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「脱ステロイド」はアトピーを悪化させる危険な言葉、近寄らないことが治療の王道。

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アトピー性皮膚炎は治療が長期におよぶことも多いために、ドクターショッピングと呼ばれる主治医を転々とする患者さんも少なくありません。

しかし、「脱ステロイド」を治療の特徴としている医師もいます。脱ステロイド至上主義の危険性をお伝えしなければならないと思います。

脱ステロイドに惑わされることは危険です

ひとさまの子育て方針に口をはさむつもりは一切無いけど、これは口を出したくなってしまいます。

脱ステロイドと言われる行為の影響

私はhttps://twitter.com/kuwamitsuosamu/status/1268951594374062080とツイートしてしまいました。

このような脱ステロイドと言われる行為が一部の医療不信の方々や自然派をこじらせた方や余計なアドバイスをする取り巻きがいる方の間で今でも根強く行われています。

※注意

私はアメブロに脱ステロイドの記事を掲載している方を責め立てる気持ちは一切ありません。またこの方の他のブログ記事を取り上げて必要以上に詮索してトンデモ扱いする気持ちも一切ありません。赤ちゃんの健康状態とご自分の赤ちゃんの画像をアップして脱ステロイドの効果を誇示する心理状態を心配しています。

脱ステロイドを推進している医師はたったの30~40人⁉

悪貨は良貨を駆逐する、との格言があります。まさに脱ステロイドという悪貨は標準治療という良貨を駆逐しているのが日本の医療の現状です。なんでもかんでもステロイドは悪である、と主張している医師はこの論文によれば、たったの30~40人程度らしいのです。

2019年2月18日 「医療従事者の需給に関する検討会」のデータ

日本における医師の数は32万人程度、8685人(2019年2月18日 「医療従事者の需給に関する検討会」のデータによる)。

皮膚科医の中のたったの0.4%程度によって非科学的・非医学的な脱ステロイドが喧伝されているのに、なぜこれだけ間違った治療方法である脱ステロイドを実行している患者さんを見かけてしまうのか不思議でしかたありません。

私が医師になった1980年代後半には脱ステロイドを謳う一派がすでに存在していた記憶があります。なぜ未だにステロイドの怖さを必要以上に喧伝して脱ステロイドを推奨する医師が少数ながら存在し、標準的な皮膚科治療の邪魔をするのか⋯たぶん、医療とはかけ離れたビジネスが裏に潜んでいるように強く感じています。

これはある医療機関のウェブサイトのトップページです。

絶対にステロイドは使わないクリニック

https://matsumotokanpouclinic.com/より

「絶対」は医師なら「絶対」使うべきではない言葉ですし、「訳のわからない」ことを言っているのはこの医師のように感じるのは私だけでしょうか?ちなみにこの医師は皮膚科を専門とはしていないことがサイトから知ることができます。

アトピーで使用されるのはステロイドの塗り薬、これを免疫抑制剤とのセンセーショナルな言葉をそえて「悪者」に仕上げる手法、どうなんでしょうねえ⋯。

信念をもって医療に従事することは善行と言えるでしょう、でも、それは科学的・医学的に正しいとの大前提がある場合に限るのではないでしょうか?

脱ステロイドは一般書籍とネット情報で拡散している

ステロイドから脱却することを推奨する流れを「脱ステロイドビジネス」と称することがあります。

医療関連で「ビジネス」が使われる場合、一般的に良い意味では無いことが多いです。

Amazonの書籍カテゴリで「脱ステロイド」で検索してみると、出てくる出てくる、ステロイド依存からの脱却を目指す「脱ステロイド」の指南書が。そもそも塗り薬をアトピーに使用するレベルでステロイド依存と呼ぶこと自体に違和感がありますし、脱ステロイドとタイトルに記されている一般書籍の多くは医師ではない著者の手によるものが目立ちます。

私は常識的な医学を批判する一般書籍は魅惑的に感じてしまう人もいることは医療サイドに問題もあることは肝に銘じて日常の診療に臨んでいます。トンデモ医学を信奉する人に多数お会いしてきて感じたことは論理的思考の停止です。熱狂的なトンデモ医学信奉者のグループに所属してしまうことのリスキーさを多くの方に知ってもらいたいと思います。

自費出版で、全国の学校の図書館に寄贈するとう方法で多くの患者さんをゲットした脱ステロイド本があります。

アレルギー背鼻炎と花粉症

私はこれ企画した人(故人)に、実際にお会いしたことがありビジネス哲学(?)を興味深く拝聴したましたからね。このオジサンの子供の1人がアトピーで失明しました(真偽は不明)。オジサンはステロイドが原因であると考え(本当であるならば、失明の原因はかゆくて目をこすり過ぎたからとおもわれる)脱ステロイドを当初は正義だと考えて広報活動を開始したとのことでした。

このようはビジネスはバイブル商法と呼ばれています。

一般書籍でアトピーについて学ぶならこれを推奨します

町医者をやっていると専門分野以外の病気の相談も受けますし、かんたんなものであれば治療もします。

以前、当院には皮膚科の専門医がいたので皮膚科を標榜していました。しかし、現在は美容皮膚科は標榜していても皮膚科の標榜は落としています。その大きな理由の一つが脱ステロイド信奉者による非科学的な考えによる批難にうんざりだからです。

大臣がこのような援護をしてくれて、町医者としては心強いです。

河野太郎氏のステロイドに関するツィート

https://twitter.com/konotarogomame/status/1271229397903630336

まあ、政治家ですので河野氏に対しては好き嫌いはあると思います。国民人気が高いとマスコミは持ち上げていますが実際の人気は不明、少なくともソーシャルでは人気あるようですね。

アトピーに悩んでいる方へ難しい医学用語を駆使して説明しても、脱ステロイドで洗脳状態になっている場合は説得は通常の診療時間内では無理です。

標準治療を否定して、原始的な治療を選択する人を「自然派さん」と揶揄してきた私ですが、今回の衝撃的な画像つきアメブロ記事を見てしまったら、下手すりゃ命に関わるほどリスキーであることを多くの方に伝えたいと考えました。

そこで私がアドバイス的に推奨しているのが以下の二冊の一般書籍です。

アトピーの治し方について書かれた良書

大塚篤司先生の「世界最高のエビデンスでやさしく伝える 最新医学で一番正しい アトピーの治し方」と堀向健太先生の「マンガでわかる! 子どものアトピー性皮膚炎のケア 」。この本が当時出ていたら今でも皮膚科の標榜は落とさないでも良かったかも。

トンデモのカテゴリーのなかで悪質なのがトンデモ医療、「ニセ医療は最悪のトンデモ事例」と私の愛読書である「トンデモ本の大世界」(と学会著 アスペクト発行)P27には記載されています。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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