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おでこにピピッとやるだけの非接触型体温計、その仕組みと正しい使い方

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日々の体調管理の基本は自身の体温を正しく知ること。検温需要が高まっていますが、みなさん、体温毎日測っていますか?

体温計が壊れちゃって⋯電池が切れてて⋯測るたびに違う気がするし⋯と、そんなあなたに体に触れずに一瞬で体温を測定できる体温計のお話です。非接触型の体温計って正確なの?と疑っている方も多いはず。体温を計測できる仕組みと医学的に正しい使い方を解説します。

人の体に触れないで、なぜ体温が測れるのか?

当院ではかなり以前から発熱を訴える患者さんには受付時に、体温測定お願いするときに非接触型体温計を使用してきました。

非接触型体温計は体に触れないで体温測定が可能ですから、衛生面で優れていますし、測定時間も瞬時であることから、便利な医療機関向け体温計と考えていました。

ところが近年、非接触型体温計は一般家庭でも普及しているようです。でも、なんで身体に接触しないで体温が測れるか、その仕組をご存じない方も多いと思われます(実際、非接触型体温計を当院で使い出した当時は患者さんの体に体温計をグイグイと押し当てていたスタッフもいたっけなあ笑)。

seek thermal スマホ用サーマルカメラ

これは当院の入り口付近を監視している赤外線式サーモグラフィカメラの画像です。体温測定には使用できませんが、発熱した患者さんを見つけることは可能です(詳細は後述)。

この画像をSNSに投稿したところ、製品名とどこで買ったのかと医療関係者から複数問い合わせがありました。以前、体温上げて免疫力アップ批判ブログを書くためにこの「シークサーマル」をamazonで購入しました。まさか、これがリアル医療現場で活躍するとは予想もしていませんでした。

医療機関で日常使いしている非接触型体温計の仕組み

通常、当院で使用している非接触型体温計の体温計はこれです。

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プロユースの香りは全くしない、家庭用としてもお使いいただけます。

この非接触型体温計の先端はこのようになっています。この先端から赤外線等が放射されて体温を測定している、と大きな勘違いをしている人がいました(当院のスタッフじゃないよ〜)。

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赤外線は電磁波の一種類であり、すべての物質は赤外線を出していています(電磁波怖い怖いさん、この辺りしっかり理解しているのでしょうか?)。

赤外線は可視光線より波長が長くなっていて肉眼では見ることはできません(遠赤外線も同じ)。

モノは温度が高くなればなるほど強い赤外線を放出しています。非接触型体温計はこの赤外線を測定することによって、体温を測定しているのです。

これらを理系のプロっぽい用語で「放射温度計」と呼びます。実際はモノから放射される赤外線の量が同じであっても、その対象物の素材や表面の状態によって違いがあります。

非接触型体温計は人体の皮膚から放射される赤外線の量から温度を導き出して、体温測定をすることで体温計の役割を果たしているのです。

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当院で使用している非接触型体温計の説明書。

こめかみで測定するものもあるようですが、説明書通り使用しましょうね。

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https://cohoi.tuoitre.vn/detail/5217/149/14/Nhiet-ke-dien-tu-do-tai—tran-Beurer-FT70.html

脇にはさむ体温計、これはこれで意味はあります

体温は測定する身体の部位、年齢でも若干の違いがあることが知られています。

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イージーテム取扱説明書

家で測ってきた体温と当院で測った体温が違う、とのご意見も時々うかがいますが、測定部位以外にも体温は刻々と変化をしています。

多くの方は脇の下で測定すると思います。海外の方は口の中が多いようです。ちなみに手術室では直腸の温度を測定しますけど、家庭用の体温計とはまったくちがう形状のものですから、それを口に入れることはないのでご安心を。

水銀をこぼすと、丸く散らばるを知っているのは水銀体温計世代。いまでは見かけることも稀になった旧式の水銀体温計は測定が長いし、水銀自体現在では使用するべきではない物質なので、今は電子体温計が主流です。

電子体温計にはタイプが2つあります

電子体温計は実測式と予測式の2種類があります。実測式だと電子体温計であっても数分測定に必要となりますが、予測式だと精度に初期の頃は問題がありました。

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テルモ体温研究所(https://www.terumo-taion.jp/temperature/measurement/01.html)

今では20秒足らずで誤差の少ない体温測定が可能となっているので、ご家庭では脇にはさむ式の電子体温計で十分だと思います(使用後は必ず消毒することをお忘れなく)。

サーモグラフィーとよばれるプロっぽい非接触型体温計は日常使いは無理

空港などで、入国者を監視している風景を最近良く見かけますよね。あれはたぶん、当院で使っている「シークサーマル」と同じ仕組みだと予想します。

「シークサーマル」で実際の個々の体温を測定することはありません。というのも、そもそもは工事現場とか作業現場において、異常発熱をしている場所が無いかを調べるために使用されるものだからです。

ざっくりのイメージで説明すると個々の温度を測定することより、周囲と比較して高温になっている場所を探すことを目的として作られています。

楽しい使い方としては森に隠れた野生動物を見つけるとか、が挙げられます。

じゃあ、なんでこれを院内の入口付近や待合室に向けて設置しているかを説明します。

ほとんどの人が通常の体温だとします。その中に発熱している人を見つけることはシークサーマルでも可能です。周囲にいる人を基準温度(基準体温かな)とすると、その正常体温の人の中に発熱している人は明らかに赤く写ります。

院内感染を防ぐことが強く求められている現状として、感染者が院内に入る前にとどまっていただく必要があるので、当院ではこのような対応を行っています。

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ご面倒をおかけしますが、院内に入る前に体温測定(前述の非接触型体温計使用)と手指消毒をお願いしています(発熱者は診察しないということではありません)。ここを「関所」と称した患者さんがいました。

尚、手指消毒はアルコールは苦手、アルコール過敏症の方向けにアルコールが含まれない消毒薬も用意してあります。

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ステリクロンを用意するのはスタッフの提案です。当院のスタッフは医師より懇切丁寧ですが、取扱説明書を読まずに医療機器をいじったりします。

そういえば以前、ウン千万円の医療機器を気軽にマジックリンでシュッシュしたあとに雑巾でゴシゴシ拭いてくれたスタッフがいて、私は卒倒しそうになったことがありました(笑)。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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