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「チンさむ現象」ついに医学的に解明❗エビデンスを付けて証明したよ⁉

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テレビで「人志松本の○○な話」で「股間がふわっとなる」という意味を込めた「チンさむロード」の放送後、チンさむという呼び方が一般的になりました。この「チンさむ現象」ですが、男性に限った現象ではなく女性も感じる現象です。この現象がなぜ起きるのか?を医学的に解明、エビデンスを付けて証明しようという試みの記事です。

この記事の内容を動画で見てみる

「チンさむ」あるいは「タマヒュン」現象を医学的に解明か?

なんとなーく、暗いムードに覆われた日本です。たまには息抜きというか、私のテーマの一つである「素朴な疑問」を理屈っぽく、そして医学的エビデンスを提示しながら、みなさんの疑問にお答えしますね。

「ちんサム」と呼ばれる現象をご存知でしょうか?ジェットコースターに乗ると下半身というか陰部を中心にフワッと、あるいはゾワッとする感覚を一部では「チンさむ」とか「タマヒュン」と呼ばれています。

チンさむといえばジェットコースターの急降下

http://gtavphoto.blog.jp/archives/38551160.html

チンさむは男女共通の現象

このチンさむ現象は男性だけじゃなくて、女性でも経験した方が多数のはずです。

となると「チンさむ」とか「タマヒュン」とかの名称は適切では無いことになります。

ドラマ「JIN−仁−」を観ていていて、女の子(名前はお初ちゃん、だったかな)が仁がつくった紙飛行機を追いかけて土手でころんだ瞬間にお腹に枝が刺さるシーンを目撃しました。女の子がころんだ瞬間に私はチンさむになりました(女の子のお腹に枝がささる前である点がポイントね)。

一緒に見ていた家族(女子)に「ねえ、なんか下半身がゾワッとしなかった」と尋ねると「なるなる、ジェットコースターとかに乗った時のフワッとなるやつね」との問診の回答を得ました。

医学的名称は不明ながら「チンさむ」は男女ともに感じる身体的な現象であり、人類にそなわった身体のメカニズムの一つと確信しました。

そこで、医学知識をフル活動することによって、遂にチンさむ現象を医学的に解明したのであります❗

そもそも人類にある目的でそなわった「チンさむ」のメカニズムはこれ❗

日本人を納得させる論文で一番強力なのは英文の論文を提示することです。ところが「チンさむ」を英語でなんと呼ぶのか、ネイティブの友人複数に質問したのですが要領を得ません。

追記:ドイツ語では「Komisches bauchgefühl」とか「Flau im magen」と言うらしい。

そこで思い出したのが、私の専門領域である泌尿器科医なら知っている挙睾筋反射(英語だと「cremaster muscle reflex」、クレマスター反射)です。

クレマスター反射は太ももの皮膚の表面を刺激すると、挙睾筋(cremaster muscle)が収縮する現象です。挙睾筋は精巣挙筋とも呼ばれ、まさに「タマヒュン」の解剖学的説明の背景である精巣を上に引き上げる作用をもっています。

「タマヒュン」=「チンさむ」であると仮定した場合、ちんサムの医学的な説明としてクレマスター反射は重要なポイントとなります(と、ここで力いっぱい演壇を拳で叩く)。

チンさむ現象解明の歴史的一歩となること間違いなしです(笑)。

そもそも「チンさむ」は人類の進化に多大な貢献をしてきた

人類にとって「チンさむ」は重要なメカニズムです。クレマスター反射は男性にとって急所である精巣を攻撃や衝撃や事故から守るために、自分の意志とは別に作動する「反射」の一つです。

万が一、精巣にダメージを負うと痛いだけではなく、下手すりゃ子孫を残すことが困難になってしまいます。精巣を外的攻撃から守るために「チンさむ」が起こり、私たち人類はいまここに存在していると言っても過言ではありません(たぶん、過言だけどね)。

となると、男性特有の臓器である精巣を守ることが目的のちんサムが女性でも観察できることは理論的に整合性が無く、学会等で発表しようが、論文を投稿しようがメチャ批判を浴びる可能性があります。

