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虫垂炎の早期診断方法が発見された⁉誰でも簡単に診断が可能⁉

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全く症状がないのに、検査で異常を見つけようとするのが健康診査です。

自治体や勤務先の会社で定期的に行われています。しかし、この検査で全ての病気をカバーできる訳ではありません。常日頃からご自身の体調に気を配り、変だなあと感じたら医療機関を受診することをお勧めいたします。

どんな病気も早期発見して、適切な治療をすることが大切です

さて、いわゆる盲腸(急性虫垂炎)を早期発見する方法が論文となっています。そして、この論文は有名な賞を受賞しています。それは道路の段差を乗り越えるときに感じる痛みで急性虫垂炎が診断できるという画期的かつ安全かつ低コストかつ自己診断可能な検査方法です。

減速帯の段差を乗り越える時に痛みを感じませんか?

車のスピードを抑えるために道路上に設けられた段差を減速帯(スピードダンプ)と呼びます。このスピードダンプを乗り越える時に痛みを感じる、感じないによってかなりの精度で急性虫垂炎を診断することができるのです。

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https://www.phc.ox.ac.uk/news/speed-bumps-research-wins-ignobel-prize/speed-bump-research-summary.pdf

この簡易式急性虫垂炎診断方法は医学論文となっています。それは「Pain over speed bumps in diagnosis of acute appendicitis: diagnostic accuracy study」 (BMJ. 2012 Dec 14;345:e8012) とのタイトルであの医学学会誌としては世界的に有名なブリティッシュ・メディカル・ジャーナル (British Medical Journal) にしっかりと掲載されています。この研究はこんな感じで行われて結果を導いています。

  • 17歳から76歳までの101人が対象
  • スピードバンプを乗り越える時に痛みを感じるか感じないかを判定
  • その結果、スピードバンプを乗り越えた時に痛みを感じない人は急性虫垂炎の可能性がかなり低い
  • スピードバンプを乗り越えた時に痛みを感じた人は急性虫垂炎以外の疾患も考えられた
  • スピードバンプを利用して、かなりの精度で急性虫垂炎を否定できた

以上のような内容です。なーんだ、スピードバンプを乗り越える時痛みがなければ急性虫垂炎の可能性が低い、もちろん他の疾患の可能性も低いってこと。

ヘンテコな論文だなあ、と感じた方も多いのでないでしょうか。そうなんです、これってイグノーベル賞を受賞しているんです。

イグノーベル賞ってなんだ?

ノーベル賞は誰でも知っている世界最高峰の賞です。最近はイグノーベル賞も時々マスメディアに取り上げられますが、知名度は低くその詳細を知る人は少ないのでは?このイグノーベル賞は世界中の人を笑わせた研究に対して与えられるものであり、近年日本人の受賞ラッシュが続いています。2013年にはイグノーベル賞医学部門で天皇陛下の手術を行なった順天堂大学の天野篤医師ら、2014年にはイグノーベル賞物理部門を北里大学のチームが、そして昨年は股のぞきの研究で日本人が受賞したことは大々的に報道されました。

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なんでこんな研究がBMJに掲載されたのでしょうか?

ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル (British Medical Journal) はエビデンスに基づいた高品質の医学論文を掲載することで有名であり、論文の価値を判断するインパクトファクターは2015年の時点で19.967❗もあり、掲載されたら医師仲間にかなり威張れます。

今回取り上げた論文の日付にご注目ください。シャレ好き、ジョーク好きの英国の医学専門誌なので毎年クリスマス前にはエビデンスに基づいてはいるけど、ちょっとふざけた内容の医学論文を掲載するのです。日々研究生活を送っている若い医学者の皆さんはもしもBMJに掲載されたと大喜びする前にクリスマス号でないことを確認しましょうね。

実は私もBMJ掲載を目指しています

先日、酵母と酵素の違いをブログにしました(→「酵素と酵母の違い」誰でもわかるように解説しちゃうよ❗)。多くの人が疑似科学やニセ医学に使用される「酵素」というものの実態をご存知ないと考えたからです。

このブログを書いて、なぜかぬか漬けを作りたくなってしまいました。

桑満家の糠漬け

これ実物。このぬか漬けに対して「水からの伝言」という波動系の著作物が主張にインスパイアされ「ありがとう」と書いた紙を貼り付けると「ばかやろー」と書いた紙を貼り付けたものより美味しくなるかを実験する予定です。そのためにはp1はクリアしているのか、DLTはどのように設定するか(この辺りは研究している人しかわからないか)、ダブルブラインドはどのように行うか、そんなことより倫理委員会を設置しなければ等々かなり鼻息荒くして内輪で盛り上がっています。

この研究を論文としてBMJに送る予定です(予定は未定だよ)。BMJが無理でもPLOS ONEくらいは狙えそうな予感(笑)

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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