膣美管理⁉「子宮と脳を解放する」怪しげなSPA潜入レポートだあ❗

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女性は子宮で考える、なんて言われていますが、そんな女性心理につけ込んだ怪しいビジネスがあふれています。その中でも健康・医療関係のトンデモをウォッチングしているのですが、膣美管理なるものについて調査いたしました。すごい四字熟語です。膣を美しくする、管理??気になった方(女性限定)はご覧ください。

ついに手を出してしまった、婦人科領域のトンデモさん

SNSでやりとりしているセレブであろうと思われるご婦人からこんな折り込み広告をいただきました。

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もともと婦人科領域は苦手だったのですが、少しずつ勉強をしまして (ほとんどはトンデモ方面ですけど) 妊活等に関するブログを書きつつ知識を蓄積してまいりました。

今回いただいた折り込みは衝撃でした。

膣美管理なる不思議な施術のあるエステ?整体?

エステや整体ですので、国から頂くお免状をお持ちではないと思われる施設に関する情報を収集することにしました。

このようなキワモノに通じている知人に「こんなのあったけど」と伝えると「私、これ体験したことありますよ〜」との答え。

私が体験レポートを書くのが本来なら筋なんでしょうけど、オッサンが「膣美管理コースお願いします」とは言えないので、知人の体験談を基にして「子宮と脳を解放する」とのspaにおける「膣美管理」の実態とその効果について検討してみますね。

医学用語として「ちつ」は正しくは「膣」ではなく、「腟」と記載します。詳細は日本医学会「医学用語の標準化をめざして」などをご参照ください。

では、では膣美管理のはじまり、はじまり〜

大変、お店には失礼なことなんですけど、いただいた折り込みチラシの文言から、お店をつきとめようと試みた時に、ゴリゴリのオッサンが女性の背中あたりをグイグイマッサージしている画像に出会ってしまいました。その影響でしょうか、今回の膣美管理もオッサンが行うものと思っていました。一瞬といえども、そのようないかがわしいspaであるかのような妄想をしたことをここで陳謝いたします (って、誰に?)。

実際に体験した知人(もちろん女性)によればマッサージを担当した方は美人だったとのこと。かなりユニークなネーミングのためか、注目を集めているそうで、当然のことながら敵も多そうとのこと。

「これは◯◯に効果があります」とか「これを施術すると××が治ります」との言葉の使用は無かったとのことでした。

⋯じゃあ、サイトの文言とかブログに書いてあることはウソかよ、って気持ちも、ちょいとばかしありますけどね。

では膣美管理とはどの様なマッサージであるのか解説いたします。ぜ〜ったい下ネタ風になると思ってここまで読んできてくれた方には大変申し訳ないのですが⋯・

腿の内側やお尻周辺が硬いと骨盤底筋群や膣に悪影響が出る、との不思議な理論に従って、単にその辺りの筋肉をモミモミするだけなんです。

要するに下半身方面(陰部を除く)のコリをほぐすことを「膣美管理」と称しているようです。なーんだ(がっかり)

ですが、医師として聞き逃せない発言もあったようで「仙骨周辺は女性ホルモンが高まるポイント」だそうです。

仙骨の歪みを矯正することが重要なんだってさ⋯歪みって何?整体やカイロプラクティック方面でよく使われる「歪み」、これはどう見てもゆがみません。

骨盤は「歪む」vs「歪まない」論争は用語の解釈違いが原因

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体の不調は身体の歪みからという東洋医学や漢方にありがちな一元論は、わかりやすいのですが、根拠はありません。骨盤矯正という4文字熟語が街中に溢れかえっていますが、骨盤が歪むという表現について考えてみましょう。誰もが自分は姿勢が悪いと思っています。当たり前です。左右対称な体の人は存在しません。内蔵は左右対称でしょうか?

あと「冷え」に関するお言葉もあったようで、内臓が冷えている人がふえているんだそうです⋯どうやって内臓の温度を医療系の資格がない人が測定しているのか、非常に興味深い発言ですね。

トンデモ医学に「冷え」は重要な用語であるので、お時間のある方はこんなブログを以前書いておりますのでお読みいただけたら幸に存じます。

ニセ医学だよね、「冷えとり」のために、なんで靴下だけ重ねばきをするの!?

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冷えは万病の元という誰もが知っているであろう言い伝えがあります。とはいえ、いくら重ね着・厚気したって寒かったり、高品質なダウンや本物のカシミヤならそれだけで十分暖かいということも知っているはず。それなのに冷えとりと称する靴下がありえない効果を謳って販売されており信じて買う人がいます。医学的におかしな点をまとめます。

近いうちには膣の温度を上げて免疫力をアップ❗なんてこともいいだしちゃうかもしれませんね。

果たして膣美管理は効果があったか?

どうも膣美管理の方は女性にとって仙骨が重要であると認識している様子です。仙骨を刺激することによって女性ホルモンがどうこうすると考えると、女性ホルモンは主に卵巣から分泌されますので、仙骨から出ている神経が卵巣に繋がっていないといけません。

でもね〜、卵巣につながっている神経って、背骨とか腰骨の間から出ているんだよ。

気になる膣美管理の効果ですが「なんの変化も無し」とのことでした。

まあ、あくまでひとりのお客様の個人的な感想ではありますが、膣美管理からイメージされるような効果はなかったと解釈いたしました。施術した方の話だと、骨盤周辺の歪み(やっぱり出ました❗)をギュッと絞ることによって膣自体もギュッとなるらしいのですが⋯筋トレして腹筋を鍛えると胃がギュッと絞まることってあるのかねえ。

解剖学的な知識に疎い膣美管理施術者さんの様ですから、あまり専門的なツッコミをすると素性がバレる心配があるので、体験者の知人はとっとと帰ってきたそうです。

今後も「子宮と脳を解放する」をウォッチングいたします

膣美管理を行なっているspaの基本理念である「子宮と脳を解放する」ってフレーズ、どっかのインチキくさい妊活とか食育とかのセミナーを行なっていたほかの団体も使用していた様な気がします。本日は祝日であり、私も某学会にて講演を行う重責を担っておりますので、これ以上の調査は本日は行いません。でも、気になるなあ、子宮と脳をなんかしちゃうってフレーズ、明日にでももう少し時間をかけて追究してみようっと。

このブログ、はじめてiPad Proの10.5を使用して書いたのでいつもと少々文調が違っているような気がします。通常はiMac27、あるいはMacBookを使っていますが、キーボードの感触は明らかにMacBookより私にはあっているようです。まぁ、膣美管理と同様にどうでもいい話ですけどね。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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