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トンデモ医学は偽書との類似点がてんこ盛り‼

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トンデモはかなり広い領域に拡がっています。

私が医学以外で好きなジャンルは歴史であり、歴史分野のトンデモといえば「偽書」です。

トンデモ医学と偽書の深い関係

偽書ぎしょの定義に関しては論争があるとはいえ、間違いなくインチキ文書と考えるのが正解である「東日流外三郡誌(つがるそとさんぐんし)」があります。

東日流外三郡誌に関しては肯定派の元昭和薬科大学教授である古田武彦氏の書籍も読みましたし、否定派の元産能大学教授の安本美典氏および歴史家の原田実氏の書籍も貪り読みました。

東日流外三郡誌の総論的な「戦後最大の偽書事件『東日流外三郡誌』」(斉藤光政著 集英社文庫)を読んでいたところ、なぜトンデモ医学が流布し、それを信奉する人々が大量に発生してしまうのかが理解できる記述があったので、トンデモ医学と偽書流布の類似点を述べさせていただきます。

ほんちゃんの医学者がトンデモ医学に関して批評をしない理由

トンデモ医学をいじりながら批判している私ですが、医学界の権威と考えられている人々は、「トンデモ医学って何?」という態度であることにじれったい気持ちでいっぱいです。

私のような在野のいち町医者風情がニセ医学を批判したところで大きな影響力はありません。

前掲の「戦後最大の偽書事件『東日流外三郡誌』」にこんな記述があります。

真っ当な研究者が東日流外三郡誌に関してコメントさえもしない理由として

その答えは簡単です。学問として取り組むに値しないものだったからです。研究者にとって、東日流外三郡誌とはそんなレベルのしろものなのです。

P326

とのことです。医学の研究者も同じなんじゃないでしょうか?限られた時間で自分で決めた、あるいはボスから指示された研究の結果を出すためにはトンデモ医学なんて関わるのは時間の無駄であり、研究者たちの知識からすれば、取り組むに値しないものでなんですね。

研究の対象にも値しないトンデモ医学

以前それはそれは外科系ではビッグショットと考えられている友人の○○教授に、「リーキーガット症候群ってトンデモ系ニセ医学があるんだけど、論文見た?」と同窓会で話したことがあります。

「そもそもwhat is リーキーガット症候群?なんだよ」と〇〇教授の回答。同じようなことが「戦後最大の偽書事件『東日流外三郡誌』」にも出てきます。

研究して史料としての利用価値があると判断されるものならば、もちろん時間を割いて研究し(略)自分たちの研究で一度もそれを史料として利用しないことが、学者としての立場の表明となっているのである

P328

真っ当な医学からすればトンデモ系ニセ医学は目にも入らないし、もしも見かけても黙殺するのが常識なのです。

リーキーガットについてはこれらをどーぞ。

ケミカルフリーさま、英国王立化学会に挑戦しているのでしょうか?

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ケミカルであるものは体に悪いと思い込み、ケミカルフリーな生活を実践されている方々がいます。化学物質つまり天然でないものを体内に入れることを恐れ自然にあるもののみで生活することが健康的という考えのようですが、天然=安全という前提が間違いです。完璧なケミカルフリーな生活を送るにはまず人工呼吸器が必要ですね。

Facebookの健康医学情報、意識高い系の人がマウントする場になっている模様。

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SNSで医師だったら笑い飛ばすような健康医学情報でも、ありがたがって「シェアさせていただきます」とする残念なケースが目につきます。特にFacebook上では、海外在住の日本人による「日本って遅れているのよね!」に押し切られてしまい、自分でその指摘されたことの真偽を確かめようとしません。特に年配者に多い傾向です。

医学論文を多数提示してもトンデモはトンデモ〜グルテンフリー神話を読み解く (2/3) 〜

医学論文を多数提示してもトンデモはトンデモ〜グルテンフリー神話を読み解く (2/3) 〜

ちょっとハイクラスなスーパーにいくと、グルテンフリーを売りにした商品が多数陳列されています。いっときのブームは終わり定番に?でもグルテンフリーでダイエットできるとか健康になるとか主張する人たちがドヤって紹介している医学系の論文やら医学用語は、トンデモのオンパレードなんです。根拠なくてもグルテンフリー続けますか?

まだまだ書いたような記憶があるけど(笑)

ニセ医学も偽書もターゲットはインテリ?

なぜ正統的な医学からかけ離れたトンデモが一般人を侵食して、治る病気さえ治らない、治す機会損失につながるような自体になってしまっているのでしょうか?

