リンパマッサージでダイエット効果?瘦せるわけないです!

リンパマッサージって気持ちいいし、アロマオイルを使ったマッサージなんか、気分的にリラックスができ、リフレッシュ効果は高いのは間違いありません。

雑誌やネットを見ても「リンパマッサージで小顔を」とか「リンパマッサージで脚がスッキリ」なんてものが目に入ってきます。最近、民間療法に凝りだした私はふくらはぎマッサージがお気に入りです。でも、痩身つまり「やせる」と言うことを厳密には本来の意味とは違っていますが「ダイエット」と普通は呼んでいますね。

じゃあ、リンパマッサージでダイエットは可能なんでしょうか?

医学的にもリンパマッサージはあるのです

リンパマッサージによる効果と目的とするダイエットが実現できるのかを考えてみましょう。

リンパマッサージで痩せることはできません。ダイエット効果はなし。

リンパマッサージの本当の効果とは?

乳がんや前立腺がんの手術後に手足がむくんだ状態になり、見た目だけでなく、感染症のリスクも大きくなりますので、リンパ浮腫は医学上は大問題であることは間違いありません。非常に重症の場合は、リンパ管を手術する(顕微鏡を使用した非常に難易度の高い治療)を行うこともありますが、まずはリンパドレナージュ(リンパドレナージ)という方法を試します。

表面に体液が溜まった状態のリンパ管をマッサージによって深い傷がついていないリンパ管に押し戻すようなマッサージです。これは見よう見まねで行うことは危険ですので、この治療は「リンパ浮腫指導管理料」として健康保険の対象となっていてますが、リンパマッサージの技術をマスターした人が少ないことが問題になっています。「一般社団法人 リンパ浮腫指導技能者養成協会」というところが中心となってリンパ浮腫を改善できる技術を持った人を養成しています。

残念ながら現時点でリンパ浮腫を治すことが可能であると医学的に証明されている方法は手術とリンパ浮腫技能者によるマッサージ以外は圧迫を目的としたサポーターによる圧迫帯を使用したものだけなんです。

浮腫を治すサポーター
http://www.nakcorp.co.jp/

リンマッサージによるダイエット、特に足やせは一時的なもの

リンパマッサージの効果によって副交感神経が刺激され、リラックスすることによりホルモンの分泌が⋯という「風が吹けば桶屋が儲かる」的に説明は今回は取り上げません。そのようなリンパマッサージの効果・効能を謳った広告も見かけますが、普通はマッサージにリンパ系の流れを取り入れた医学的な裏付けのある施術を「リンパマッサージ」と呼んでいて、施術を受ける側もそのように理解していると思われます。「経絡リンパマッサージ」という不思議なものは今回は無視します。

足やせの場合は、ただ単に重力によって下肢に溜まっていた体液を強制的にリンパ系、静脈系へ押し込んで、見た目がその場は細くなりますので、リンパマッサージでダイエットに効果があった!と言っているだけと思われます。それだったら弾性ストッキングを着用しておけば、同様の効果が期待できますし、起きている間に下肢に体液が溜まることも防ぐことが可能となります。弾性ストッキングの着用感の悪さ、履きにくさは改善の余地が多いにあることは間違いありませんけど。

なぜ、リンパマッサージにダイエット効果なし、と声を大にするのか

これには理由があります。当院の患者さんで足のむくみがひどく、出産後ということもあり、「下半身が太ったんだから、ダイエット治療としてリンパマッサージを選択」した人がいます。ダイエット効果を期待したのに、下手すりゃ入院しなければならないことになった患者さんがいるのです。

無資格者によるリンパマッサージで蜂窩織炎を起こした症例

リンパマッサージはなかなかダイエット効果が無かったのですが、本来真面目な患者さんでしたので長期間リンパマッサージのエステ?に通ったあげく、蜂窩織炎を引き起こしました。

皮膚細菌感染症_蜂窩織炎や丹毒など____皮膚科___五本木クリニック

当院を受診したときは血液中の白血球が15000を越えており、炎症反応を示すCRPも3+を示していました。そんな検査結果待たずとも、見ただけで足は太ももからふくらはぎに掛けて通常の二倍程度に腫れ上がっていて、真っ赤になっていたのです。リンパマッサージによるダイエット効果が現れないので、店主が思いっきりガシガシ足を揉んだ為に皮膚の表面に傷がつき、そこからバイキンが入ったため起きてしまった事故です。

リラックス効果によってダイエットが可能となる、なんて理論も疑問だらけなのですが、今回はこの辺で止めときます。もう一度確認しますね、私はマッサージが効果無いといっているわけではありません。

ただ、リンパマッサージと言う名称が本当にがんの手術後のリンパ浮腫に悩まされている方の治療法のごとく使われていることに納得がいかないのです。

執筆者情報

桑満おさむ医師

このブログ記事の筆者:桑満おさむ
Osamu Kuwamitsu, M.D.

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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