白砂糖が体に悪いって本当なのか? 砂糖有害説とニセ医学オーソモレキュラーの深い関係

砂糖が健康に及ぼす害を必要以上に喧伝する人たちがいます。

そもそもなぜ砂糖は悪魔の食べ物なのか?自然派からマクロビ、そしてオーソモレキュラーというかなりトンデモの道を進んでしまっているようです。

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そもそも砂糖有害説の始まりは、「個人の感想です」レベル

ウィリアム・ダフティ(William Dufty)という人が「Sugar Blues 」という書籍を出版したのが、現時点で私が確認できる「砂糖有害説」「砂糖は悪魔説」の元ネタです。たまたま出会った砂糖抜きの食生活で健康になったことがきっかけで、砂糖抜き健康法を多くの人々に知ってもらうことが自分の使命であると感じちゃったんでしょうね。

砂糖有害説の言い出しっぺのひとりと考えられるウィリアム・ダフティさんの持病がかなりショボい。

  • 痔が出血しなくなった。
  • 肌が綺麗になった。
  • 朝、スッキリ起きられるようになった。
  • 痩せた。
  • 頭の回転が良くなった。

砂糖を敵視する食生活で上記のようにすっかり健康になったとのことです⋯まあ、どれもこれもあくまで個人の経験・体験レベルのようですけど。

「Sugar Blues」は砂糖が奴隷制度によって支えられた歴史などについて考察を加えていて、その意味では興味深い書籍です。しかし、ダフティさんはヘロインが自生していたケシから精製された化学物質であることから、精製されて作られる白砂糖は化学物質である、故に悪であるとのロジックを展開している点も別の意味で興味深いです。ちなみにダフティさんは医師や科学の研究者ではありません。

砂糖が心を狂わせる原因の根拠は不良少年が構成した体験が元ネタ

以前もブログ記事にした不良少年たちが食育によって良い子になったという感動的な話も、砂糖有害説の影響を受けた様子が窺えます。

確かにWHO (2020年から2021年にかけてちょっと権威が落ちたっぽい印象はあるけどね)は2014年に1日の摂取カロリーに砂糖などの糖類が占める割合を5%未満に抑えるような指針案を出したことは事実です。

WHOが糖類の摂取を減らすように伝えた、糖類はブドウ糖や果糖、そして砂糖であり、摂取を減らす目的は肥満や虫歯を予防することなのです。

非行少年を少なくするために、食育を推進させるために糖類の摂取を抑制することを提案したわけじゃ無いんだけどね。

教育者向けのサイト「TOSSランド」には凄まじいコンテンツがあることは以前ブログ記事でお伝えしました。

砂糖を摂取するするから低血糖になる、だから砂糖は悪魔?

砂糖悪魔説の多くは肥満や生活習慣病の敵であるから砂糖はNGとしている一方で、「砂糖は心を狂わせる」原因であるとの主張も見受けられます。砂糖が心を狂わせる仕組みとして、砂糖を摂取しているとインスリンの分泌が悪くなり糖尿病になるからである、と訳のわからない説明をネット上の健康医学関連記事で目にすることがあります。

砂糖を食べちゃうと血糖値が上がる → 血糖値を下げるためにインスリンが分泌される → しょっ中血糖値が上がるとインスリンを分泌する膵臓が疲れちゃう → インスリンが出なくなっちゃうよ

って、感じで説明している記事があれば、

大量の砂糖を食べちゃう → インスリンが大量に分泌される → 血糖値が下がりすぎる → 低血糖状態になり、心が狂う

との論法で砂糖は心を狂わせる説を説明しているネット記事や一般向け書籍もあります。

以上のロジックが医学的見地に立った正しいものであったら、糖尿病患者さん及び糖尿病をインスリンによって治療している患者さんは心が狂っていることになるのですけど、その辺りの見解を砂糖は悪魔説信奉者の方にわかりやすくご説明いただきたいところです。

砂糖有害説はマクロビオティックが言い出しっぺの可能が大!!

マクロビオティックの祖である桜沢如一氏の著書で1939年に発行された「砂糖の毒と肉食の害」があります(これ、以前購入しようと思ったけど国会図書館にしか無いんだよなあ)。

この中で砂糖に触れているのですが、とにかく精製された白砂糖が害悪の根源である的なことは述べているのですが、精製されていないてんさい糖などに関してはそれほど敵視はしていませんでした(かなり昔に目を通したものですので、もう一度国会図書館で確認して後日報告する予定です)。

白砂糖忌避 → 精製された人工的なものは悪 → 限りなく自然派へ

との流れは昭和初期には一部の日本人に刷り込まれた公式であったと考えられます。

前掲の私の食育関連ブログ記事に登場する学校の先生も、知ってかしらずかのうちにダフティさんの影響を受けていることが予想されますし、桜沢如一氏のマクロビオティックの影響を受けている可能性が大だと考えられます。

白砂糖は悪魔説は最終的にはオーソモレキュラーにたどり着く

トンデモ系ニセ医学なのに、現在でも持て囃されているオーソモレキュラー(分子矯正栄養学とか、、分子栄養学とか分子整合栄養医学とか称しているヤツ)についても触れています。

オーソモレキュラーに関しては以下のブログ記事以外にも多数書きました。

砂糖は悪魔とか、砂糖は心も狂わせる的な思考は人工的に作られた食材を口にすることがリスキーであるとの自然物が偉い的な思想が基となっているはずなのに、なんだかヘンなのです。なぜなら、

オーソモレキュラー療法を信奉する医師とか代替医療家はとにかく大量のビタミン摂取を患者さんや信奉者に勧めちゃうのですから。

とどのつまり、罪作りな大天才ライナス・ポーリングにたどり着いてしまう悪魔のループに陥ってしまう砂糖有害説でした。

執筆者情報

桑満おさむ医師

このブログ記事の筆者:桑満おさむ
Osamu Kuwamitsu, M.D.

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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