怪しすぎるO-リングテスト、究極のトンデモ系ニセ医学臭がぷんぷん。

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医療従事者にも信奉している人が少なからず存在しているOリングテスト。

今回、ムック本『「Oーリングテスト」超健康レッスン―病気を予防し、若さを取り戻す』大村 恵昭 (著) を入手しましたので、改めてOリングテストのニセ医学っぷりを詳しく検証させていただきます。Oリングテストを導入している医療従事者は医師に限らず、歯医者・鍼灸師・獣医師・薬剤師にまで広がっています。

医療機関を選ぶのはあなたです。

認定医師までいるO-リングテストと呼ばれるトンデモ医学を知っていますか?

私がO-リングテストを知ったのは、10数年前のある出来事です。友人から「桑満、やっべー医者、雇っちゃったよ〜」と電話がありました。

どのくらいヤバいかというと、そのおじいちゃん医師は患者さんの治療をした後に必ず波動を送るのだそうです。

さらにおじいちゃん医師が診断に使う検査方法がO-リングテストだったのです。

興味津々でそのおじいちゃん医師にお会いしたところ、自分はエリザベス女王の日本における主治医であり、1975年にエリザベス女王が来日した時に、晩餐会の後で体調が悪くなったため呼び出されて応急手当をしたと、ご自慢気に話されました。

当然、私は友人に「ありゃ、ヤバすぎ」と伝えました。

たぶん、そのような傾向がある医療関係者に愛されるOリングテストと呼ばれる検査方法・診断方法についてその後の私なりの検証をお伝えしますね。

O-リングテストの第一報はこれです。

Oリングテストで「がん」を見つけてCEAT療法で治療⁉なんだこれ??

Oリングテストで「がん」を見つけてCEAT療法で治療⁉なんだこれ??

癌活性消滅療法学会CEATという一般社団法人が存在し、CEAT療法という「がん治療」を実際に行なっている医師がいるわけですから、万人向けではないにせよ少なくとも治る人・治った人がいるはずと思うのは仕方のないことです。治療は医師が一方的に行うものではなく双方がきちんと理解していることが理想です。

どうみても変、右から見ても左から見てもトンデモ臭がぷんぷん。

O-リングテストは正式には「Bi-Digital O-Ring Test」(バイ・デジタルO-リングテスト。ゼロじゃなくて、オーね)と主宰者は命名していおります。

オーリングテスト入門とレッスン本

今回は念願かなって「Oーリングテスト 超健康レッスン―病気を予防し、若さを取り戻す (別冊すてきな奥さん) 」を入手したので、トンデモ系医学の典型であるOーリングテストを簡単にご紹介します。

大村恵昭医師が発明したO-リングテスト、これってオリジナルなの?

O-リングテストの開発者(ご本人は著作で発明したと書いています)は大村恵昭さんです。この大村恵昭さんの肩書は医師となっています。

さらに出身大学は私の母校である横浜市立大学らしいのですが、同窓会名簿のチェックはしませんでした、だって医籍登録していないんだもん。

著作の経歴によればニューヨーク医科大学の非常勤教授、ウクライナ国立キエフ医科大学ノンオーソドックス医学科教授等を歴任しています(ノンオーソドックス医学科ってなんじゃ?)。

アプライドキネシオロジー (applied kinesiology) と呼ばれる一部の代替医療治療家が採用している診断方法があります(厳密には医師以外は診断してはいけないのですが、今は不問とします)。

この診断方法は1960年代にジョージ・グッドハート(George Goodheart)というカイロプラクターが考案しました。

大村恵昭医師(?)は2008年発行の今回俎上に載せた本ではO-リングテストの原理を発見して30年以上になると述べられています。時系列から2008年発行された著作なので、アプライドキネシオロジーにインスパイアされたか、強い影響を受けたことが大いに予想されます。

ちなみにO-リングテストのオリジナルとも言えるアプライドキネシオロジーに関して、オハイオ大学は「THE PSYCHOLOGY OF EXTRAORDINARY BELIEFS」(https://u.osu.edu/vanzandt/2018/04/18/applied-kinesiology/)で「有効性を証明する研究が欠如している代替医療の多くの異なるタイプの1つにすぎません。」と辛辣に評価しています。

O-リングテストは特許を取得していることをウリにしています。いままでも特許を取っていたとしても、それが実際に人体に良い働きをするか否かの指標にはならないことを何回かブログにしました。

O-リングテストの特許は米国で確かに「US5188107A Bi-digital O-ring test for imaging and diagnosis of internal organs of a patient」として取得されています。

しかし、医療診断の目的で患者の内臓を画像化する方法として、O-リングテストの特許を与えてしまう米国は太っ腹です。こんな簡単な説明で特許がとれちゃうのですから。

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「Bi-digital O-ring test for imaging and diagnosis of internal organs of a patient」

