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インフルエンザ関連、謎の言葉「今年のワクチンって2回接種しないといけないのよねぇ~」はどこから出た??

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例年に無く、インフルエンザワクチンが不足している当院です。今年m10月1日から自治体による補助が受けられるインフルエンザワクチン接種が開始しました。高齢者を中心にワクチン接種を行っている当院で、今年はなぜか今年のインフルエンザワクチンは2回打たなきゃイケないんですよね~❗との謎のセリフを複数人から伺いました。

高齢者の複数人がインフルエンザワクチンは2回接種するべき、と思っている謎

えっ、そうなんですか?と聞くと「うん、朝のニュースで言ってたよ。先生は朝が早いから観られないか」とのお答え。

1:ワクチン接種のブースター効果を狙ってワクチンを2回打たないと行けない

2:ワクチンの効果を考えると1シーズンは2回ワクチンを打たないと持たない

3:子供のワクチンは2回接種が基本、その情報を間違って解釈した

などの原因が考えられます。今年は理由は不明ですがなぜかインフルエンザワクチンの供給が遅れに遅れなっています。そんなワクチン不足の今シーズンに大人も子供同様に2回接種が状態化したらワクチン不足パニックが起きてしまいます。なぜ今年はインフルエンザワクチンは2回接種しないといけないのよねえ~って話が出回ったいるのか、ちょっと考えてみますね。

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国立感染症研究所 「インフルエンザ 過去10年との比較」より 2018/2019の季節性インフルエンザは大流行という状況では本日時点では無いようです。
インフルエンザ過去10年間との比較グラフ(11/9更新)

ワクチン2回接種マスト説、ニュースじゃなくって朝の情報番組が震源地?

まず日本の健康保険衛生の元締めである厚生労働省のインフルエンザワクチンの接種回数に関してはこのように述べています。

13歳以上の方は、1回接種を原則としています(注1)。ワクチンの添付文書には「13歳以上のものは1回または2回注射」と記載されていますが、健康な成人の方や基礎疾患(慢性疾患)のある方を対象に行われた研究から、インフルエンザワクチン0.5mLの1回接種で、2回接種と同等の抗体価(注2)の上昇が得られるとの報告があります

厚生労働省「インフルエンザQ&A」より これは本年平成30年度版です。

インフルエンザワクチンを今年は2回打つ必要がある、との公的な声明はありません

公式声明ならニュースで取り上げても良さそうなものです。そうなんです、多くの方は朝のバラエティ情報番組をニュースと表現することが多いのです(夕方の番組もね)。

そうなると今シーズンも医師がバラエティ番組に出演してインフルエンザの流行に関してコメントしていたもんなあ。となるとワクチン2回打つ必要との話は子供の話を聞き間違えたか、あるいはブースター効果に関してのコメントを前後の話の流れを聞かないで「今年のインフルエンザワクチンは2回打つ必要がある」と誤解した可能性が出てきます(某朝の情報番組でこれ一瞬耳にしたような記憶があるのですが、出勤時間になったので最後まで観ていないので断定は避けます)。

※ワクチンのブースター効果に関しては各自でググってくださいませ。

インフルエンザワクチンの効果は流行する期間をカバーできない?

インフルエンザワクチンが効果を持続する期間に関して一般的には5ヶ月程度と考えられていますし、そのように説明している医師も多いと思います。

ちょっと古いものですけど、インフルエンザ予防接種ガイドライン等検討委員会の資料でもインフルエンザワクチンの有効性の項目でそのように説明されています。

予防接種を受けてからインフルエンザに対する抵抗力がつくまでに2週間程度かかり、その効果が十分に持続する期間は約5ヶ月間とされています

ここで落ち着いて考えてみましょう。10月の当初にインフルエンザワクチンを接種したとします。

そこから5ヶ月となると11月、12月、1月、2月、3月⋯しっかりと3月中旬までワクチンの効力は持続することになりますよね?となるとインフルエンザワクチンの効果の持続期間が5ヶ月である、としても

十分に季節性インフルエンザ流行期間には一回の予防接種によってカバーできることになります

まだワクチン接種は早い、ってことはにはなりませんし、今打つと効果が持続しないも間違いと判断してよろしいのではないでしょうか?

インフルエンザワクチン、子供は2回接種が常識らしいけど

13歳以上の方は1回インフルエンザワクチンを接種で13歳未満は2回接種が原則です。

厚生労働省の見解として医学的な理由により、医師が2回接種を必要と判断した場合は、その限りではありません

とあり (注1)が併記されています。

場合によっては13歳以上でも2回接種が推奨される場合が無いわけではないのですが⋯

大きな持病が無い限りはワクチン接種は1回でOKとの解釈が一般的です

となると今シーズンはインフルエンザワクチンは2回打たなきゃいいけないのよねえ~❗って話はまったく医学的な根拠のないデマとは言いませんけど、間違った話であることを十分にご理解ください。

中には子供に対しても今年はワクチン不足なんで一回にしてください、といわれた芸能人の話もブログにありました。

今年のインフルエンザワクチン不足の原因は何?どうして不足するの?

今年のインフルエンザワクチン不足の原因は何?どうして不足するの?

年によってインフルエンザワクチン不足になることがあります。ワクチン製造会社の製造上のトラブルによることもあります。インフルエンザワクチンは世界中の流行の動向を伺いながら、その年のワクチンが狙うインフルエンウイルスの遺伝子の違いに対応できるように製造されます。そんなワクチンが不足する事態が起こる理由について解説します。

この中で間下このみさんの話を引用してあります。

海外の場合はそれぞれの気候風土経済環境健康福祉予算によってかは不明なんですが、世界保健機関(WHO)によると9歳以上の子供や健康である大人のワクチン接種は1回でOKとしています。これは不活化ワクチンに限る話らしいけど、インフルエンザワクチンも不活化なので、やはりインフルエンザワクチンは特別な場合を除いて1回接種が原則であることに間違いはありません。

結論:今年のインフルエンザワクチンは2回打たなきゃいけないのよね説は間違い❗と判定します

インフルエンザワクチン接種は1回の原則は揺るぎないものです、くれぐれも「どーしても、2回接種して❗ニュースでやってたじゃないのよ-❗」という強引な交渉は当院は受けつません。

おまけ:某バラエティ系番組で医師が「自分は2回接種を毎年受けています」的な発言をしたとの情報が入ってきていますが、真偽を確かめる手段がないので、その話には一切触れませんでした。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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