偽医療は川島なお美さんの死期を早めたのか?という素朴な疑問、ニセ医学の怖さ

川島なお美さんが亡くなった当時に書くと、時流に乗ったブログと思われるのでやめといた話題について、ブログにします。

川島なお美の肝内胆管癌とニセ医学の噂

私は消化器系統の専門家ではありませんが、たまたま知人が肝内胆管癌に罹患してていたために、少々文献を探したことがあります。難治性のシビアな疾患として知られる肝内胆管がんですが、早期発見によりかなり好成績を挙げている報告があります。

「A nomogram to predict long-term survival after resection for intrahepatic cholangiocarcinoma: an Eastern and Western experience.」(JAMA Surg. 2014 May;149 (5) :432-8.)。これによると年齢・腫瘍の大きさ・転移・浸潤の程度によっては外科的手術がかなり効果を上げています。

また、川島なお美さんが亡くなった時にネット上を賑わした、抗がん剤治療を拒否して専念したと言われる民間療法の効果についても考えを述べます(ある一定のファンの間で私はニセ医療、擬似科学バスターってことになっていますので。ファンは少ないですけどw)。

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後出しジャンケンの近藤誠先生のお話によれば⋯。

毎度お馴染み、後出しジャンケンの近藤誠先生のセカンドオピニオン外来を川島なお美さんは訪れています。いくら有名人であろうとも病状に関しては、守秘義務があるはずですが、なぜか近藤誠先生が月刊誌に詳細を書いていますので、そこから川島なお美さんの病状を推測します。

文藝春秋2015年11月号によれば、近藤先生のセカンドオピニオン外来を受診した時点のデータとして

・MRIでは2センチの腫瘍であり、転移は認めらなかった

とのことです。この条件が正しいと仮定した場合、前述のJAMAに掲載された論文の手術成績に照らし合わせると

肝内胆管がんであっても、3年後に生存している可能性は80パーセント、5年生存率も70パーセント

ということが判明します。つまり外科的な治療を積極的に行っていれば、シビアと言われている肝内胆管癌であっても生存率は一般の医師の知見よりかなり高率で生存が期待できたのです。

それを確実なデータを基にしてセカンドオピニオンをしたのかは不明ですが「ラジオ波による治療」を勧めた近藤誠先生っていかがなものでしょうか?もちろん女優業を優先するために腹部に手術の跡を残したくないという希望があったかもしれませんが、少なくとも肝内胆管癌に対するアドバイスをするなら、JAMAのデータも川島なお美さんに伝えるべきだったのではないでしょうか?(後出しジャンケンの得意な先生ですから、もちろん伝えました、とお答えになるかもしれませんけど)。

川島なお美さんが専念した民間療法とはどのようなものだったのか?

民間療法とはいえ、個人が選択した治療方法にケチをつけることもできませんし、病気に関する個人の情報ですから、どのような民間療法を行っていたのかはネット上にある情報を頼りに検討してみます。

  • ビタミンCの大量点滴
  • 電磁波により邪気を取り除く
  • 発酵玄米やヨーグルトによる食事療法

を行っていたことが散見されます。ビタミンCを大量に点滴する方法はあるノーベル賞受賞者が唱えた方法ですが、がんに対する効果はかなり疑問とされています。規則正しい食生活もプラスになるかは不明ですが、少なくともマイナスにはならないでしょう。ここでかなり不思議な治療方法は

電磁波により邪気を取り除き癌を治療する

という、どうみてもトンデモ系の民間療法が気になります。この民間療法は「ごしんじょう療法」と呼ばれる治療方法で、電磁波???邪気???って感じの擬似科学を基にした治療法?なのです(http://www.huffingtonpost.jp/)。

電磁波を体に照射して患部を治療、ってことならなんとはなしに効果があるような気がしないでもないのですが、治療する部分がなんせ「邪気」ですから、どこのどんな方法で電磁波を与えたのか非常に興味が湧きます。なんでもこのごしんじょう療法は痛み・アレルギー・パーキンソン病・ALSに効果があるだけではなく、もちろん「がん」にも効果があるんだそうです。

川島なお美さんが頼った「ごしんじょう療法」とは?_抗がん剤治療は拒む

https://www.huffingtonpost.jp/2015/09/26/kawashima-naomigoshinjo_n_8199838.html”>http://www.huffingtonpost.jp

代替医療、偽医療にありがちな傾向⋯治ったと称する病気の診断は確定診断か?

別に「ごしんじょう療法」について論文がないから、全く信用できない治療法である、なんてことは申しません。藁をも縋る状態の方の気持ちも理解できます(その藁が沈まないことが必須条件ですけど)。がんが転移してかなりの痛みを伴う場合はプラセボであっても効果があればそれはそれで良いと考えます。しかし、がん自体を治すって表現はどう見てもビッグマウスではないでしょうか?例の「冷えとり」であっても「グルコサミン」であっても、ヒアルロン酸を飲んでも「痛みが消えた❗」という体験談が寄せられていますからね。

「ごしんじょう療法」について細かい点を追求しようと考えましたが、サイトに掲載されている主宰者の方のお写真を拝見して、ちょっと強面なんで引いてしまいました。なのでたとえ話としてお話をすすめます。がん等が治ったとの体験談を様々な民間療法の雑誌・サイトで見かけますが

そもそも、がんであると確定診断されているのか?

という疑問がまず湧きます。

あるサイトでは前立腺がんのマーカーであるPSAが高値であるだけで、自分は前立腺がんだと思い込み、ある民間療法を試したところ「マーカーが正常に❗」なんてものさえあります。PSAは感染症でも上昇しますし、がん以外でもある細胞はPSAを高値にしてしまいます。単に前立腺炎だったのが、自然治癒してPSAが低下するなんてことしばしば見かける現象です。

まあ、電磁波を必要以上に恐れている人もいますので、その方たちはこの電磁波で邪気を払う民間療法をどのように評価しているのかぜひ知りたいでーす❗

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執筆者情報

桑満おさむ医師

このブログ記事の筆者:桑満おさむ
Osamu Kuwamitsu, M.D.

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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