帯津良一医師があのアエラとタッグを組んだ連載記事、どっから見てもトンデモ。

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AERA(アエラ)の医療関連記事って、なんじゃこりゃ的なものが目立ちます。

もちろん玉石混淆でたまには良記事もあるにはあるのですが。今回は帯津良一医師とアエラという強力タッグによる連載記事の凄さをお伝えします。

代替医療界の大物とアエラのタッグ、悪用されないことを祈ります

私的にはどうしても医学的に確実に誤認しているような記事、あるいはトンデモに分類されるべき医療関係者の記事についつい引き寄せられ(引き寄せの法則じゃないよーだ)しまいます。

やっちゃった、アエラ。「絶対に電子レンジを使わない」食の専門家はトンデモさんだよ❗!

やっちゃった、アエラ。「絶対に電子レンジを使わない」食の専門家はトンデモさんだよ❗!

私達の身の回りは電磁波だらけです。なぜか以前から電子レンジばかりやり玉にあげられていますが、エアコン・掃除機・ドライヤーなども電磁波を発生させます。つまり健康に影響がないレベルの電磁波しか発しません。パソコンや携帯電話・スマホなどは厳しいチェックを経た製品しか販売できません。電磁波対策と称した情報は基本ビジネスです。

週刊朝日の医学記事は一線を越えてしまったようで⋯高濃度ビタミンC点滴療法でがん治療??❗

週刊朝日の医学記事は一線を越えてしまったようで⋯高濃度ビタミンC点滴療法でがん治療??❗

世の中にはたくさんのクリニックがありますが、高濃度ビタミンC点滴療法を実践しているクリニックが意外と多く見たことがある方も多いでしょう。高額なだけで効果なく、当然標準医療ではない高濃度ビタミンC点滴療法ですが、がん治療に効果があるとする記事が週刊朝日に掲載されました。これは医師からすればあるまじき行為です。

とか、一連の朝日系メディア「アエラ」関連ブログはPCの場合は右にある、スマホの場合は下の方にある「症状・治療機器等検索」をご利用くださいませ(これ今までサイト内を網羅していなかった欠点があり、先日改善したのでインフォメーションっとw)。

今回は医療業界のビッグショットである帯津良一医師とそのちょっと如何なものかねえ的媒体アエラがガッチリタッグを組んだ連載記事を見つけました。

画像

https://dot.asahi.com/wa/2018100500009.html

「指圧・マッサージと認知症予防はいい関係? 帯津医師の見解」と題されたこの記事ですが、ネット上の医療・健康関連情報のいいかげんさが問題になっている昨今、アエラらしい絶妙のテクニックを駆使して標準治療とはちょっくらかけ離れた主張を繰り返す医療業界(って言っても一部のマニアックな)のビッグショット帯津良一医師のお話を分析して見ますね。

健康記事のタイトルに「?」をつけて「見解」とする高度なテックニック(笑)

よくもここまで適当な医療記事を掲載するよね、って批判され閉鎖された健康関連サイトが以前ありました。素人ライターにどっかから引っ張らせた記事でページ数を水増ししているような医学健康関連サイトは複数まだご健在のようです。

正しい情報が求められるべき医療記事に東スポの見出しで多用される⋯か?的な「?」をタイトルにつけることでこれは標準医学で100パーセント確認されているものではないですよという逃げ道を残すことが可能であり、※個人の感想です的なさらなる逃げ道である「見解」をタイトルにつけてしまう老獪なアエラ編集部の高度なテクニックにシビれてしまいました。

まあ、タイトルごときに対してゴチャゴチャいうのも大人気ない対応なんでこれから本題に入りますね。

そういえば私のブログもタイトルに「?」ついているの多いか(笑)。ブログだから※個人の感想です、だし。

果たして帯津医師が語るように、指圧やマッサージは認知症予防に効果があるのか?

帯津先生の認知症の記事はのっけから私の知識と大きく乖離しております。例えばこの出だしの指圧は中国古来の治療法で、経穴、経絡を刺激は、非常に気になります。

指圧は私が知る限りでは「指圧の心は母心、押せば命に泉湧く❗」のキャッチフレーズで有名だった浪越徳次郎さんが発案された民間医療です。この浪越徳次郎さんは当時奥様番組でしばしば取り上げられ、浪越さん専用のコーナーが作られていた奥様番組(当時は情報バラエティ番組との用語は無かったはず)もありました。小学生の頃、母親とテレビを観ていると浪越さんが女性モデルの胸部に指圧を施す場面になると「さっ、勉強するかな」と言ってドキドキしながら離席した甘酸っぱい思い出があります。

この指圧に対して「代替医療のトリック」中でサイモン・シンは

普通のマッサージ以上に、この療法に時間と金をかけても、それに見合うだけの効果は期待できない

代替医療のトリック

と無慈悲は評価を下しています。

当時浪越さんは家庭で簡単にできる民間医療として指圧を紹介していたことを創始者であると考える先人に対しての敬意を示す意味で記しておきます。

効果効能については、気分転換になって気持ちいいかもレベルの指圧ですけど、帯津先生、本当に指圧って中国古来の治療法なのでしょうか?

