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歴史上日本人が一人しか感染していない「ロスリバーウイルス感染症」ってなんだ?

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先日、インフルエンザの事を調べていて、私が良く見るサイト「国立感染症研究所」のHPにこんなタイトルのページが有りました。

国立感染症研究所

世の中にウイルスは数あれど非常に珍しいウイルス。その名も「ロスリバーウイルス」。こんな名前医療関係者でも、知っている人は極々一部だと思います。私が勉強不足だったわけではないとおもいますが(汗)。

ロスリバーウイルス(Ross River virus:RRV)感染症とは主にオーストラリアを中心としたオセアニアでみられる、RRVによる感染症。これまで日本人でかかった人はいなかったのですが、ワーキングホリデーでオーストラリアに行っていた31歳の日本人女性が、初めて感染したとのことです。

海外から持ち込まれるウィルスに注意を!

このロスリバーウイルスっていうのは、オーストラリア中心にもともと存在するものらしいです。運悪くこの感染症に罹患した方は女性でワーキングホリデーでオーストラリアに滞在していたものです。

症状としては全身の関節痛とそれに伴い関節が動かなくなる症状です。血液検査の結果が公表されていますが、一般の血液検査では正常と判断しざる得ない結果です。

その後、免疫系等の検査をしてロスリバーウィルスの抗体が見つかったので診断ができたとの経過報告です。日本に帰国してさらに詳しい検査をしたところヤッパリその感染症で間違いないとされました。

なんでオーストラリアですぐ診断できなかったのかな?

ロスリバーウイルスってオーストラリアでは年間4000人が感染する病気なんですが、なぜ現地ではすぐにこの病気を疑わなかったのか少し不思議です。

病気自体一週間程度の症状で収まり、致死的な病気ではないのでその様な扱いになっているのだと思います。治療自体も対症療法しかないので仕方がないのかもしれません。

もちろんワクチンも開発されていません。

www.sahealth.sa.gov.au

http://www.sahealth.sa.gov.au/

現地オーストラリアのインフォメーションでも特別な治療は無いとしています。

メチャ早い感染症の広がり

今回のロスリバーウイルスは蚊に刺されることによって感染するものです。致命的な結果にはならないようですが、今では誰でも気軽の海外旅行ができる時代です。

観光庁

観光庁HP

嘘か本当か詳しくはわかりませんが、クリストファー・コロンブスがアメリカ大陸を発見したのは1942年です。アメリカ大陸の風土病とされた「梅毒」(ウイルスではありませんが)に多くの乗組員が感染し、その後帰国してヨーロッパに広がったとされています。

しかし、当時は海路または陸路でしか日本に来ることはできませんでしたがなんと1512年には日本で初めて「梅毒」の感染が報告されているのです。ありふれた言い方ですが、当時ヨーロッパから日本に来ることは宇宙旅行をするくらい困難な事だったのです。

それがたった100年で日本に上陸しています。感染症の拡大するスピードは驚異的です。

Who-brought-the-infectious-disease-to-Japan

この中の誰かがもらってヨーロッパに持ち込んだのです

一時期日本人が嫌われていました

今回のロスリバーウイルスは感染した方も無事でよかったですし、国内で感染が広がることもなく安心しました。

つい最近ですがアメリカで麻疹(はしか)が流行したことがあり「日本人が持ち込んでいる」と言われたことがあったのご存知でしょうか?

「ワクチンの安全性」が問題になって、1994 (平成6) 年の法改正でワクチン接種が義務から外された空白期間が存在していたのです。それを知ったアメリカの保健行政はアメリカではほとんど流行していなかった麻疹が流行するのは日本人留学生や旅行者が原因だ!という意見がでました。

アメリカに留学する患者さんにあわてて麻疹や風疹のワクチンを短時間で接種したことも何度もありました。接種証明を提出しないと留学を認めない州も結構ありました。

今年の風疹の大流行

今年風疹が大流行しましたが、これも副作用等の問題で接種を受けない「空白世代」が存在したためであることは以前ブログ「大流行のきざしの風疹 患者数は昨年の30倍!」でお伝えしました。

ワクチンの安全性は確認に確認を積み重ねないといけないのは当然です。中には効果自体に疑問を持っておられる方もいますが⋯。

麻疹は日本ではほぼ消滅

日本ではWHOの目標に従って「麻しん排除計画」を立てました。

麻しん排除計画

その後この計画は順調に進み今年の東京都の発生状況は

東京都の発生状況

こんな感じでほとんど発生していないに近いものになっています。

この方たちのウィルスを詳しく調べると「日本原産」ではなく海外から持ち込まれたことが想定されています。

となると疫学的にはやっぱりワクチンは効果があると言えるのではないでしょうか?

そうなると「子宮頸がんワクチン」は行政側の説明不足でへんてこりんな結末になってしまいました。その当たりはブログ「問題の子宮頚がんワクチンの効果は⋯ 性病には非常に有効でした。」をご覧ください。

話がグチャグチャだけど、結局何が言いたいの⁉

えーっとですね、

 珍しいウイルス感染症でも国立感染症研究所は公表している
⇒でもマスメディアは全然取り上げない
⇒風疹のように流行してからマスメディアは大騒ぎ⋯遅い

というのが一つでして、もう一つあります

子宮頸がんはどの様にして感染するのかを明確に(性行為です)
⇒接種対象者は感染を起こすのは将来のことです
⇒子供はモチロン親にもどの様な感染経路であるかを確実に広報する
⇒宗教や信念で子宮頸がんになることはその人のモラルによるという考え方もある
⇒上記を踏まえないでマスメディアを使って啓蒙運動を行った
⇒この流れを熟考しないで大多数にワクチンを施行した
⇒副作用が出るとそればっかりマスメディアは取り上げる

ということです。

マスメディアの方はぜひ医学の知識を持った記者の方を採用して正しい医学情報を伝える義務があると思います。

科学に少し詳しいだけの記者が記事を書き続けたために例のニセ論文「iPS細胞の森口氏事件」も引き起されたと思いますよ。

これからインフルエンザの予防接種の季節がやってまいります。ぜひ皆様も正しい情報をご自身で集めて注射をするのか、しないのかをご判断ください。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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