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【都市伝説?】手術をするなら月曜日がオススメ⁉手術をした曜日によって死亡率は1.8倍も差が出る⁉驚きの結果

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海外では週末効果と呼ばれている現象があります。平日よりも週末に入院した患者の死亡率のほうが圧倒的に高いというのです。入院された経験がある方は、入院手続きの日程は病院側に言われるがままだったかと思いますが、私たち日本人は暦に拘る国民性があります。もし曜日によって手術の成功率が違うなんて話があったら、信じて、その説に合わせますか?合わせたくなりますよね。今回はそんなお話です。

手術日によって死亡リスクが違ってくる?

日本では暦にこだわる方が多くて手術日を決定しても「その日は仏滅だから、大安のこの日にして」なんて言ってくる患者さんがいそうですが、私の経験上はそのような事はありません。

ただ、年末とかは予定手術においては、なるべく大がかりで術後の管理に手間がかかってしまうようなものは、12月中旬に行うか、あるいはお正月開けてからの一月中旬にするとかの調整は今でも大病院では行われていると思います。緊急性の無いものでしたら、患者さんの家族の便宜も考えたら年末・年始に手術後の回復期が引っかかってしまう日程はさけて当然だと考えられます。

理由としては年末・年始にリスクの高い手術を行って万が一トラブルが起きてしまうと自分たちの休暇が台無しになってしまうからは、なんて考えている方もいるかもしれませんが、実際には日本ではその様には考え難いのです。患者さんを早く助けるために手術をできるだけ早く行いたいと心ある医師は常に考えています、というのも手術を先延ばしすることは宿題がドンドンたまって行くような気持ちになってしまうからです。

積極的に患者さんの利便を優先する病院では医師は夏休みは9月ー10月に取ることが多いのです。年末年始も患者さんが一時帰宅することが多いので、入院病棟は閑散としますが、万が一のために常に当直として医師は常在しています。当院は今年は院内の大改装がありましたので、お盆期間を夏休みとして休診にしましたが、開院以来16年間は夏休みでクリニックを休診にしたことはありませんでした。年末年始は医師会で協力しあって休日診療所を開設して患者さんが休日に体調を崩しても対応できる体制を取っています。

外国では「週末効果」と囁かれている現象があります

それは週末に入院した患者さんの死亡率が、平日に入院した方と比較すると断然高いというものです。有名な論文としては「脳卒中患者は平日入院した人より、週末に入院で死亡率が高い」というものがありますが、週末は受入側の態勢が整っていないことが大きく死亡率を左右した原因と考えられます。

今回の研究は単純に入院した日ではなく治療である手術を行った曜日にフォーカスを当てたもので、英国の研究者によって発表されました。

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手術行った曜日で検討すると明らかに土日の死亡率が高かった

土日は病院が休日態勢だから緊急に入院して手術する人、つまりもともとリスクの高い方が担ぎ込まれるから死亡率が当然、なんて思いませんでしたか?

今回の研究は前もって手術日を決めてから行う「予定手術」を対象に研究されたのです。

その結果、

月曜日の手術と比較して、土日の手術は1.82倍死亡率が高かった

との驚くべき結果が出ました。

今回の研究の詳細は「Day of week of procedure and 30 day mortality for elective surgery: retrospective analysis of hospital episode statistics」というタイトルでBMJに掲載されています(BMJ 2013; 346)。英国の国立病院で行われた手術413万3346例が対象となりました。

くどいですが、緊急に例えば交通事故で搬入されたとかは除かれた「予定手術」に絞った症例です。そして手術後30日以内に残念ながら亡くなってしまったかたの数を調べました。

全体で413万3346例の手術が行われましたが、30日以内に亡くなった方は2万7582人であり、1000人に手術を行った場合6.7人が無くなっている計算になります。方法は月曜日に行われた手術75万9969例の術後死亡率を1として基準にして、各曜日ごとの死亡率を比較しました。

     

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明らかにに土曜日、日曜日に行われた手術はその後の死亡率が高かったのです

手術って難易度によって死亡率も変わってくるんじゃない?と私のブログは私が理屈っぽく疑い深いせいか、読んでいただいている方も同様の傾向がありますで、その回答も用意してあります。

  • 死亡リスクが高いとされる食道の手術・直腸の手術・心臓の手術・大動脈瘤の手術・肺の手術だけに限って調査しても、大動脈瘤の手術以外週末に向かって死亡率が高くなっていた。
  • 死亡リスクが低い整形外科的手術はどの曜日に手術をしても死亡率に変化はなかった

と、この論文は述べています。

難易度が高い手術程この「週末効果」が表れていました。

単純に土日だけが手術の死亡率が高いわけではありません

このグラフが週末を迎えるにしたがって上昇していることに気づかれませんでしたか?単純に考えると土日が医師の休みであるとすると、週末の遊びモードが近づくにしたがって術後の死亡率が高くなるようなイメージが出てきます。しかし、⋯。

本当の原因はだらけた医師の態度ではない⁉

週末はこんなことして楽しんじゃうんだ!なんて考えながら手術をされたら患者さんとしてはたまったもんではありません。

今回の結果が導き出された理由として病気になって入院してから実際に手術が行われるまでの「待機時間」が長かったから結果が悪くなったんじゃないの?と論文を書いたP Aylin氏は言っていますが、それもなんだか納得できないんですが。

だって予定されていた手術なんですから、早めの手術が必要な方は優先して前倒しに治療しませんか、普通は。

月曜日に手術お願いします、は大病院では許されません

実際に日本における予定手術は各科目ごとに手術日が決まっています。例えば泌尿器科の手術は水曜日と金曜日とか、呼吸器外科は月曜日と木曜日とかの割り当てが有ります。

手術の前週に手術室を管理する麻酔科・手術室看護師そして各科の代表が手術に要する時間配分を決定して、もしも泌尿器科の手術予定の患者さんが溢れ返っていたら、たまたま整形外科が大きな学会があり手術の予定を組んでいなかったら交渉して整形外科に割り当てられた時間を融通してもらったりします。

       

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また、自分の科の実際の予定手術が翌週になくても、万が一緊急手術が発生する可能性があるので、「ダミー」と称して実際には行う予定がない手術を入れ込んでスケジュールを確保する場合もあります。

当院では週末効果も平日効果もありません

私のクリニックでも、美容外科手術を土日にも行っておりますがこのような傾向は一切ありません。

なぜなら、当院は美容に関しては無休で行っているからです。夏休みも今年は休みましたが例年休みませんし、年末年始もクリニックとしては休診にしますが美容はそれこそお正月でも術後の対応を行っています。美容系の手術は週末を利用したり、長めの休日に行いたいとのご希望が患者さんに多いため、そのような体制になっているんですが、ハッキリ言ってスタッフからの風当たり院長である私かなり強いです 涙。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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