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舐めてはいけない「寝ゲロ」。寝ゲロの原因と予防法、そして遭遇したときの対処方法。

お酒を飲みすぎると、なぜ吐いてしまうのか?というそもそもの話が気になってきました。さらに私は個人的には寝ゲロはしたことは無いのですが、長い人生で寝ゲロに遭遇したことは一度や二度ではありません。寝ゲロは窒息の可能性があり、死に至ることさえあります。

医師である私が寝ゲロに遭遇したときの対処方法を思い出しつつ、寝ゲロの原因や正しい寝ゲロの対処法、寝ゲロ防止方法などなどについて考えてみます。寝ゲロは回避できるトラブルです!!

寝ゲロの発症率、つまり寝ゲロを経験した人の割合はどのくらいなんだろう?

お酒を飲みすぎると吐いてしまいます。私はここ数年は禁酒生活を送っているので、朝っぱらからムカムカしてトイレに駆け込むイメージさえ薄れてきています。深酒で眠った(本当は昏睡?)状態で嘔吐、つまり吐いてしまうことを、「寝ゲロ」って呼びますよね。

寝ながらゲロを吐く、これを寝ゲロと呼ぶのですが寝ゲロ経験者数の詳細なデータは医学系データベースや公的機関、例えば消防署のデータでも見つけることはできませんでした。

データの信頼度に関してはかなり不安であっても、私が唯一見つけられた大規模調査(笑)はこれです。

「セキララ ゼクシィ お酒の飲みすぎでやってしまったランキング」(https://zexy.net/contents/lovenews/article.php?d=20180524)によると、「吐いてしまった」と回答した人の割合は44%。症例として

「吐いてぐったりしてしまいしばらくトイレから出られなくなり、心配してくれた上司2人に両肩を担がれて家まで送ってもらいました」(26歳)

なんてことが書かれていますので、トイレで寝ていた可能性もありますね。また、「記憶がなくなった」と回答している割合も22%になっていますので、記憶が無くなった=寝てしまった、と強引な解釈も成り立ちます。

約半数の人がお酒の飲みすぎで吐いてしまって、5人に1人は記憶が無くなってしまったことを考えると、寝ゲロは稀な状況であるとは言い難い、つまり寝ゲロは多くの人が目撃したか、あるいは自分自身が経験していることが考えられます。

寝ゲロの疫学

過度な飲酒は急性アルコール中毒を引き起こします。この急性アルコール中毒の1つの症状として嘔吐があり、さらに昏睡も症状の1つです。急性アルコール中毒は英語では「acute alcohol intoxication」と呼ばれ多くの医学系論文が存在します。例えばもろタイトルが「Acute alcohol intoxication」(PMID: 19046719)によれば、さまざまな臓器が関連したものであり、臨床症状は複雑であることが記載されています。

ここで1つ重要なことは急性アルコール中毒は全身状態に対して慎重な治療観察が必要となるため、多くの医療機関では救急救命部が治療に当たることです。

寝ゲロは急性アルコール中毒の症状のうち、「昏睡」と「嘔吐」が合併した状態です。EMS WORLD(https://www.emsworld.com/article/11305965/acute-alcohol-poisoning)によれば、急性アルコール中毒の原因は「暴飲」であり、18〜34歳が暴飲してしまう年齢層である一方で、65歳以上の暴飲者は頻回に暴飲をする傾向があることを報告してます。

これらのデータから寝ゲロの好発年齢は18〜34歳と65歳以上の二峰性になることが予想されます。飲酒が原因の寝ゲロに至る過程としては

陶酔感 → 社会的抑制の低下 → 嘔吐 → 神経系の抑制により昏睡

となっていますので、寝てしまう前に嘔吐することが一般的であり、この経過の順序が正しい場合は寝ゲロは起きにくいことになってしまいます。

でも、感覚的に寝ゲロは頻回に身の回りで起きているようなイメージはありませんか?少なくとも、私は寝ゲロを目撃したことは1回や2回ではありません(繰り返すけど自分は経験したこと無いよ)。

寝ゲロに遭遇したときの対処方法

ノロウイルスに感染した場合も寝ゲロが起きる可能性はあります。私も子供の頃熱をだすと必ず枕元の洗面器が用意されていたことを記憶しています。ちっちゃい子の場合、普通の風邪を引いて熱を出しただけで吐いちゃう場合もあります。今回はある意味では自己責任とも言える飲酒が原因の寝ゲロに話を絞ります。

寝ゲロで一番注意することは、窒息です。ジャニス・ジョプリンの死因は薬物の過剰摂取と言われていましたし、ジミ・ヘンドリックスの死因も薬物の過剰摂取と言われていました。しかし、近年の研究によってジャニス・ジョプリンもジミヘンも直接の死因は寝ゲロだと言われだしています(諸説あり)。時代の寵児であったロック歌手の死因が寝ゲロであることにはちょっとがっかりしますけど。

寝ゲロの遭遇した時にまず行うことは、まずは回復体位をとることです。

https://soka-yashio119.jp/kyukyu/kega/kaifuku.html

※私がいちばん大切なことは、一般の方がまず行うことは「第三者を呼ぶ」「応援を求める」だと強く考えています。

次に行うことは意識レベルの確認と気道の確保です。呼びかけに対して意識状態を調べるジャバン・コーマ・スケール(JCS)の30(痛み刺激と呼びかけを繰り返すと、かろうじて開限する状態)であれば即救急車を呼んでください。

また、酔っぱらいの場合、転倒などによって外傷があることも少なく有りません。泥酔時の転倒は重症化するリスクが高くなるので、その場合も救急車を呼んでください。

さらに寝ゲロ状態でなくてもリスキーな場合があります。例えばこのイラストのような状態。

https://vitals.lifehacker.com/is-your-friend-sleep-it-off-drunk-or-call-911-drunk-1725380214

座った姿勢でも吐瀉物を喉につまらせている可能性もあります。

とにかく今は寝ゲロを回避しましょう!!

今回は飲酒を伴う寝ゲロについて述べてきました。寝ゲロを避ける一番の方法は飲みすぎないこと。当たり前のことですが、当たり前とは言えない環境を現在の日本は覆われています。

胃の動きが悪くなりつつ、過度の胃酸が分泌される逆流性食道炎や胃食道逆流症(Gastro Esophageal Reflux Disease 略してGERD)と診断される人が右肩上がりで急増しています。さらに日本ではうつ病と診断される人も右肩上がり。GERDだと胸焼けや胃もたれの症状が出ますし、うつ病の薬のほとんどがアルコールとの併用に関しては注意が必要とされています。

2020年以来、社会的に不安な状況が継続しており、外出自粛に伴い、家飲み派が増えているようです。沈んだ心理状態において薬を服用しつつ深酒をしてしまうと、寝ゲロのリスクは当然高まります。一人暮らしの人は寝ゲロを発見してもらえない可能性もありますし、家族や友人が居合わせても、現在どこの救急病院も大忙しです。

飲酒に伴う寝ゲロ、平常時なら笑い話で終わることも多いかもしれません。しかし、今の日本では自分自身が死んでしまう可能性もありますし、救命するためには多くの人々に面倒を掛けてしまいます。

新年第一発目のブログ記事のお題「寝ゲロ」を笑えるブログにしようと試みたのですが、無理でした。

著者情報

桑満おさむ医師

このブログ記事の著者:桑満おさむ
Osamu Kuwamitsu, M.D.

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

詳しいプロフィール

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