読売新聞「冷え対策」の記事、芳ばしいトンデモ臭が⋯。

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人体の水分量を60パーセントとすると、体重60キロの人の水分は36キログラム(36000グラム)になりますよね。

水1グラムを1度あげるのに必要な熱量は4.2J(ジュール)です。そうなると60キログラムの体重の人に白湯を飲ませて、温度を1度あげるには151200J必要になるから、コップ一杯の白湯を200グラムと仮定すると、その熱量は⋯。

体温を上げて免疫力アップの方が「冷え対策」を語ってもねえ⋯

2017年5月17日の読売新聞の健康関連記事からだCafeの「『冷え』対策 できることは?」を熱量の計算しながら読み込んでしまいました。

健康に関する素朴な疑問に対してヨミドッグさんが答える、大人から子供まで理解できるように書かれた記事です。ヨミドックさんは

冷えないための生活習慣をつけることが肝心です。まずは食事前に白湯を飲みましょう。消化や吸収を助け代謝アップにもつながります。

と回答しています。

あれあれ、そういえば白湯(さゆ)ダイエットについて以前少し調べたことあったけ、その時

やたらと「体温をあげると免疫力がアップする」的発言をされていた◯◯医師が取材協力しているではないですか❗

白湯ダイエットに関しては、もう少し資料を収集してからブログにする予定ですが、休診日前夜のまったりとした夕飯どきに電卓片手に熱量の計算を始めたきっかけを作った◯◯先生が今までどのような医学情報を伝えてきたのか。

さらに私が長らく疑問を感じていたことに対してのお答えを頂戴できればと思いブログを書かせていただきます(スッゲー低姿勢、なんでだ?)。

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読売新聞 2017年5月17日夕刊3版 P7 読み込んだのでちょっとシワシワ

立派な経歴をお持ちの医師ですが、一部の愛好家のウォッチング対象です

医学に絶対はありません、Aという考え方があれば当然反Aという考え方も出てきます。例えば明治時代の脚気に対する医学界の大論争は一般の方もご存知だと思います。

しかし、それを解決したのが科学なのです。今では脚気の原因を微生物であるなんて考える医師はいません、その理由はビタミンB1が発見されそれが欠乏することによって脚気が発症することがわかったからです(詳しくは日本の脚気史をどうぞ)。

まあ、医師であっても色々な考え方があるよって、エクスキューズを入れさせていただきますね。でも、結局は科学的手法で正否は明らかになってもいます。

実はこの医師はホメオパシー肯定論者でした

今はどうか知りませんけど、このサイトにはまだ講師として紹介されています(日本ホメオパシー医学会 研修・セミナー等講師紹介ページ)。

さらにあの安保徹さんの「体温を上げると免疫力がアップする」説の猛烈な信奉者だったのです

今はどうか不明。そのためにニセ医学というか擬似医学ウォッチャーの間では定点観測的対象と◯◯さんはなっていたのです。こんな感じで取材されています。

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http://www.rainbow-net.co.jp/interview/201409.html

とにかく健康のために体を温めることを訴えていますね。

こんな立派な医師に素朴な疑問を投げかけるのは非常に畏れ多いのですが⋯。

私は地元に密着した、しがない町医者です。一方の読売新聞の健康記事に取材協力された医師は聖路加国際病院の副医長であり、東京有明医療大学の教授というビッグショット。

でも素朴な疑問が出てきちゃったのでブログにて質問をさせていただきたく存じ上げます(メッチャ、低姿勢)。

前掲http://www.rainbow-net.co.jp/の中でこんな問答があります。

安保徹先生(新潟大学名誉教授)は「体温が1℃下がれば、免疫は30%、代謝は12%下がる」と言われていますが。

それに対して

それは実験、研究によって明らかになっています

と◯◯医師は答えていますがその明らかになっている、実験とか研究の論文をお教え願えないでしょうか?

これに関する医学論文をここ数ヶ月探し回っているのですが、出てきません。ある製薬会社に尋ねた時のことはブログに書きました。

製薬会社HPの「体温を上げて免疫力アップ」???なので電凸しましたレポート❗

この時も製薬会社の学術の方が懸命に免疫力と体温の文献を探してくれたのですが、結局は見つけることができませんでした。私の調査能力が低い可能性も大きいですが、製薬会社の学術の方はどちらかというと研究者タイプなので、私より検索能力も高いと思われます。

でも、どうにもこうにも出てこないのです「体温が1℃下がれば、免疫は30%、代謝は12%下がる」の医学論文。もし、

このブログを読まれた方で、この説を書いた医学論文を発見された先着一名さまに、お礼として金一封を差し上げます❗

これマジです。

最初の電卓片手にした計算結果はこうなります

一般的に白湯ダイエットとかで白湯の温度は50〜60度とされているようです。

まあ、キリの良いとこで50度の白湯が200グラム(超正確にいえば200mlの白湯は200グラムではありませんけど)を体温が36度の体重60キロの人が飲んだとします。60キログラムの人の水分を60パーセントと仮定すると36000グラム。

両者を単純に液体と考えると何度になるか、なるであろう体温をAとすると

50度×200グラム+36度×36000グラム=A (200+36000)

が熱量保存の法則から導かれますので

A = (50×200+36×36000)÷(200+36000)=36.077348⋯⋯

になります (計算間違ってるかな?)。

熱量保存の法則を使って白湯の効果を考えるとたった0.077度しか体温は上昇しないじゃないの❗

ったこれだけで、体になにがしかの免疫システムが応答して白湯を飲んで免疫力アップは厳しいんじゃないでしょうか?

まあ、これはあくまで休診日前のちょっと一杯やりながらのお遊びですから、体温の変化は熱量保存の法則で簡単に説明なんかできるわけはありません。

多分、白湯で刺激された腸が動き出し、それによって熱が発生するんでしょうけど、ダイエット効果については空きっ腹を水分で補っているような気がしないでもありません、詳しくは白湯ダイエットもやっているかもしれないミランダ・カーにでも尋ねてみようかな?

注意:これは読売新聞がトンデモ系と言っているワケではありませんし、取材協力した医師へなにがしかの反論をふっかけているワケでもありません。多くの方に論文を探してもらったのですが、どうしても見つからないので誰かにご教示いただきたく書いたものですので誤解なきようにお願いいたします。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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