(https://patents.google.com/patent/US5188107A/en)より

指の輪が開くことで、早期がんも発見しちゃうO-リングテスト

今回の著作ではテロメアの説明が長々書かれているのですが、端折りますね。

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https://www.ibo3a.com.br/2016/wp-content/uploads/2017/09/12-Ozonioterapia-na-Medicina-Humana-pelo-Bi-Digital-O-Ring-Test-Wendy-Falzoni.pdf

被験者が親指と人指し指で「O」のかたちをつくり、もう一方の手で調べたい薬や食品に触れます。検査する人は被験者の指を上図のように引っ張って、指が開けば有害(マイナス)、指が開かなければ身体に良い(プラス)と診断・判定するのがO-リングテストの基本です。

O-リングテストは早期のがんを発見するだけではなく、食べ物や衣服やアクセサリーが自分の身体に合っているのかまでも、診断できるそーです。

O-リングテストを行いながら、調べたいものにご自分の指先を近づけるだけで簡単に自分にとってプラスの食材なのか、マイナスの食材なのか判ってしまうようです。

でもさあ、これって変じゃないの???

お米が自分に合っているかを調べる方法が書かれているけど(p49) 、袋に入ったままのお米じゃあ、袋の素材に反応することは無いのかねえ⋯。

指を袋から離してテストすると、袋のほうのプラス・マイナスが反応することがあります。

と書かれています。つまり検査する対象(ここでは米)にしっかり指を当てろ、ということですね。

これって、そもそものO-リングテストの原理に反するのではないでしょうか?

「超初心者のためのO-リングテスト」の基礎編1で、O-リングテストの原理として有害なものに触れた場合、脳が触れたものを有害と判断することによって、指でつくったO-リングが開く、って書いてあるじゃん(p14-15)。

しっかり指先が触れているのは、お米じゃなくて袋なんだから、百歩譲って袋が有害か無害かを判断するなら理解できるけど。

繰り返すけど、自分にとってプラス・マイナスを判定するなら指先で対象物に触れることがO-リングテストの基本中の基本なんでしたよね。

じゃあ、なんで米の袋だけは指を離してテストするのよ〜っ❗なんで米は直接触れないで袋の上からでいいいのよ〜っ❗

つまり、O-リングテストの原理の説明自体が支離滅裂なのです。

O-リングテストは電磁波の影響を受けやすい???

広い世の中には必要以上に電磁波を忌避する「電磁波怖い怖いさん」がいます。そもそも電磁波から全くフリーな環境で生活することは無理です。

光だって電磁波の一種類ですし、いまや世界中Wi-Fiが飛びまくっていますよね、Wi-FiもGPSも電磁波を発生させていますし、電車のモーターなんてめちゃくちゃ電磁波を出していますから。

O-リングテストを行う時の注意として、装飾品をはずしましょう、テスト中に足を組んでダメ、などとともに、電磁波の影響を受けないようにしましょう、と書かれています(p24) 。

でもさあ、O-リングテスト認定医を紹介するページ(p75-88)には多数のO-リングテストを実際の診療で使用している医師や歯科医師が紹介されているよねえ、この医師達のクリニックって電磁波フリーなの?

本当にこれらの医師や歯科医師のクリニックが電磁波の影響を受けない空間だとしたら、かなり危なっかしいクリニックってことになっちゃいますよね。

だって医療機関で使用する診断機器や治療機器は当然電磁波を出していますから。

まだまだ大量にヘンテコな記載のあるO-リングテスト指南書

まっとうな医師なら疑問を抱く点が大量山盛りにあるO-リングテストです。画像等を添えてO-リングテストのヘンテコさやトンデモ度をお伝えしたいのですが、画像やイラストを転載することは著作権等に抵触してしまうので、詳細な状況がお伝えできなくて残念です。

画像

https://www.ailsasargent.com/tests-and-analysis
こんな感じで白衣を着た医師がもっともらしくO-リングテストを行っていたり、

画像

https://www.ailsasargent.com/tests-and-analysis

患者さんと医師の間にアシスタントを入れちゃうと、二人で行うO-リングテストより、めちゃくちゃバイアスかかると思うんだけどなあ⋯。

列記したら本一冊書けるくらい、まだまだトンデモというか、限りなくニセ医学と思われる記述が多数あります。

今回はこの辺りで止めておきますね(なんとなーく、信奉者から抗議の電話やメール等をいただく予感がしますので)。

おまけ

O-リングテストの元ネタともいえるアプライドキネシオロジー。すごい面々がそろった疑似科学を検証する集団であるASIOSによる「謎解き超科学」(彩図社)の中で、私が尊敬する翻訳家のナカイサヤカさんが担当した章によると2003年にニュージーランドである医師が医師免許取り消しになったことが伝えられています(p266) 。医師免許取り消しなった原因の一つはアプライドキネシオロジーを診断に使ったことだったようです。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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