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ミニリンメルトは夜間頻尿を減らす効果は抜群、でも使い勝手が悪いかも・・・。

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夜間頻尿の定義は「寝ている間に一回以上おしっこのために起きなければならない状態」です。

夜のお仕事の方は自分が寝ている間におしっこに一回以上起きることになると夜間頻尿と考えても間違いではありません。

熱中症予防の夜間頻尿、秋の夜長の夜間頻尿

英語だと夜間頻尿は「Nocturia」で睡眠途中でおしっこのために起きることを意味しており、別の言葉として「Night time frequency」つまり夜間の就寝から希少までの排尿回数を意味する医学用語もあります。

夜間頻尿ガイドライン

とにかく、寝ている間におしっこのために起きる病態を「夜間頻尿」として話を進めますね。

夜間頻尿によって引き起こされる病気はさまざま

病気や薬が原因で夜間頻尿になってしまうこともあります。一方で夜間頻尿が原因となる病気もあります。例えば骨折。夜に家族を起こさないように電気をつけないでトイレに行こうとすると転倒する可能性があります、寝ぼけてもいるんでさらに転倒しやすい状態ですよね。

夜間頻尿でトイレに起きて骨折してしまった症例は珍しくありません。

ちっちゃい子どもはおねしょしちゃうという方法があります。

おねしょ治療薬として処方されていた薬の効果を大人にためしたらどうなるか、と考えた研究者がいて研究したところ、おねしょの薬が大人の夜間頻尿に効果があることがわかったのです❗

夜間頻尿治療薬「ミニリンメルト」の実力はこれ❗

2020年から今年2021年は非常に治験がやりにくい、また臨床研究も症例が集まりにくい期間です(いつまで続くんだ、この状態)。

私が目にした最近の夜間頻尿治療薬の臨床的に研究した論文は「夜間多尿による夜間頻尿に対する低用量デスモプレシンによる初期治療」(日泌尿会誌112(1):18-24、2021)高齢者を対象としたものです。

低用量デスモプレシンは製品名は「ミニリンメルト」で今までは高用量のミニリンメルトはおねしょ治療薬として重宝していました。

この論文の緒言で夜間頻尿が実際に臨床的に問題となっているのは夜間に2回以上起きることによってQOLが落ちるためであるから、と述べています。私が患者さんに、「夜間頻尿治療の目標は一回、ゼロ回も可能だけど薬が増えちゃうからね」と伝えるのは1回では対してQOLに影響しないことが泌尿器科医は知っているからなんです。

この研究に使用された薬は「ミニリンメルトOD」というデスモプレシンを主成分としたもので、ODは口腔内崩壊錠と呼ばれている服薬に水を必要としない状態の薬です。

OD錠として製剤化された理由は飲み込む薬だと喉にひっかるから夜間頻尿の患者さんの多くは高齢者であることに配慮したものと考えられます。私としてはOD錠は非常にありがたい剤型で、「薬を飲む時に水を飲んだから3回起きちゃったのかなあ」なんて感じの診療時にありがちなことを避けることができる優れた夜間頻尿治療薬だと考えています。

ミニリンメルトOD錠の夜間頻尿に対する効果の結論は夜間頻尿減少した

となっています。グラフと見ると3.5回の夜間頻尿が2.5回程度に減少していることがわかりますよね。

ミニリンメルトで夜間頻尿改善

ちなみにあくまで私の経験としてはミニリンメルトOD錠を処方する時に生活習慣をお尋ねして多飲の傾向や塩分の過剰摂取などを改善して頂ければもっと夜間頻尿は減らせることができます。

副作用がやっかいなミニリンメルトOD錠

ミニリンメルトの本体であるデスモプレシンは抗利尿ホルモンであるバソプレシンから作られた製剤であるために、バソプレシンの働きの場は腎臓で少々悪さをします。腎臓はおしっこ製造工場の役割を人体でおこなっていることは皆さんご存知でしょうけど、バソプレシンつまりミニリンメルトは体内の水分を腎臓で再吸収させることによっておしっこの量自体を少なくします。

わかりやすく言えば利尿剤の逆の働きをするのがミニリンメルトなんです。

ミニリンメルトOD錠最大のリスクは低ナトリウム血症です。

前掲の昭和大学のチームの論文でも低ナトリウム血症は16%出現しており、そのうちの75%はミニリンメルトOD錠投与後1週間で低ナトリウム血症が認められています。

ミニリンメルトOD錠の作用機序から考えれば当然でることもありえる低ナトリウム血症、特に夏場に熱中症予防のために水をガブガブ飲むような方に多く見られるものであり、安全に服薬していただくためには服用開始後一週間後に採血をしてナトリウムの量を確認することが重要となってきます。

副作用を必要以上に恐れることはありません

ミニリンメルトOD錠の副作用である低ナトリウム血症はミニリンメルトの服用を中止すれば元に戻るレベルの副作用であり必要以上に恐れないでくださいね。

前掲の論文中でもその他の副作用も服用中止で全症例が改善していますのでご安心を。

ミニリンメルトの大問題は処方の対象が男性に限られていること

ミニリンメルトには大きな欠陥というか問題があります。

ミニリンメルトは男性しか適応がないのです❗

他の国では女性への処方もOKなのに、なんで日本だけ?

【日本だけ?】夜間頻尿治療薬のミニリンメルトが成人女性には処方できない理由

【日本だけ?】夜間頻尿治療薬のミニリンメルトが成人女性には処方できない理由

ミニリンメルトOD錠は2013年に処方薬となり夜間頻尿で悩む方を救ってきましたが、男性のみ適応なのです。頻尿の悩みは男性よりむしろ女性のが多いと思われがちですが、あまり差はなくて、そもそも男女では頻尿の原因が異なるのです。男性のみ適応の夜間泌尿薬が女性に適応外となる理由を泌尿器科医が解説します。

ミニリンメルトの治験を失敗したなんてことは大きな声でいったら可哀想だけど・・・。とにかく日本でだけ治験に失敗したんです。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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