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2020年のトンデモさん達!ニセ医学の総ざらい【その3】7月〜12月編

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私は「トンデモさん」を愛しています。私の愛するトンデモさんは人に致命的な迷惑をかけることはありません。

私が好きだった昭和のトンデモさん達は人のお金をむしり取るような下品な真似はしませんでした。

平成から令和を通じて、本来の「トンデモさん」とは違った、人々に迷惑をかけ金銭をむしり取ることを目的としたニセ医学や疑似科学であってもトンデモとカテゴライズされてしまう風潮に強い違和感を抱いています。

2020年のトンデモの傾向としては、新型コロナ感染症にまつわるニセ医学・疑似科学が多く見受けられました。これってトンデモというより、明らかな医学上及び科学上の間違いであり、これを信じ込んでしまう人があとを絶たない状況は残念ながら2021年も改善はされないと予想します。

2020年7月〜8月のトンデモさん

2020年のトンデモさんを悠長にまとめていたら、本年も残すところ本日のみ。3ヶ月ごとで区切っていたら都市を越してしまいますので、すっ飛ばしながらまとめてみます。

これは「トンデモ」のカテゴリーに入れなかったのですけど、こんなレベルのビフォア・アフター画像を気づかれないだろうと使っているダイエットサプリの広告が目立ちますよね。

インチキサプリに騙されない為に、まずビフォー・アフター画像を検索しよう❗

インチキサプリに騙されない為に、まずビフォー・アフター画像を検索しよう❗

ネットに溢れかえっているダイエットサプリ広告。深夜にうっかりポチってしまう前に、ちょっとひと手間かけてGoogleの画像検索することをオススメします。かなりの頻度でビフォー・アフター画像が使い回しされていることに気がつくはずです。使い回しの画像を広告に入れる時点で怪しいと判断のすることもできるのではないでしょうか?

いたいけな少年少女レベルで日本の消費者はダイエットサプリ業界に扱われているのでしょうね。お嬢さんの部屋を覗いてみたら、どう見ても下痢以上の効果は期待できないダイエットサプリが勉強机の上に数種類のっかっていたのをきっかけに、日本の教育問題に関わりだした友人がいます。

何でもかんでも疑うのはよろしく無いのかもしれません。しかーし、何らかのアクションをする場合、一度立ち止まって、「本当にこんなことあるの?」と一考するのは必要ですよね。

夏が近づくと気になるのが、「蚊」。蚊の撃退方法でこんなトンデモがネット上に掲載されていました。

危険だよ❗「殺虫剤を使わないでアルコールスプレーで蚊を撃退」は下手すりゃ火災発生!

危険だよ❗「殺虫剤を使わないでアルコールスプレーで蚊を撃退」は下手すりゃ火災発生!

主婦向けサイトに蚊を撃退するために、消毒用アルコールを噴霧すると良い、と書かれた記事がありました。消毒用アルコールは消防法上は危険物第4類であり、引火性液体とされています。そもそも消毒用アルコールは空間に噴霧して使用することは想定されていません。くれぐれもご注意ください。

とにかく消毒用アルコールが不足しているご時世にこんな豪快な使い方をしちゃう主婦がいたことは多くの人々の記憶に残るでしょう(笑)。まあ、「アルコールで蚊を撃退して、家屋炎上❗」なんて新聞記事が出なかったのは不幸中の幸いでした。

トンデモさんとしておなじみの三宅洋平さん関連は本年もブログ記事にしました。

ワクチン忌避派の三宅洋平さん、あなたもワクチンに守られているんだよ❗

ワクチン忌避派の三宅洋平さん、あなたもワクチンに守られているんだよ❗

三宅洋平氏は自然を享受する生活を送りつつ安倍昭恵首相夫人や山本太郎氏と交流を深めながら、ワクチンの効果に疑問を抱きつつ、反ワクチン派としての発言を行っている自然派の人です。三宅洋平氏のワクチン接種に反対する根拠は非科学的で自分勝手な論理です。いくらワクチンを忌避しても実際は三宅洋平氏自身ワクチンに守られているのです。

彼や彼の周辺の人達って、いい人なんだけど基礎知識がプアーなんてことを言ってお約束の抗議のメールを頂いたのも2020年の良い思い出になるのかもしれません。

2020年9月〜10月のトンデモさん

基本的にさっぱりした性格と言われている私ですが、時々とりつかれたようにねちっこくなってしまいます。基本的に校則に抵抗を示した少年時代を送ったため、アホらしい校則は壊滅したい少年少女の気持ちはよーく理解できます。スカートの丈が短いと将来的に様々な健康問題が起きると騒いでいる人々がいました。

