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インフルエンザ大流行❗テレビではポンコツ医学情報満載のニュース番組が⋯。

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フジテレビ系のニュース情報番組「グッディ!」確か、以前取材協力をした記憶があり、時々拝見しております。2019年1月11日の放送内容でインフルエンザが大流行している件に関して、専門家が登場しています。

テレビに出てくる専門家ですから、多くの視聴者は疑問を抱くことがないかもしれません。ですが、さすがにツッコミを入れざるをえない酷い内容でしたのでメモしておきます。

インフルエンザが大流行、テレビでは新薬の解説もかなりポンコツ?

インフルエンザの流行について説明し、インフルエンザの新薬の説明をし、インフルエンザに感染しない為の予防方法を取り上げているのですがインフルエンザに関して医学の専門家が解説しているのに、かなりヘンテコな内容の番組構成となっています

  • インフルエンザの新薬「ゾフルーザ 」は人に対する治験は行われていないのか?
  • 今年のインフルエンザの流行期間は本当に過去のインフルエンザ流行時期より早いのか?
  • インフルエンザ対策として取り上げられていた「紅茶」は本当に効果があるのか?

などの素朴な疑問を抱いてしまいました。

「グッディ!」で放送された内容がウェブ上にありますので、利用させていただきますね。

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FNN PRIMEグッディ!「インフルエンザ大流行!驚きの新薬と感染拡大を防ぐ身近な飲み物とは?」

これらのインフルエンザに関する情報を自分の知識を整理することもかねて、信頼度の高いデータや研究を基準として「グッディ!」はニュース情報番組として信頼度が高いのか、ポンコツなのか?を検証してみますね。

まあ、誰に頼まれたわけじゃないけどね〜。

インフルエンザの新薬「ゾフルーザ」って人に対する治験を行なっていない???

インフルエンザに感染した場合の特効薬として2018年2月23日に華々しく登場した「ゾフルーザ」、これにかなりの期待を抱いている患者さん、そして医師がいます。

グッディ!ではそんなゾフルーザに対して次のように放送しました。

副作用は人に使って初めてわかるものですから。動物治験などの治験はやっていると思いますが、たくさんの人が使った後で、本当に副作用がないかどうか分かってきます。

医学常識を覆す、すげー恐ろしいことをサラッと医師が述べたのです。

この医師がインフルエンザの専門家として登場した中山幹男医学博士です。

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ええっ、ゾフルーザって動物実験はしていても人に対する治験はやってないの⁉

動物実験はもちろん行なっていますし(サル)、厚生労働省は間違いなくゾフルーザを販売する塩野義製薬に対して人体に対する効果効能のデータの提出を求めているはずです。

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このようにしっかりとシオノギ製薬は当然人体に対する効果・効能、そして副作用を治験によって調べているんですけどねえ⋯。

さらに中山博士が心配している副作用、もちろん人に対する副作用もしっかり添付文書には記載されてます。

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何を根拠として動物治験はやっているけど、人に対する副作用は⋯なんて発言をされたのでしょうか?もちろん人に対する治験では検出されなかった副作用がたくさんの人が服用することによって追加される可能性はあります。しかし、中山博士の発言ではどう見てもゾフルーザは動物実験は行なっているけど、人に対する治験が行われているかは不明って受け止めてしまうのではないでしょうか?

私のゾフルーザに対する印象はインフルエンザに感染した患者さんに投与した場合、症状が改善するまでの期間はタミフルと大差ないし、薬価も高いし、インフルエンザウイルスを変異させる可能性も高いし(タミフルもそのような傾向あり)、下手すりゃ体内で変異ウイルスによって症状改善期間が延びちゃう可能性もよく考える必要があると判断しています。

なんで登場した医学博士は紅茶でインフルエンザを予防できると主張しているのか?

巷で「紅茶うがい」が風邪の予防に効果的との話が出回った時に、こんなブログを書きました。

風邪の予防に「紅茶でうがい」が効果的?!じゃあ緑茶はダメなの??追記あり

風邪の予防に「紅茶でうがい」が効果的?!じゃあ緑茶はダメなの??追記あり

外国人からすると不思議な習慣のようですが、我々日本人は、うがい・手洗い・マスクが、大好きで生活習慣になっています。うがいに関して言えば、イソジンでうがいしておけば風邪にかからない・風邪が治ると信じきっている人も少なくありません。今回はイソジンではなく、紅茶でうがいするとより効果的という話の真偽についてお話します。

