医学論文から読み解く「砂糖は麻薬並みの中毒性がある」これってホント???

ヘンテコな時間の流れと過ごしている2020年から2021年。なぜか今まで食べることは滅多に無かったお菓子をむさぼり食う自分がそこに居ました。

砂糖は麻薬並みの中毒性があるなんて話も出回っています。中には麻薬以上に中毒性があり依存症になってしまうリスクを伝える健康関連記事もあります。

砂糖は本当にヒトにとって依存性のあるリスキーな物質なのでしょうか?

砂糖中毒を克服する方法

https://www.emedihealth.com/beat-sugar-addiction.html

「砂糖中毒を克服する方法」[1]なんて記事も見かけます。

砂糖がたっぷり入ったお菓子は中毒性があるような気がしますけど・・・。

道理にかなったことなのか、理不尽なことなかの判別は保留しておくけど、昨年2020年3月あたりから本年2021年6月現在までは今までには無かったライフスタイルを何故か送っています。

そんなこんなのライフスタイルで今まであまり観ることが無かったテレビを視聴するとともにお菓子をつまむという癖がついてしまって、結果的には自分史上最高の体重に到達してしまいました。

ヘンテコなライフスタイル初期の頃は家族が食しているお菓子を貰うだけだったのが、自らいそいそとお菓子を買うようになってしまい、いつの間にやら自分でケーキを作ったりするまでに習慣が激変してしまいました。

ケーキを自分で焼いて気がついたことが、予想以上にど大量の砂糖を投入すること。これは以前からの私の主張である、「砂糖がからだに悪い説なんて嘘っぱち」と「砂糖は脳も心も狂わすわけないじゃん!」に反する行動のように思えてきてしまっています。

そこで昨日、こんなブログ記事を書いたのですが・・・・。

なんとな〜く、「やっぱり砂糖は癖になるかも」とか「砂糖って中毒性が高いような気がしないわけでもない」って気持ちを捨て去ることができません。

砂糖は麻薬並み、下手すりゃ麻薬よりやめられない可能性がある?

子どもの頃、大人が好きな甘いものを大量に食べようとすると、「毒、毒。子どもがそんなに食べちゃダメ!」とたしなめられた人もいるようです。

子どもにとっては害だけど、大人になれば許される嗜好品があるのは事実、砂糖もそんなレベルの嗜好品の一つであるとの考え方もできますよね。そもそも、世界中の医学研究者の誰が砂糖は麻薬である的な研究結果を導いたのかを調べてみたところ、「Sugar addiction: is it real? A narrative review」[2](PMID: 28835408)というタイトルの医学論文を見つけました。

「砂糖中毒:それはホント?」って感じの医学論文です。

砂糖中毒は本当にあるのか?

この論文は、砂糖は依存性のある物質とみなされており、さらに依存性物質以上の症状を引き起こすことがわかっている、と初っ端からアブストラクト(要旨)で言い切っています。

でもさあ、この論文では「Animal data」って書いてあるんだよなあ、つまり動物実験で砂糖の依存性や離脱症状(禁断症状のことね)が確認されている、ということなんです。逆に言えば、

砂糖の中毒性はヒトに対しては明らかでは無い!!ということと解釈できます。

この医学論文はあともう一点落とし穴があります。「Conflict of interest statement」(利益相反)として、この論文を書いた筆頭研究者は「The Salt Fix 」という書籍の著者ですし、2番目に記載されている人はサプリメント会社の経営者、さらに最後に記載されている人物はサプリメントを販売してる点を見落としてはいけません。

動物実験だけで確認された砂糖中毒

マウスを使った動物実験によって砂糖に中毒性があることを前提としてこの論文は書かれています。しかし、「Sugar addiction: the state of the science」(PMID: 27372453)という論文はヒトにとって砂糖中毒を支持する根拠は無いよ、との結果を伝えています。つまり、

動物実験で砂糖中毒という状態があるとの結果が出ていても、ヒトの場合に砂糖中毒があるという根拠は無し。

これが真っ当な医学的な判断なのでは無いでしょうか?

砂糖が悪者にされる理由はこれ!!

動物実験を背景として、砂糖の中毒性や砂糖は麻薬より危ない、との考え方ができたとしても、そもそもマウスが砂糖の美味しさを認識しているのか?砂糖の代わりに天然の甘味料と呼ばれるステビアを使ったらどうなるんだ?人工甘味料の代表格であるアスパルテームの場合はどうよ?的な疑問が噴出する研究結果だとも考えられます。

砂糖の摂取制限をWHOはこんな感じで声明文を出しています。

WHOは大人と子供の砂糖摂取を減らすように注意喚起

https://www.who.int/news/item/04-03-2015-who-calls-on-countries-to-reduce-sugars-intake-among-adults-and-children

「大人も子どもも砂糖は食べすぎるじゃないよ」と2020年のある出来事以来、少々信頼性が薄まったとの噂も聴かないわけじゃないWHOは注意喚起をしています。

でも、これは別に世界中に蔓延している麻薬禍と同じように砂糖の危険性を訴える内容では無く、

砂糖を摂取しすぎると肥満になり、様々な病気のリスク因子が高くなるから総エネルギー摂取の5パーセント未満にしようね!

という内容なのです。要するに砂糖がもろ有害であるわけでなく、砂糖の摂取量と高血圧や糖尿病のリスク因子である肥満は強い結びつきがあるから砂糖の摂取量を減らすことを伝えているのです。

結論:砂糖の中毒性はヒトに対しては立証はされていない、でも注意は必要

ヒトにとって砂糖が麻薬並みの依存性を持った危険な物質であることは、今のところは質の高いエビデンスによって支持はされていません。砂糖有害説・砂糖危なっかしい食べ物説は否定されたとしても、砂糖の摂取量と肥満には強い関係が複数の研究で明らかになっています。

でもさあ、あくまで個人の感想ですレベルなんだけど、私の場合、食後であっても自然と甘ーい甘いウエストのクッキーに手が出ちゃうし、いそいそとスーパーでチョコレート(リンツあるはリッタースポーツチョコレート)を買い物カゴに入れちゃうんだよなあ、しつこいけど2020年以来。体重が増加することがあっても止められなくなったこの悪癖、どう考えても「砂糖中毒」のような気が否定できないのです。

下手すりゃまだまだ続く可能性もある巣ごもり生活下における、己の右肩上がりの体重の原因は砂糖の中毒性にある、と責任転嫁できればどれほど楽なんだど・・・調べれば調べるほど砂糖は量にもよるけどそれほど健康に悪いものでは無さそうな結果を見つけちゃうような行動様式を改めた方がいいような気もしてきました。

やっぱり砂糖は中毒性があって、からだに良くないし、様々な病気の原因になるよ的な内容の医学論文を見つけたらブログで取り上げますね・・・それまでにどこまで体重は増加するんだろう?????

参考文献

  1. eMediHealth How to Beat Your Sugar Addiction(参照:2021.06.21)
  2. DiNicolantonio JJ, O’Keefe JH, Wilson WL. Sugar addiction: is it real? A narrative review. Br J Sports Med. 2018 Jul;52(14):910-913. doi: 10.1136/bjsports-2017-097971. Epub 2017 Aug 23. PMID: 28835408.

執筆者情報

桑満おさむ医師

このブログ記事の筆者:桑満おさむ
Osamu Kuwamitsu, M.D.

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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