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健診と検診は違います、さらに人間ドックも。

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新年度を迎えて健診が始まる事業所も多くなっているのではないでしょうか?

「ケンシン」と呼んでいますが「健診」と「検診」は全く別物である、ということご存知ですか?

健康診断と検診は別物です

健診は正式には健康診断と呼び、普通に生活をしている人がひょっとしてなにか病気が潜んでいないか、をチェックするものです。会社側からすれば健康上不安を持った人に重労働やストレスの多い職場に配置し、万が一それまで症状を表さなかった病気が発症した場合、会社側の責任を問われることがあるので、健康体であるということを前もって証明しておきたいという考え方もあります。

一方の検診は多くの場合「がん検診」として行われることが多いのですが、定義としてはある特定の病気を発見する為に行われる診査を指します。胃がんは以前は日本人の死因の大きな割合を占めていましたが、早期発見により治療を開始すれば命を取られる病気では無くなりました。これは「胃がん検診」が広く行われた結果であると言えます。

ざっくりの健康診断

健診には法定健診というものがあって法律で各事業所が行うことが義務づけられています。皆さんが「ケンシン、ケンシン」と呼んでいるのは多くはこの法定健診なんです。この法律には罰則があって従業員に対して健診を行っていないと50万円以下の罰金となっています。

www_mhlw_go_jp_new-info_kobetu_roudou_gyousei_anzen_dl_130422-01_pdf

https://www.mhlw.go.jp/

検査の内容は必要最低限になっていますので、血液検査などは通常持病があって近所のかかりつけ医で行う項目よりかなり少ないものになっています。

しかし、厚生労働省が生活習慣病と呼んでいる糖尿病・脂質異常・高血圧はカバーされていますので、ある意味ではわざわざ病気を見つけにいっている検査という考え方をする人もいます。

個人情報管理の点から会社側が従業員の健康状態・持病を把握していることは健康に配慮するたとはいえやり過ぎ何じゃないの、という意見もあることにはあります。

検診の内容はほとんどがガンを見つけるため

検診は事業所に義務付けられたものではないので、多くの場合各自治体が行っています。受診については基本的に個人の自由とされていますが、自治体としては国から一定の目標値を達成するように指導されている様子です。胃がん検診、大腸がん検診、前立腺がん検診、子宮がん検診、乳がん検診などが行われています。

前立腺がんと乳がんではもともとその人の一生を左右する様な状態ではない「がん」を発見してしまう為に、余計な治療・手術が行われている可能性について世界中で賛否両論がでています。

人間ドックの扱いは事業所によって違っている

健診では法定健診の場合は検査項目が決められていますが、血液を取るなら他のものも調べたいし、半日〜1日拘束されてしまうので他の検査もやっておこうと考える人も多いと思われます。そのオプションとして任意健診と呼ばれるのが人間ドックです。

基本的には個人の意志で行う診査とされていますのが、会社や健康保険組合が費用を補助してくれる場合もあります。CTや胃カメラ、大腸カメラなどかなり詳細な内容を選択することもできますし、がん検診をカバーする検査を受けることも可能になっています。

人間ドックで毎年CTを受けていると検査被爆量が想像以上に増えるリスクがありますし、中には毎年血液型を調べている人間ドックもありますので検査する内容は各自が情報を集めて選択する必要があります。

メタボは健診?検診?

メタボリックシンドロームを厚生労働省と医療サイドが騒ぎだして、数年が経過しました。メタボケンシンはある特定の病気を見つけるものではありませんので「メタボ健診」と書くのが正解です。不思議なことに厚生労働省が定めている正確な名称は「特定健康診査」となっています。

重箱の隅的にいえば特定なものを検査するんだから健診ではなく、検診であるべきです。診断と診査の使い分けは以下の通りです。

  • 健康診断(前述の労働安全衛生法によるもの)
  • 健康診断(学校保健法によるもの)
  • 基本健康診査(老人保健法)
  • 乳児健康診査(母子保健法)

国・自治体が行うものは診査、職場・学校で行うものが診断という考え方をすればいいと思います。

「健康診査」であるメタボですが、特定健康診査と特定保健指導というものが一括りになっている点が不思議です。メタボ健診で引っかかった場合、特定保健指導というものを実施することが義務付けられています。

厚生労働省:政策レポート_特定健康診査(いわゆるメタボ健診)・特定保健指導

厚生労働省HP

これが特定保健指導の考え方らしいです。

メタボ健診で引っかかった人は見つけてしまった自治体がこの特定保健指導をおこなわないとペナルティを課しますよ、ということになっています。メタボという概念自体が実は世界的にはこれまた賛否両論あるのですが、それは以前ブログでお伝えしました。

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国としては超高齢化社会によって保健財政が破綻する可能性があるために、まえもって死因の原因となっている状態を改善しようという試みなんでしょうけど、これによって必要ない検査が保険診療で行われていく可能性は検討していなかったのでしょうか?

間違いなく余計な検査が全国の医療機関で行われていると私は考えます。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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