる緊急安全性情報、これを見落とす医師もいないわけじゃない点も怖いかも。

ジクロフェナクナトリウム製剤はボルタレンという商品名の処方箋が必要な解熱鎮痛剤で作用は強いが副作用も多いことで知られています(名前にボルタレンとついた市販薬もありますが、飲み薬では無く形状はテープ、ゲル、ローション、スプレーの4種類)。

ロキソニンが危険であることは伝えられていないのに、なぜカロナールでありロキソニンじゃないのか?不思議に思いますよね。それにはかなり深いけど、単純明快な回答があるのです。

カロナールとロキソニンの大きな違いはこれ!!

両者の違いとして、ロキソニンもカロナールは医師の処方箋が必要な薬である一方で、ロキソニンはドラッグストアで市販薬としても購入可能だけど、カロナールという名前の市販薬が無い点があります。

市販薬として売られているか否か以外にも重大な違いがロキソニンとカロナールにはあります。

そもそもロキソニンは小児の安全性が確認されていない

のです。ロキソニンの添付文書にも「小児等を対象とした臨床試験は実施していない。」と特定の背景を有する患者に関する注意に記載されています。

カロナールの添付文書には効果・効能のところにしっかりと「 小児科領域における解熱・鎮痛」が書かれていますし、日本小児科学会のお墨付きなので小児の発熱時の処方としてはカロナールの一択となっていることが理解できると思います。

ロキソニンだと喘息を起こすからカロナールを処方は間違い

アスピリン喘息と呼ばれる症状があります。アスピリンやアスピリンのように解熱鎮痛作用がある薬を服用することによって喘息発作が誘発されてしまうのです。

いくつかのお医者さんが書いたウェブサイトの解熱剤の記事で「ロキソニンは喘息発作を起こすのでカロナールを処方する」と書かれているのですが、カロナールだって喘息発作を誘発するために添付文書ではアスピリン喘息の人には使用できないことが明記されています。

カロナールはアスピリン喘息のある人には禁忌

カロナール添付文書より

お医者さんが書いた健康関連情報記事って信頼度が高そうに思えるのにこれはマズいよね。

この章を追記しました。カロナールは比較的安全とはいわれているけど、ロキソニンでアスピリン喘息になったことがある人に対してカロナールなら安全とは言い切れないと思います。「禁忌」を破るのは禁忌です。

最終的に発熱時に飲む薬はカロナール?ロキソニン?

ドラッグストアで、「カロナールを下さい」といってもカロナールを購入することはできません。なぜならカロナールは処方箋が必要な処方薬だからです。

一方のロキソニンの場合は「ロキソニンを下さい」と言うと、「ロキソニンS、ロキソニンSプラス、ロキソニンSクイック、ロキソニンSプレミアムのどれですか?貼り薬のロキソニンSテープ、ロキソニンSテープL、ロキソニンSパップ、そして塗り薬だとロキソニンSゲル、ロキソニンSローションaがありますけど」なんてことを言われるかもしれません。

カロナールもドラッグストアで購入できるようにすれば製薬会社の売上は右肩あがりじゃん!!と思ったところでこんなニュースが・・・。

「アセトアミノフェン錠」の自主回収(クラスⅡ)一斉に公表 承認外の製法判明

ミクスオンライン(https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=71732)より。

この記事で問題となっているのはアセトアミノフェン入りの市販薬、ナロン・タイレノール・バファリンルナ等のことではないけどね。

実際に発熱した場合は大人であればロキソニンであってもカロナールであっても大差は無いと考えられます→ 【鎮痛解熱剤 】ロキソニンとカロナールの違い、どっちがいい薬?私は個人的には発熱ならロキソニン、痛みならセレコックスであり、カロナールは解熱も鎮痛も効果はマイルドなので自分では滅多に服用することは無いです、あくまで個人の感想ですけどね。

薬に関する情報ですから、今後内容に大きな影響を与える情報が入ったら記事の変更・加筆・訂正をすることもあります。

執筆者情報

桑満おさむ医師

このブログ記事の筆者:桑満おさむ
Osamu Kuwamitsu, M.D.

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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