でも、見つけちゃったんだよねえ、女性のチンさむを説明できる医学論文を。さらに私が実際に精巣にダメージを受ける前にチンさむ現象が現れたドラマ「JIN−仁−」を観ていた際に経験したこともねえ。

チンさむを医学論文のエビデンスを添えて解明したぞ〜❗

世界中の医学論文を検索することができる「The National Center for Biotechnology Information advances science and health」(略してNCBI)が運営しているubMedという便利なサイトがあります。そこでこれを見つけました。

画像

(PMID: 30020720)

正確にはこれは医学論文というよりは医療関係者に正しい医療情報を提供するサイトが医学論文を引用して解説する「Stat Pearls」に掲載されていたものです。

クレマスター反射は表在性反射の一つであり、太ももの内側を撫でることによって誘発される。

クレマスター反射によって、精巣挙筋が収縮し、精巣が引き上げられる。

まさに「タマヒュン」」ですね。

この教科書的な記述は女性にも同様の反射があることを記載しています。

A female counterpart of the cremasteric reflex is the Geigel reflex. In the female, it involves the contraction of muscle fibers along the upper part of the Poupart or inguinal ligament and is sometimes called the inguinal reflex.

女性の場合はthe Geigel reflex(ガイゲル反射?かな読み方は)によって鼠径靭帯に沿った筋繊維が収縮する。

ありゃりゃ、ガイゲル反射って初めて知った。これは各自で調べるようにお願いしますね。

これで女性であっても「チンさむ」現象が起こりうることが証明されました、と強引に話を進めます。

一番の問題は実際に精巣や陰部がダメージを受けなくても、視覚で危なっかしい状況を予測した場合にちんサムが起きてしまうメカニズムの解明です。

この難問もこの教科書的記載は解決してくれます。

For the cremasteric reflex, the sensory signal has to ascend the cord to the brain before descending again to reach the motor neurons.

クレマスター反射は下降して運動ニューロンに到達する前に脳までシグナルを送る必要があります。

つまり、チンさむを起こすクレマスター反射は一般的には腰椎レベルで起きる反射と考えられていましたが、脳とも強い関連性があるのです。

ってことは、視覚から情報が脳に伝わり、「危ない」とか「怖っ」と脳が判定すると、クレマスター反射が起きうるとも考えら得ます。

錐体路と呼ばれる運動野と脊髄の運動神経を刺激するシステムが人体には備わっています。錐体路の司令塔は脳であると考えられていて、例えば錐体路に障害がおこると運動麻痺が生じます。

臨床泌尿器科 64巻4号 (2010年4月)では、挙睾筋反射(クレマスター反射)は錐体路に障害があると消失する、との記載もあるので、視覚からの刺激によって「チンさむ」が起きているとの私の妄想的仮説もあながち大外れでもなさそうです。

私が家族と「JIN−仁−」を観ていて、私も家族(女性)も「危ない」のあと「怖い場面がでるぞ」と予想した時点でチンさむになったことを今回の私のエビデンス付きの解説で十分に納得いただけたのではないでしょうか?

おまけ:赤ちゃんの健診でも行われるパラシュート反射について

パラシュート反射という現象があります。赤ちゃんの健診でも行われるもので、赤ちゃんを立たせた状態や腹ばいの状態で上から下に頭を床に近づけると、赤ちゃんは体を支える、あるいは頭部を守るために手や腕を伸ばします。人類がまだお猿さん状態だった時に木から落ちることによって身体にダメージを受けないように備わった反射である、との説明をどこかで読んだ記憶があります(真偽は不明)。

クレマスター反射も、木にしがみついていたお猿さんが、木から滑り落ちた時に太ももの内側に刺激がおきることによって精巣にダメージを受けないように備わった反射じゃないかとの仮説を立てています。たぶん、これを支持する科学系論文はいまのところありませんので、だれか動物学者の方でテーマとして研究してくれないかなあ⋯。

注意:このブログに関してのご質問や反論は緊急事態宣言が発令されている期間は受け付けないことをご了承くださいませ(笑)。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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