【ニセ医学】胎内記憶がファンタジーやメルヘンでは無い理由

クスリやその他の問題でアーティストが活動を自主規制したり干された時に、「作品に罪は無いのになんで?」との意見も出てきます。絵本作家のぶみ氏の場合は作品自体が罪作りなものであることをご存知の方が少ないのかもしれません。

胎内記憶関連書籍

罪作りな「胎内記憶」というニセ医学をご存知でしょうか?

トラブル続きの2021年開催第32回東京オリンピック。関係者の辞任や解任のなかで多くの人達が、「絵本作家のぶみ、って誰?」とか、「なんで絵本を書いただけなのに辞退なの?」と受け止めているのかもしれません。

以前から絵本作家のぶみが科学者や医師に批判されている理由は、「胎内記憶」というトンデモ系ニセ医学を信奉しており、それが作品に反映されているからなのです。

2018年頃、絵本作家のぶみは「あたしおかあさんだから」という歌の歌詞を書いたことが話題となりました。それ以前にも「ママがおばけになっちゃった!」という絵本を書き、その衝撃的な内容が話題となっています。

私が絵本作家のぶみが胎内記憶という世迷い言に強く影響されていて、胎内記憶は幼児虐待さえ肯定してしまいかねない危険な考え方であることは残念ながら今回の辞任劇ではあまり話題にはなっていません。

胎内記憶とは?

赤ちゃんからのメッセージというシリーズの書籍第一巻「妊娠中して欲しいこと して欲しくないこと」(発行 美建ガイド社)という奇書があります。

胎内記憶関連書籍

監修は経皮毒などのトンデモ系ニセ医学で有名な真弓定夫医師と胎内記憶の主宰者池川明医師です。

ここにはこのような記述があります。「近年確実にわかった事があります。それは・・・胎内の赤ちゃんに意識があるって?」(P19)

ここまでは許容範囲としますね、意識という用語を医学用語として取り扱うか、思想上の哲学的用語として取り扱うかでニュアンスの違いが出てきてしまいますので。

続いて保育園や幼稚園などに子どもが通うお母さんにアンケートを行ったところ

「胎内記憶がある」約3割「誕生記憶がある」約2割にもなったんですよ

妊娠中して欲しいこと して欲しくないこと(P20)

と池川明医師が語る場面が書かれています。保育園児や幼稚園児の胎内記憶の証言として

「お腹の中でグーパーしていたよ」

「口はあったけど何も食べなかったよ」

「お腹の中にいる時(帝王切開のため)包丁(メス)が刺さって来てとても怖かった」

「白い服を着た医者にお尻を叩かれた」

妊娠中して欲しいこと して欲しくないこと

等などの幼児の胎内記憶の証言が書かれています。また生まれる前にお母さんが旅行したと思われる景色を胎内記憶として語りだす幼児もいるようです。

赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいる時のことを憶えているファンタジーでありメルヘンチックな話だと判断するとかなり危なっかしいことになってしまいます。

私は思想信条に関わらずついつい変なものは変と言ってしまう大人の対応が出来ない一町医者です。言論の自由は絶対的に守られるべきことである、と考えるとともにデマで人々を惑わせることは思想信条の問題外であり言論の自由なのだろうか?と常に自問自答はしております。焚書坑儒は嫌です。

胎内記憶に強い影響を受けた絵本作家のぶみの「子どもは親を選んで生まれてくる?」

のぶみの2019年の著作として「うまれるまえにきーめた!」(発行 サンマーク出版)があります。出版社を見てお察しの方も多いことをトンデモウォッチャーを自認する私としては期待してしまいます。

生まれてくる赤ちゃんがどのお母さんにしようかと選択する場面がこの絵本に描かれています。赤ちゃん候補グループは多くの妊婦さん候補の中からお母さんを選別し、

「ちがうの みんなはね あのママえらばなかったから えらぶのよ」

「うまれるまえにきーめた!」

と、非常に残酷なことをのぶみ氏の絵本のなかの赤ちゃんは語っています。

「子どもは親を選んで生まれてくる」はなぜ危険な考え方なのか?

数多のお母さん候補の中から自分を選んで生まれてきてくれたことを我が子に感謝する、そんな考え方は有りのような気もしますが胎内記憶の言い出しっぺであると考えられている教祖的存在の池川明医師の思考回路は危なっかしい方向へ突進します。

池川明医師の2007年の著作「子どもは親を選んで生まれてくる」(発行 日本教文社)は「流産した赤ちゃんからのプレゼント」「死産した赤ちゃんからのメッセージ」といったショッキングな章から構成されています。

胎児に意識があり、胎内での記憶を語る赤ちゃんがいたとしても胎児は自らの意志で流産を選択したり死産を選択したのでしょうか?

胎内記憶は幼児虐待を肯定しかねない

目黒幼児虐待事件をご記憶でしょうか?私は目黒区でクリニックを営んでいるためにこの事件に関しての意見を担当の刑事さんに求められたことがあります。もちろん保護者に虐待されつづけて死に至った女児の今でも時々記憶がよみがえる悲惨な写真も拝見しました。

心理カウンセラーと称する心屋仁之助氏は母親から叩かれて育ったママ相談者が自分の子どもを叩いてしまうとの相談に対して、

「キミの娘さん叩かれるために生まれてきたのよ だから、叩きたくもないキミを動かしたのよ」

https://www.excite.co.jp/news/article/Cyzowoman_201809_post_201317/

と回答しています。池川明医師発の胎内記憶という妄想がのぶみ氏という絵本作家に影響を与え、心理カウンセラーと自称する心屋仁之助氏にこんな回答をさせてしまっているのではないでしょうか?

池川明医師の広告塔である絵本作家のぶみ氏

前掲「赤ちゃんからのメッセージ」シリーズの第3巻では

小さいうちに躾けなならんのはサーカスの猛獣も赤ちゃんも一緒なんや!

「赤ちゃんからのメッセージ」シリーズの第3巻(P45)

に続いて幼児を顔やお尻をお母さんと思われる人が叩いているシーンで

幼児は叱られても失敗しても簡単に忘れるという長所をもっています 3歳までは叱っても叩いても記憶には残りません

「赤ちゃんからのメッセージ」シリーズの第3巻(P45)

と書かれています。胎児の記憶は残っていても、3歳の記憶は残らないの???とまともな思考回路だったら疑問が出てくるはずなんですけど・・・。

のぶみ氏が世界的なイベントの出演を辞退したことを多くのメディアは過去のいたずらや暴言が原因であるように報じています。私は胎内記憶を信奉するのぶみ氏の危なっかしい思想(商売上、それを信奉しているふりをしているのかもしれないけどね)、そして胎内記憶という罪作りなニセ医学を喧伝する教祖池川明医師というトンデモなんてかわいい表現が適さない疑似科学系デマ医学は表に出てはいけないものだと判断しています。

のぶみ氏が池川明医師とどんな関係にあるかは、これをご覧くださいね。

誰が誰と親しいとかまったく興味はないけど・・・この人脈からのぶみ氏がオリンピックのイベントに出演することが決まっていたら結構嫌かもね。

権力志向なんでしょうねえ、池川明医師ものぶみ氏も。

執筆者情報

桑満おさむ医師

このブログ記事の筆者:桑満おさむ
Osamu Kuwamitsu, M.D.

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

五本木クリニックのブログを購読する

五本木クリニック院長のtwitterアカウントをフォローfeedlyで五本木クリニックのブログを購読するfeedlyで五本木クリニックのブログをinoreaderで購読