この件でその後も「紅茶うがい」の感染症に関する情報を収集していた時にこんな文献を見つけたのです。

「紅茶のインフルエンザに対する感染伝播阻止効果」(http://www.tea-a.gr.jp/pdf/111226.pdf)、この紅茶の効果効能を述べた文献はグッディ!に登場していた中山幹男医学博士だったのです

私は断じて紅茶業界の後押しがあったなんてゲスの勘繰りはしません。

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NPO法人バイオメディカルサイエンス研究所なる機関がどのようなものであるかは、端折ります。紅茶の感染症に関する効果・効能について中山幹男医学博士は別のメディアでこんな風に語っています。

獣医師・医学博士の中山幹男氏は、「効果があるのは、インフルエンザ患者から健康な人への飛沫感染を阻止すること。治療には役立たない。インフルエンザは鼻からの呼吸によって感染するため、健康な人が紅茶でうがいをしても予防効果はないが、患者が1時間ごとに紅茶を一口飲んで口内のウイルスを死滅させれば、周囲への感染が広がるのを防ぐことができる」

食品産業新聞社ニュース「紅茶の抗インフルエンザ活性に注目集まる “テアフラビン”で感染拡大を阻止

でもグッディ!では

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紅茶を摂取することで、テアフラビンという成分がスパイクをガードする→結果的にウイルスを無力化することができる!

に続いて

一部の研究では10秒でインフルエンザウイルス100万個を無力化。これは消毒液並みの効果!

と表記しています。

この表現だとまるで紅茶を飲むとインフルエンザ予防効果があるよ❗ってほとんどの人が受け止めてしまうと思います。中山博士が伝えたかったことは紅茶を飲むとインフルエンザウイルスが無力化して人にうつすリスクが減る❗ってことだけなんですけどねえ⋯。

まあ、インフルエンザの流行拡大を防ぐ効果が紅茶にあるから、確かにインフルエンザ対策と記載することが大間違いでは無いと判断も可能ですね。

今シーズンのインフルエンザの流行は例年と比較して早いのか?

まず今シーズン(2018〜2019年)のインフルエンザ流行状況は受診者が165万人で、推測患者数は58万6000人となっていて、1道2府18県で警報レベルに達していることが番組内で伝えられました。

さらに、インフルエンザを20年超研究された中山幹男医学博士は年末年始にかけて爆発的にインフルエンザ感染者が増えている状況に対して、例年より早い、とお話しされていました。

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私が感染症のデータとしては一番信頼度が高いと考え、しばしばブログで引用している国立感染症研究所の新しい報告はこのようになっています。39週から49週にかけて他の線より突出しているのは2009年のインフルエンザ感染状況。

残念ながら国立感染症研究所のデータでは2018年から2019年にかけてもインフルエンザの流行状況はこのグラフでは51週までしか記載されていません。

グッディ!では警報レベルに入れてもらえなかった模様の東京都のインフルエンザ感染状況はこのようになっています。

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東京都感染情報センター 2019年1月11日 インフルエンザ情報 (http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/assets/flu/2018/Vol21No8.pdf)

このグラフの赤い線が2018年から2019年における東京都のインフルエンザ感染状況で1月に入っても、他の年と比較して「例年より早い」流行とは言えないように感じました。

メディア、特にテレビの情報番組の医療情報は後で自分で調べる習慣が必要かも?

娯楽以外のコンテンツをネットの観ている、あるいは探している人は実はごくごく限られた数なのでは、と最近考えました。昨年NHKの「チコちゃんに叱られる」でほんの少しだけ取材協力したのですが、それからの数週間は「先生NHKに出てましたね❗」的なお声がけを多分20パーセント以上の患者さんにいただいきました。

ブログで医学情報を発信して、今年で5年以上になります。ブログのPVも最高では月間3桁万を超えたこともあります。ヘンテコな医学情報、どう見てもインチキ医学、そして医療系トンデモさんに関するブログを正しい医療情報と混ぜこぜにして発信していても、本当にこの情報をお伝えしたい方へは届きにくいようです。

やはりなんて言っても今の日本で最大級に影響力があるのはテレビです。医療情報をテレビ番組で取り上げるときは、なるべくわかりやすく、正しい医学情報を伝えていただければ何も私がしゃしゃり出る必要も無いと思う次第です。

これもどうぞ。

紅茶でインフルエンザ対策?ヒトを対象にした研究結果が怪しすぎる❗

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民間療法でインフルエンザを予防しよう、インフルエンザを治そう、って人が出てくるのは、情報過多の現状では仕方のないことだと思います。紅茶うがいするとインフルエンザになりにくい、との話がどんどん拡大解釈されて、いつの間にか紅茶を飲むとインフルエンザ感染予防になる、とのトンデモ臭プンプンの話が拡散しています。  

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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