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ニセ医学だよね、「冷えとり」のために、なんで靴下だけ重ねばきをするの??!!

「万病の元は冷えである」って感じの言い伝えがあります。

確かに冬は風邪の季節でもあり「風邪は万病の元」って言い伝えもあるんで、それなりに納得してしまう理論?ではありますけど⋯なんで、冷えをとるために「冷えとり」業界では靴下をかさね履きするんだろう、って常々不思議に感じていました。

冷えをとると万病が治る、っていっても靴下14枚を重ねばき!?

「冷えとり」」の効果を確認するためにはかさね履きした靴下が破けると、効果がでました!!メデタシめでたしという不思議なロジックの擬似医療がヒタヒタとみなさんの周囲に蔓延しだしています(効果がでると靴下が破けるというトンデモ系の話は後日にします)。

肩こり、生理痛、体が重い、朝スッキリしない等の医学的には一つの確実な原因を解決することで病状の回復を期待できない「不定愁訴」を対象にしているうちは、大人の対応をしていてもさほど問題はないと考えていました。

その「冷えとり」信者さんの間で今はおきまりの靴下重ね履きで「がん」が治った、不妊が治ったという体験談が出てきています。

がんの治療は年々進化していますが、がん征圧というところまでは到達してないので、民間療法やニセ医学に翻弄される人が出てきている状況はある程度理解できます。

つまり、西洋医学・スタンダードな医学だけでは十分な治療効果が得られない、と考えてしまう人が多数存在することは実際の臨床現場では珍しいことではありませんから。不妊治療にしても、10数年前と比較すれば格段の進化を遂げているのですが、不妊に悩んでいる人を100%助けることはできていません。

ニセ医学「冷えとり」用靴下販売サイト

http://item.rakuten.co.jp/glanage-leg/022-041/

さすが楽天、ブームになりそうなものを早速扱っています⋯効果があるかどうかの検証もしないで(笑)。

たぶん「冷えとり」はニセ医学である「経皮毒」からスピンオフした流派と予想します(笑)

「冷えとり」だけを信じるとスタンダードな医療を受ける機会を損失する可能性が⋯。

様々な科学的アプローチで挑戦しても、「がん」「不妊」の問題は十分に解決できないほど複雑なメカニズムである、現時点の医学にも限界はある、という考え方に不満を持つ方がおばあちゃんの知恵的な民間療法を行うことが、スタンダードな医療の治療の妨げになることはあまり多くはありません。

しかし、ニセ医学治療がスタンダードな医療より治療効果が高いというエビデンスもないのに、靴下を重ね履きして「冷えとり」を行うと、がんも不妊も解決してしまう、と考えてしまう人は「信者さん」と表現するしかありません。

多くの宗教が人類の精神的支えになり、プラセボではあっても治癒効果を高めるエビデンスは存在しています。

だからこそ海外はもちろんのこと日本でも宗教がバックについている医療機関(宗教といっても、世界的に認知されているものですよ!!)があり、治療の合間に信者さんが神に祈ることは非難されるものではありません。

ニセ医学はその教えだけを唯一の治療法として、スタンダードな医学を同時採用することを禁じているものが多く、治るものでさえ治らない、治す機会を逸失する危険性があるのです。

がんが「冷えとり」で治った⋯本当にガンだったの?

ある一定方向の思考のもとで発行される健康雑誌・健康関連書籍には体験者の声というか感想文が添えてありますよね。特に目を引くのが「がんが治った」というセンセーショナルなものです。

先日、目にした健康雑誌は「腫瘍マーカーがグングン下がって正常値に!!」的な記事がありました。前立腺癌の腫瘍マーカーである「PSA」が高値であったところ、「冷えとり」ではないですが、ニセ医学的治療?を行ったところPSAが数ヶ月後には正常値になった、つまり「前立腺がんが治った」というような内容です。

一般の方は腫瘍マーカーが下がって正常値になったんだから、がんが治ったんだね、と受け止めても仕方がありません。

しかし、前立腺がんが治ったと主張する信者さんの手記を見ますと、単に1回腫瘍マーカーであるPSAが高値であり、「自分は前立腺がんだあ!!」と思い込んでいるだけなんです。

実際は数回PSAを測定して、MRI等で本当にがんの可能性がある場合に「前立腺生検」という検査で実際に前立腺にがん細胞があることを顕微鏡による病理検査で確認して、はじめて前立腺がんである、と診断が下されるます。

たんにPSAが高いだけで「前立腺がんです」と確定診断するような医師はすくなくとも私の周囲にはいません(ニセ医学信者の医師なら前立腺がんって確定診断しちゃうかもしれないけど)。

とにかく体験者の手記は本当のこの人はこのような診断が確定しているのか?と疑ってお読みになることをお勧めします。

「冷えとり」業界のエグさ

少子化が確実に進行している日本において、いかに女性が社会進出をしながら出産が安心しておこなえるか、出産後安全に子育てを行いながら、女性が活躍できる環境の整備が急がれています。

冷えとり系の書籍は近年では「不妊が解決」的な目立っています。靴下を14枚もかさね履きして、不妊が解決するのであれば、不妊症治療の研究者人生を費やしている人たちの時間と研究費は全く不要になってしまいます。

冷えとりで不妊問題が解決できるのならば、体外受精等に対する助成金も必要なくなりますよね。

私の専門は実は泌尿器であり、男性側の不妊の研究を行っている知人も多数います。しかし、研究と臨床で「冷えとり」なんて偽医学の書籍やネット情報を見る時間なんてないでしょうから、開業医である程度好きな時間が使える私が今後「冷えとり」というどう見ても偽医学を追求していきます。

先日こんなブログも書きました。

実際に試してみました 2015年12月23日追記

さらにこんなのも書きました 2015年12月24日追記

執筆者情報

桑満おさむ医師

このブログ記事の筆者:桑満おさむ
Osamu Kuwamitsu, M.D.

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

詳しいプロフィール

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