「短いスカートは健康に悪い」との説、どうみてもトンデモだよ❗

「短いスカートは健康に悪い」との説、どうみてもトンデモだよ❗

女子高生・中学生の制服のスカートは短い丈が主流です。ミニスカートが身体に悪影響があることを啓蒙するポスターには「科学的に証明されました」という記載があります。本当に短いスカートは身体に悪影響があり、科学的に証明されたのでしょうか?短いスカートで免疫力低下、心臓へ負担をかける危険性といった主張を医学的に検証してみます。

丈の短いスカート健康障害原因説というトンデモを補強するために、それを裏付ける論文があるように読み取れるポスターなのですが、八方手を尽くし論文をゲットしました。その論文ではスカートの丈に関する記述は一切書かれていないという驚きの事実。世の中で暇な人は多かれ少なかれいるでしょうけど、このレベルのテーマで複数の真面目な研究者に、「ねえ、ねえ、この論文って手に入らない?」とメールしまくってしまう人は少ないでしょうね。

以前、Twitterでニセ医者騒動がありました。今回はニセ看護師騒動です。
ニセ看護師疑惑「めぐみ@生活習慣改善ナース」の発言をチェック❗

ニセ看護師疑惑「めぐみ@生活習慣改善ナース」の発言をチェック❗

Twitterで見かける「めぐみ@生活習慣改善ナース」というアカウントがもっともらしい医学風の発言を繰り返しツイートしているのですが、その内容はかなり激しくトンデモ医学の強い影響を受けているのです。生活改善ナースさんの発言内容がどれだけヘンテコでエビデンスの無いものであるかを医師である桑満おさむがチェックします。

Twitter(ツイッター)のbot(ボット)を相手に、何か忘れたい嫌な記憶でもあるのかレベルで真剣勝負をしてしまいました(笑)。

2020年11月〜12月のトンデモさん

意識高い系のカテゴリーとして自然派をこじらせたケミカルフリー信奉者がいます。

ケミカルフリーさん「破傷風は子供には関係ないレアな病気」と断定した根拠は何?

ケミカルフリーさん「破傷風は子供には関係ないレアな病気」と断定した根拠は何?

自然派信奉を拗らせケミカルフリー生活を提唱する人にはワクチン忌避派が多いです。自分でケミカルフリーな子育てと暮らしのマイスターと名乗る方は致命率が高いことで知られる破傷風の予防接種さえ否定的に捉えています。破傷風はレアな病気であり小児には関係のない病気であると考えているケミカルフリーさんの迷惑な勘違いを検証します。

破傷風という致命的な感染症に対して、「こどもは破傷風を発症しない」と言い切ってしまう知識の低さに驚くとともに、彼女彼らが苦労して調べまくった一次ソースがwikiである、との事実にトンデモさん問題の根の深さをあらためて認識いたしました。

意識高い系のカテゴリーとして、なんでもかんでも発酵食品は偉い❗という思想信条のひとたちもいます。

VOGUEの“菌活”を拗らせたライターさんの記事はツッコミどころ満載。

VOGUEの“菌活”を拗らせたライターさんの記事はツッコミどころ満載。

世界的に有名なお洒落な雑誌VOGUEの「BEAUTY / WELLNESS」中の菌活に関する記事のライターさんの医学はもちろん栄養学や生物学の知識もかなり怪しく、ツッコみどころ満載で面白すぎます。菌の正しい知識はなくても「漢方養生指導士(漢方スタイリスト)」や「養生薬膳アドバイザー」の資格はとることができます。

このブログ記事をアップしたのは大失敗でした。私としては珍しくちょっと以前にVOGUEの取材に協力したことをすっかり忘れてしまっていたのです。当院は美容部を併設しているのに⋯たぶん、将来的にVOGUEなどのおしゃれ系メディアは私に近づいてこないでしょう(泣)。

2020年、ヘンテコな感染症をネタとしたブログ記事を書けばそれなりにウケることは承知していました。2020年4月にはちょっとしたネットメディアレベルのPVがあった私のブログですが、世の中の人々を不安に陥れる一方のメディアの間違いや勘違いを指摘するのはあえて控えてきました(PVはその後凋落の一途です)。