前掲の著書ではテレビや雑誌や新聞などのメディアの影響力の強さについて触れています。偽書を信じてしまう人々は選民思想があり、一般人の潜在意識を揺り動かすものである、と。

ニセ医学も世界中の99%が知らない真実なんて感じの一般書籍を読んで「自分は大半が知らない医学の裏を知り、友達にも教えて上げなければ」と揺り動かすパワーを潜めています。冷静に考えれば巨大陰謀組織が医学界に影響を与えて、真実が世の中に公表されないとしても1%の人々はそれを知っているわけで・・・世界で7000万人はすでに真実を知っていることになるんだけどねえ。

トンデモ系ニセ医学を批判すると猛烈は攻撃を受ける可能性も

私はトンデモ系ニセ医学を批判して複数回、「訴訟するぞ!」「営業妨害で訴えるぞ!」と恫喝されたことがあります。

前掲の本の中に「古代史ゴロ」という小見出しがあり、その中で推理小説作家の高木彬光氏が名著「邪馬台国の秘密」(これ面白くて何回も読み返したなあ)の中で東日流外三郡誌を真書であると主張する前掲の古田氏に絡まれて詫び状を書けと恫喝されたエピソードが書かれています。

ニセ医学批判をすると今はまずはトンデモ信奉者からSNSで批判され、その後誹謗中傷になり個人情報まで晒される状態になってしまうことを私は経験しています。裁判で争うより、かなり萎えてしまうもので。

ニセ医学も偽書も公開討論は悪手

まともな医学にしろ史学にしろ、トンデモさんを相手として公開討論などをするのはマイナスです。なぜなら明らかに間違っている考えに対して真っ当な考えが並列に取り扱われてしまいますので。

私が公開討論を申し入れている自称医療ジャーナリスさんがいます。その方はワイドショーを中心としたメディアに登場しているので、公開討論もありかな?と考えました。

真っ当な研究者や学者がトンデモを相手にしないで黙殺するのが常識化している理由も、どう見てもニセ医学なのですから議論には値しないのかもしれません。

トンデモさんは一次ソースを確認しない

ニセ医学信奉者の多くは自分で突飛もない話の一次ソースを確認しない傾向があります。偽書に関しても同じことが言えるようです。

トンデモさんとの公開討論は悪手

https://twitter.com/NATROM/status/1438655401394724866

名取宏さん、別名NATROMさん、さすがです。

外三郡誌に関心を抱いたインテリの多くは、刊行された外三郡誌そのものを読んでいません。

P337

続いて、

面白い個所ばかりを膨らませ、時には創作した話までつけ加えた二次史料、。つまり、推理小説やSF、コミック、テレビ番組といった類のものです。

たんなる読み物としてトンデモ系の超古代史は楽しめます。しかし、それらが真実であることを確認するためには一次ソースに目を通すようにしましょう。いまは簡単にネットで一次ソースを見つけることができます。

トンデモさん、とかわいい呼び方をされている間は影響力はたいしたことはありません。しかし、トンデモを理論武装しようとだーれも再検証できないような症例をならべて自分のトンデモ妄想で人々に適切な医療を受けるチャンスさえ逃すところまで力をもってしまうと、ニセ医学・デマ医学・インチキ医学になってしまいます。

先ほどトンデモ系ニセ医学を真っ当な医学研究者は黙殺すると述べましたが、さすがにホメオパシーに関しては日本医学会が声明を発表しています。

【ニセ医学】ホメオパシーで新型コロナ感染予防はデタラメだらけ。

【ニセ医学】ホメオパシーで新型コロナ感染予防はデタラメだらけ。

ニセ医学であるホメオパシーを崇拝する一味が世界的なパンデミック騒動のどさくさに紛れて、ウイルス対策に効果的かのように思わせる商品の販売を始めました。原発事故の時と同じく、解決方法が見えない不安な世の中になると、何が正しいか分からずに迷いながら死んでいくことが耐え難い人たちは救いを求めます。そこにつけ込むのがカルトです。

学会が公式にこのような表明を出すほど、ホメオパシーの悪影響は大きいのです。

HPWワクチンに関して新たな動きがあるようです。しかし、またこんな厄介な人々が湧いてくる可能性も大ですね。

ホメオパシーは子宮頸がんワクチン被害者に影響を与えているの?

ホメオパシーは子宮頸がんワクチン被害者に影響を与えているの?

副作用のないクスリがないようにワクチンにも副反応があります。子宮頸がんワクチン接種による副反応が問題視され被害者の会まで結成され訴訟に発展しました。HPVワクチン問題に便乗したホメオパシーというニセ医学の一派が怪情報を発信し、それによって国民が間違った知識をつけてしまうのは、いち医師として看過できません。

誰でもこれはおかしいじゃん、と思えるトンデモさんは別として、悪影響のあるトンデモ系ニセ医学との孤独な闘いを私は続けます。

そうそう、そう言えばこんな本を書きました。ニセ医学本にはかなわないようで在庫がてんこ盛り、よろしければお買い上げくださいませ。期間限定でこんなこともやっています。


実用的なプレゼント、間違いなく拙著より高額だよ。2021年9月にはじめたイベントなので今月いっぱいくらいで締め切る予定です。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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