医学誌に掲載!「幹細胞美容液」の信ぴょう性に大いなる疑問が⋯。

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再生医療が話題になり、そこに便乗して売り込みをかけてきたのが幹細胞を使ったビジネス。信頼性を高めるために、医学誌に取り上げられたといった古典的なやり方でアピールしています。今回は、幹細胞美容液なる化粧品、顔にはるパックもあるようですが、そもそも幹細胞美容液の何が肌によいの?という根本から検証・追求してまいります。

信じるものは救われます。ですので、まだ手を出してないけど幹細胞美容液ってどうなんだろう?使ってるけどイマイチといった疑問をお持ちの方向けの記事です。

幹細胞美容液の広告は「医学誌に掲載!」と大々的に書いているけど⋯

iPS細胞の研究でノーベル賞を京都大学の山中伸弥教授が受賞したことにより、再生医療という言葉や幹細胞という医学用語が一般の方にも知れ渡るようになりました。私がネットで気になっていたのが、

医学誌に掲載されたと称する幹細胞を含む美容液の広告

です。

幹細胞を病気の治療に使用することはまだまだ研究段階とも言えるのに、なんで幹細胞を含む美容液が既に販売され、医師の診断もなく、医師が処方しないでも簡単にネットで購入できるはずないじゃん❗

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https://lp.chrono-cell.jp/lp?u=cc-tel_00_ch&gclid=CjwKCAiA4OvhBRAjEiwAU2FoJYkuYphkZX4QzjJ4-HwiX8TbggpdKd4XzbXIJ1luvFMnsTi4IVGaLxoCEkEQAvD_BwE&trflg=1

⋯このURL長い❗

一般ユーザは広告に出ている医学誌を読む機会はまず無いと考え、余計なお世話でしょうけど、医学誌に掲載された美容液の広告で提示されている医学誌の詳細をお伝えいたします。

シワが有意に改善されていた、でも対象人数はたったの21人じゃん❗的な驚きを見いだせる医学誌に掲載された論文は「バクチオール配合美容液「エイジスト ステムエッセンス」の目尻のシワ改善効果」(医学と薬学 2018年11月号 P1443)です。

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幹細胞はステムセル(stem cell)ですから、ステムエッセンスとネーミングされた美容液は幹細胞が入っているよ❗とイメージを与える効果がありますね。

ただでさえ女性ファンが少ない私ですけど、どうしても書き残しておきたいことがあります。「この美容液って幹細胞が入っているのよ❗」って購入してしまう層は、多分ステムセルからインスパイアされたステムセルから幹細胞をイメージしてしまうことは少ないかも、です。これはかなり女性を敵に回してしまう表現かもしれませんけど(汗)。

幹細胞美容液の広告は幹細胞、幹細胞というけど本当に幹細胞が入っているの?

幹細胞を簡単に説明しますね。通常の細胞のように自分を同じ細胞を作るのではなく、他の細胞になることができる細胞、それを幹細胞と呼んでいます。

ところで幹細胞、幹細胞❗と幹細胞を必要以上にありがたがっている自称美容専門家がネット上で目立ちますけど、そんな美容専門家の多くが細胞の「分裂」と「分化」の違いさえ理解していないようです。細胞分裂は自分と同じ細胞を増殖すること、細胞の分化は自分とは違う細胞になることなんだけどなあ⋯。

医学誌に掲載された幹細胞美容液の研究内容はこんな感じになっています。

  • 35才以上50才以下の21人の女性が研究対象
  • 各々の顔の半分にステムエッセンス美容液を塗り、もう片方にはステムエッセンス美容液を塗らない、いわゆるハーフフェイスと呼ばれている方法で実験
  • 4週間後に専門家が目視で評価、およびシワ三次元定量データを解析

その結果、

幹細胞美容液を塗ることによって目尻のシワが改善した❗

ってことらしいです。

シワの評価方法として三次元定量データを使用した点は評価できると判断します。また、専門家の目視も緩い基準ではありますが、美容的な観点からは致し方ないかも、と判断します。

しかし、

この美容液に幹細胞なんて一切含まれていません❗

含まれているのはヒト線維芽細胞順化培養液、ヒト脂肪細胞順化培養液エキス、ヒト骨髄幹細胞順化培養液、ヒトオリゴペプチドー1、合成ヒト遺伝子組換ポリペプチドー31、ヒトオリゴペプチドー13、合成ヒト遺伝子組換ポリペプチドー81などじゃん❗クロノセル CHRONOCELL原材料名(https://myfabius.jp/products/chronocell

さらにヘンテコなことに気がつきました。

植物の幹細胞とヒトの幹細胞では大きな違いがあるのでは?

医学誌に掲載!とネット広告には書かれています。前掲のようにヒト由来の幹細胞培養液の一部が美容液に含まれていることがわかりますよね。でも医学誌「医学と薬学 2018年11月号」に掲載されている幹細胞関連論文で使われているのは株式会社MEJが製造した植物由来の幹細胞培養液。

ヒト由来と植物由来では大違いなのでは??❗

さらにさらにヘンなことを思いついてしまいました。

ヒト幹細胞由来培養液が主成分の美容液、このヒトって誰だ???

です。

幹細胞の特徴は自分以外の細胞に分化すること、例えばiPS細胞はヒトの体のほとんどの細胞に分化する能力を持っています。

美容液に本当に幹細胞が含まれていたら⋯皮膚以外の臓器が出来上がる可能性があるんじゃないの?との疑問も出てきます。

幹細胞、幹細胞と素人さんが騒ぐのはいかがなものでしょうか?

この美容液を幹細胞美容液と名乗って販売している通販サイトが多数です。

「幹細胞美容液」にて検索した結果

GoogleChromeのシークレットモード「幹細胞美容液」にて検索した結果です。もしも、本当にこの美容液に幹細胞が含まれていて、皮膚内に浸透した場合はかなりヤバいことが起きる可能性があります。

しかし、気になるなあ⋯

「ヒト幹細胞 美容液」で検索するとゾロゾロ出てくるけど、このヒトって誰だ???

しつこいですが、この疑問が頭の中をグルグル状態です。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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