「次亜塩素酸水なんて効果ないよ」国が公式表明を出せばGoToは中止にならなかった可能性

「次亜塩素酸水なんて効果ないよ」国が公式表明を出せばGoToは中止にならなかった可能性

新型コロナの感染拡大に伴い、GoToトラベル、GoToイートが中止になりそうです。GoTo政策は、感染者が増えなければ、国民にとっても業者にとっても有意義な政策だと考えられます。なぜ感染者は増えてしまったのでしょうか?感染予防対策の基本をしっかり実施していれば感染は広がらなかったのでは?その可能性について検討します。

そんなこんなで避けてきた話題なのですが、天下のNHKがこのようなトンデモ感染予防方法をどうどうとキャプチャ入で報道することがどれだけリスキーであるかを多くの人達に知っていただきたいとの一存で上記のブログ記事をアップしました。

12月に入ると東京ではヘンテコな感染症の陽性判定者が右肩あがり。N95以外のマスク不足は解消されはしていても、今度は手袋の入手がかなり困難になってきました。また、当院へも感染症疑いの患者さんが受診するようになって、諸問題に非常に気を使った11月から12月でした。

陽性判定者右肩あがりに乗じてけしからん美容室が登場してきました。

【ニセ医学】美容室で毛髪を使って免疫力チェック❗かなり怪しい案件です?

【ニセ医学】美容室で毛髪を使って免疫力チェック❗かなり怪しい案件です?

免疫力という言葉が乱れ飛んでいます。免疫は複雑なシステムから成り立っている機能であり、免疫力という乱暴な一言で片付けられるようなものではありません。美容室で免疫力の検査が行われていても、その検査結果の信頼性はかなり怪しいと判断します。なぜ美容室は疑似医療行為に対するハードルが低くなってしまうのか問題を検証してみます。

医師であっても免疫を一言で説明するのはかなり難しく、免疫システムの研究者の話や論文レベルだとさらに難しくなってしまいます。そんな免疫のシステムに対して、「免疫力」というワード1つを使い回す連中に対してトンデモさんなんて可愛い呼び方を使用するのは不適切です。

天下のNHKでさえひどい状態の報道が混入しますが、社会の木鐸である朝日新聞でさえこんな状態です。

【アエラのまとめ】医療健康情報は玉石混交だとしても、ちょっと石が多すぎるのでは⋯。

【アエラのまとめ】医療健康情報は玉石混交だとしても、ちょっと石が多すぎるのでは⋯。

アエラという朝日新聞系の媒体はトンデモ健康関連記事がてんこ盛り。もちろん役立つ医療情報もあるにはあるのですが、派手なトンデモさんの方が目立ってしまっています。アエラのヘンテコな健康関連記事のブログを整理してまとめてみました。

帯津先生に関しては、私の同好の士たちはかなり以前からトンデモ認定をしておりました。帯津先生ご本人もご自身の考え方が常識的な医学とはちょいと違っていることは自覚しているような言質もあります。なにが悲しゅうてNHKや朝日新聞系メディアであるアエラはトンデモというか、ニセ医学というか疑似科学をありがたがって記事にしてしまうのでしょうか⋯たぶん、視聴者・読者は舐められているのか、メディア業界で働く人々の科学系の基礎知識に乏しいのかのどっちかなんでしょうね。

2021年のトンデモさんに期待します

重苦しいムードで覆い尽くされた2020年の大晦日。2021年、来年こそはこんな感じの誰にも迷惑は掛けない楽しい、人々を笑顔にしてくれるトンデモさんの登場を心からお待ち申し上げます。

インスタで拡散している「肛門日光浴」は久々の大型トンデモ医学案件です(笑)

インスタで拡散している「肛門日光浴」は久々の大型トンデモ医学案件です(笑)

強烈すぎてインスタ映えと呼んで良いのかわからない「こうもんにっこうよく」。SNSで大きな話題となりましたが、その奇抜さや世界観?はさておき、普段日光にさらされることのない人間の肛門、はたして日光に晒して良いのでしょうか??医学的な視点から検証してみます(笑)お尻のではなく肩の力抜いてよんで笑ってください。

肛門日光浴、誰が見ても笑うよね、本人たちが真剣になればなるほど笑ってしまいます。誰にも迷惑は掛けないし、お金儲けとは一切無縁。こんな素敵なトンデモさんの登場を待ちながら本年の締めといたします。

2020年も誤字脱字だらけの私のブログ記事を愛読してくれた方々に心から御礼もうしあげます。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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