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妊婦さんから葉酸についての質問が多発⋯理由はこれなんだね。

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急性期の病気には多少過激な処方を、慢性の病気に対してはなるべく単剤でマイルドに治療を心がけている私ですが、妊婦さんとなると慎重に慎重を重ねて処方をかなり弱気にしてしまいます。ここのところ

頻回に妊娠中の方から尋ねられる質問として「葉酸ってどうなんですか?」があります

最近、妊婦さんから葉酸についての質問が多い理由をようやく理解

どうなんですか、って言われてもどうなんでしょうか?葉酸に関連する処方薬は「メチコバール」が代表的です。ビタミンB12が主成分のメチコバールは食品に含まれる葉酸と共に赤血球を作ったり、神経系の障害の回復に役立ちます。しかし、なんで「葉酸ってどうですか?」的な質問が、それもほとんどが妊婦さんから出てくるんだろう、と気になって調べて見ました。

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詳しく葉酸について書かれていますが、このサイト全部に目を通したワケではないので、子育て中、あるいは妊娠中の方へ私が推奨するサイトではないことにご注意ください。下の方にある特定のサプリをすすめる記事がなければいいのにね。

葉酸は胎児の成長にも不可欠です

医学部の薬理の授業か、生化学か生理学かで葉酸が胎児の神経系の成長に不可欠とあったような記憶があるんだけど⋯この際、素人さんでもわかりやすい伝家の宝刀「栄養学の基本がわかる事典」(西東社)のお世話になってしまいますね。

おおっ、妊婦さんが心配している葉酸問題、これでスッキリ解決しました。この本によると「胎児の神経管閉鎖障害の予防などの働きがあります」と記されています。

葉酸が欠乏すると赤ちゃんが神経管閉塞障害のリスクが高まるとの情報で妊婦さんは葉酸について心配しているわけなんだ。と、なると神経管閉塞障害ってなんだ、となります。神経管閉塞障害は胎児が妊娠4〜5週に起こってしまう先天性の異常で、症状としては「二分脊椎」と「無脳症」があります。葉酸が神経の成長に不可欠である子から「無脳症」との関連性は容易に理解できますが、どうして「二分脊椎」の原因と考えられているのか、気になってしかたありません⋯二分脊椎は私の守備範囲である「排尿障害」の原因の一つですからね。

葉酸欠乏と二分脊椎は大きく関連しているのは間違いなさそうです

葉酸はDNAの生合成に関わっていますので、神経系以外にも複数の病気との関連性が示されることはわかります。多くの妊婦さんが心配されている「二分脊椎」と「無脳症」ですが、なぜ葉酸が欠乏すると二分脊椎になるのか、正直に告白すると理由は知りませんでした。

まずは確かな情報として難病情報センターを参考にしてみます(http://www.nanbyou.or.jp/entry/22169。ありましたありました❗二分脊椎の原因として

二分脊椎の主要な原因は(1)栄養学的因子(葉酸の摂取量不足)、(2)環境因子(糖尿病、肥満、てんかん薬の内服、妊娠前期の高熱発作、放射線被爆、ビタミンA の過剰摂取)(3)遺伝子因子と言われている。妊娠前から葉酸サプリメントを充分に内服すると、発生リスクは70~80%低減できるが、残る20~30%の症例は遺伝子異常が関係しており予防が困難である。

なるほど、葉酸の欠乏は二分脊椎の大きな原因ではあったのです(詳細なメカニズムは触れません)。

ところで二分脊椎の発症頻度は?と思ったら、ありました、ありました、前掲の難病情報センターの記載に。

詳細な疫学調査は、ごく最近に開始されたばかりである。日本産婦人科医会・外表奇形等統計調査の報告によれば、2007年の患児発生頻度は分娩 10,000件あたり4.8であり、その年の出生数は約400名と推測されている。過去30 年間にわたり、患者発生率に減少傾向を認めない

原因と結果がわかっているのですから、妊婦さんが葉酸にこだわるのは当然です。公の機関にしては珍しくサプリの摂取を強く訴えています。

従って葉酸の役割を若年女性へ知らしめ、葉酸サプリメントの内服率を上昇させ、二分脊椎の発生頻度を低下させることが急務である。

ほー、かなり珍しい声明です。公益財団法人難病医学研究財団/難病情報センターの情報ですから、信頼度は高いですね(私のブログはあくまで個人の発信、もちろん正しい情報を発信しているつもりですが)。

葉酸の欠乏は赤ちゃんに障害を引き起こす可能性が大、でもねえ⋯

ここでメモのご用意をお願いします。私がサプリメントとか食品のことを調べるときに必ず利用するサイトがあります。国立健康栄養研究所の「健康食品」の安全性・有効性情報は世界中のデータ等を日本語で解説してくれていますので、サプリや食品関連で調べたいことがあったら使ってください。

ここの情報によると、神経管閉塞症のリスクを減らし、経口摂取は安全であり、一日に400μg/日を摂取することを厚生労働省はインフォメーションしているようです(データの無断転用、引用厳禁となっていますので各自で詳細はお調べください)。しかし、葉酸関連キーワードで検索すると出てくるわ、出てくる葉酸サプリ推奨広告。

まあ、葉酸摂取に伴うアトピー性皮膚炎のリスクを報告した医学論文「High circulating folate and vitamin B-12 concentrations in women during pregnancy are associated with increased prevalence of atopic dermatitis in their offspring」(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22399526?dopt=Abstract)もありますので、過剰摂取等は注意が必要です。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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