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「テラハ」又来綾さん、ボトックスの副作用で入院!こんなことあるのかなあ???

当院は過活動膀胱の治療として保険適応となったボトックスの膀胱内注入を行っていると共に、美容部門では保険は効かないけど20年近くボトックス治療を行っています。

こんな記事を見かけました。「ボトックス注射後の壮絶な入院経験告白 プチ整形の副作用に注意喚起」

ボトックスの副作用で入院

https://mdpr.jp/news/detail/2598215

このようなことがありえるのか、多角的に検証してみます。

ボトックスの副作用で入院することはあるのか?

プチ整形や美容皮膚科がある程度一般に受け入れられた大きな要因の一つとして、注射するだけでシワの目立たなくするボトックス治療の普及があると考えています。

一見簡単そうに見えるボトックスを注射して主に顔のシワを改善する方法は担当医が顔面の解剖学的な知識がプアーであったり、テクニカルな熟練度が結果を大きく左右することを以前からお伝えしています。

ところで「ボトックス」はアラガン社とグラクソ・スミスクライン社のA型ボツリヌス毒素製剤の商品名であり、アラガン社のものは美容に使用され、グラクソ・スミスクライン社のものは保険適用されるものであるという複雑なことになっています。

前掲の記事中の「ボトックス」が果たしてアラガン社のものであるのか、あるいは多数世の中に出回っているA型ボツリヌス毒素製剤をボトックスと呼んでしまっているのかは明確では無い点に注意をして読み進めてくださいね。

ボトックスをエラ治療や小顔治療には使うことは認められていないけど。

医薬品インタビューフォーム」というものが公表されます。

記事に登場する方の場合、ボトックスは小顔目的で咬筋(こうきん)にボトックスを注射したようです(巷ではエラボトックスとか小顔ボトックスと呼ばれているらしい)。美容に使われるボトックスはアラガン社のものだけであり、正確には「ボトックスビスタ(BOTOX Vista )」との名称で厚生労働省の承認を得ています。

実はボトックスビスタは健康保険が効かないとはいえ、注射できる部位が限定されているのです。厚生労働省が承認したボトックスビスタの適用部位は、

  • 眉間の表情皺
  • 目尻の表情皺

の2ヶ所だけであり、記事中にあるエラを改善して小顔にするために使用することは厚生労働省は認めていません。

となると、記事で取り上げられた方に使用されたものはボトックスビスタでは無いはずです。じゃあ、グラクソ・スミスクラインのボトックスじゃないの、とも考えられますけど、こちらのボトックスは美容目的の使用は全く認められていません。

ボトックスが有名になることで、製品イメージが崩れることもある典型例

ボトックスおよびボトックスビスタは商品名であり、厚生労働省の厳しいチェックによって決まった部位だけに使用が可能です。しかし、シワ治療や筋肉のこわばりに効果的なA型ボツリヌス毒素を主要成分とした注射薬が有名になるにつれて世界中で複数の製薬会社が別名で販売しており、これらの製剤も「ボトックス」と呼ばれてしまっているのが現状です。

本当はボトックスじゃ無いのに、ボトックスって説明してしまう医師もいるかも知れないしね。

ボトックスがきっかけかもしれないけど因果関係は無さそう

記事の見出しに大注目で読み進めましが、どうもボトックス注射が原因で入院に至ったワケでは無さそうです。もしも今回の喉の違和感に続く入院の詳細は以下のようになっています。

脳の髄液を抜く検査をしたところ、検査の副作用で頭痛と吐き気が止まらなくなったといい、「3日経っても治らず起き上がることも、ご飯を食べる事もできなくなり大学病院に入院になりました」と入院。

https://mdpr.jp/news/detail/2598215

なんかヘンテコな文章ですけど、原文通りです(苦笑)。

もしもボトックスビスタを使用して、このようなことが起きたのであればボトックスの市販後調査の報告書である「医薬品インタビューフォーム」に記載されているはずなのですが⋯見当たりません。

ボトックスではないボツリヌス毒素製剤を美容的観点から首に使用することがあります。あまりに深く注射し過ぎたり量が多過ぎたら理論的には嚥下障害が出るには出るのですけど、小顔ボトックスでそのような例は調べた限りでは文献を見つけることはできませんでした。

それにしてもボトックスを販売しているアラガン社は大人になったものです。

ボトックスと名乗れる製剤はアラガン社のボトックスビスタとグラクソ・スミスクラインのボトックスだけである点に注意が必要でざっくり整理すると以下のようになります。

  • ボトックスビスタは美容用で使用できる部位が厳密に決められていて、健康保険ではカバーできません。
  • ボトックスは保険適用できるものですが、適応される疾患が限られています。

ボトックスと同等の効果を発揮するA 型ボツリヌス毒素製剤は多数ありますが、自由診療で使用されるものであり医師の責任のもと並行輸入という形で副作用等があった場合は医師の責任になります。

気軽に「ボトックス注射後の壮絶な入院経験告白 プチ整形の副作用に注意喚起」なんて感じの見出しをつけてしまっても、抗議をしないアラガン社はかなり大人の対応ができるようになった気がします。だって私は以前こんなことをキッカケとしてアラガンと大揉めしましたので。

modelpress編集部の方、アラガン社からそのうちお手紙が届くかもよ(笑)。

執筆者情報

桑満おさむ医師

このブログ記事の筆者:桑満おさむ
Osamu Kuwamitsu, M.D.

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

詳しいプロフィール

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