もしもそのような文献があるのなら、ぜひサイモン・シンに送付して著作の間違いを教えてあげてくださいませ(サイモン・シンも創業者は浪越徳次郎さんと考えています)。

さらにこの文章もかなり気になります。

目に見えない電磁波を理解するには場の理論が必要です。同様に生命にも場の理論があって、その生命場のネットワークが経絡であり、トリガーポイントになるのが、経穴だと考えています。

唐突に飛び出してきた魅惑のキーワード、電磁波❗

西洋医学的手法で経絡や絡脈を証明することが不可能であったとしても目に見えない電磁波であっても、電磁波が出ているかどうかは簡単に解明できますぜ❗

少なくとも理系の方は高校レベルの物理でも電磁波は波長によって分類されること習ったことあるはずです。電磁波は電波・紫外線・可視光線・X線・ガンマ線などなどありますが、帯津先生のおっしゃる生命の場の概念における電磁波の波長はどうなっているのでしょうか?どんな波長であっても電磁波を測定することは可能ですから、ひょっとしてその波長さえ判れば、帯津理論は世界中の科学者が論文に成し得なかった生命の根本的な謎の解明に結びつくかもしれません⋯もちろんノーベル賞ゲットは確実。

さらに帯津医師の格言は続きます。

経穴、経絡を刺激する指圧は、生命のエネルギーを高めます。生命のエネルギーが高まれば、免疫力、自然治癒力が上昇します。それが認知症予防につながることは、これまで何度も語りましたが、間違いのないことでしょう。

うっ、存在が明らかになっていない経穴、経絡、そして中国古来とも明らかになっていない指圧、どのような方法で計測したのか不明な生命のエネルギー、医学的用語に聞こえるがノーベル賞を受賞した本庶教授がいいかげんな治療方法が巷を賑わしていると酷評した免疫、こんな感じの裏付けに乏しいとの批判なんかどんとこい的文章の後に続く「認知症予防」、こんな主張を医学知識を持ち合わせたまともな人は無批判に受け入れることは無いと考えます。

この記事後半に「樹状細胞」に関する話が出てきて、これ疑問がテンコ盛りです。さらにトンデモ本指定(誰が指定したんだw)されている『皮膚は「心」を持っていた!』の著者の発言も記載されていますけど、長くなるので止めておきます。

だからこそ、タイトルに「?」が付いて、さらに「帯津医師の見解」という逃げ道というか、テクニックを駆使しているんでしょうね、老獪なアエラさんは。

帯津医師との個人的な出会い

実は私は10年以上前にリアル帯津先生にお会いしたことがあります。医療業界では海外でも有名な某科の某教授の一般向け本の出版記念パーティーだったっけかな、確か(認知症じゃないよ、ただの物忘れ)。某教授が今後も一般向けに正しい医療情報を発信する予定だったために、普通の人ってどんな医学・健康関連図書を読んでいるかを調べたところ、ダントツに人気があったのがこの帯津良一先生でした。

そこで出版社を通してパーティーに帯津先生を招待したのですが「おい、桑満、この方があの帯津先生❗一度お会いしたかったんだよなあ」と私と某教授で帯津先生のところに駆けつけました。私、某教授、帯津先生の3人でほんの数分立ち話をしました。お忙しい帯津先生が途中退席された後「ねえ、桑満。一般的に人ってあんな話を信じちゃうの」と某教授。「だってメディアが取り上げると一般の人は信じちゃうもん」と私。

無責任でいいかげんな医学健康情報に対して、ネット上で批判を繰り返している現役医師って実はごくごく少数であり、トンデモ系の医学伝道者だとしても、どうしてもメディアにしきりに登場する医師の主張の方がなぜか信頼度が高いのが世の流れです。

帯津良一先生の民間医療に対する暖かい眼差しにシンパシーを持った民間医療というよりニセ医学を理論背景としたインチキ治療家(もちろん無資格)も多くいる状況を考えるとトンデモ方面医師の言動は目を離すことができません。

認知症の方に対して周囲が言葉を掛けたり、マッサージ等で身体的な接触を試みると症状が軽快することは多くの論文によって報告されています。本当の効果を判定する手法である二重盲検法を用いることが難しい認知症です。

しかし、ヘンテコな理論を駆使してご自分の主張を裏付けようとすればするほどトンデモ界隈が大喜びし、悪用されかねないことをメディア上有名な大物医師は頭の片隅に入れておいていだだきたいと思います。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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