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肉の発がん性が話題になっているけど、極端な菜食主義の「ビーガン」の主張はどうも納得いかない。

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ざっくりと「肉は不健康」で「野菜は健康」という刷り込みがあります。

ある宗教を信仰することによって食を制限することをとやかく言うつもりはありません。先日、肉の発がん性、特に加工肉が「人への発がん性がおそらくある」「人への発がん性がある」と国際がん研究組織が発表したことは衝撃的でした。

肉の発がん性が大きく取り上げられているけど、菜食主義、特にビーガンとなるとついていけない

問題となっているのはハム・ソーセージ(このように捉えている人が多い)だけでなく、赤肉自体も発がん性がある、とされています(「Carcinogenicity of consumption of red and processed meat」 Lancet Oncol. 2015 Oct 23.)。

となると、

健康を考えたら菜食主義が一番

と考えることもできますが、菜食主義も様々な分類があり、ルーツを宗教に求めることができないものも多数あります。ロハスが流行っているのでベジタリアン系の方も増えていますが、動物の肉を食べない「ノンミートイーター」に始まって、植物を殺さない?で食べ物を確保する「フルータリアン」、そして

完全ベジタリアンとされるビーガン(「ヴィーガン」と呼ぶ人もいる)も流行りだしています

ビーガンの場合、乳製品や卵さえ食べることはできません。

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Becoming Vegan http://veganismisnonviolence.com/becoming-vegan/

ビーガンの人の傾向として動物愛護精神も一緒になっているために、彼らのビーガン主義を広める手法が「動物を食べるなんてかわいそう」という気持ちが強い人もいます。過激なビーガンのサイトは食肉処理現場の画像で溢れかえっている点が、疑似科学的手法と似通っているのです。(冷静なビーガンの方ももちろんいます)。

流行だから完全菜食主義です、はいただけない

人様の食事の好みをどうのこうのいうつもりはありません。繰り返しますが、宗教上の理由による食の制限に対しても全く問題ありません。しかし、どうして菜食主義の人、特にビーガンレベル以上の人は肉食の健康上の欠点だけを指摘するのでなく、もちろん宗教の教義に則っているわけではなく、肉食は悪、残酷的な捉え方をしていて、自分の思想である完全菜食主義を人に薦めようとするのでしょうか?例えばヒンズー教徒の前であからさまに「ビーフカレー」を食べるのは礼を欠く行動ですが、ヒンズー教徒が肉食の人を責めることはないです。もちろん雑食系の人がヒンズー教徒に無理やり「すき焼き」を勧めることも常識的にはありませんし、「肉も食べなきゃ栄養のバランスが」なんてこともまず言いませんよね。

確かにベジタリアン食は健康上の問題解決に貢献する可能性はあります。

・高血圧の場合、ベジタリアン食が血圧を下げる効果がある(「Vegetarian Diets and Blood Pressure」JAMA Intern Med. 2014;174 (4) :577-587)。

・ベジタリアン食は大腸ガンのリスクを減らす効果(「Vegetarian Dietary Patterns and the Risk of Colorectal Cancers」JAMA Intern Med. 2015;175 (5) :767-776)。

などなど多数あります。

ビーガンの場合は健康面で不利な点もあります

日本でも海外でもロハスとは無縁のオッサンは肉が好きですからが、歳をとると脂身が多い高級肉は厳しくなります⋯だから、今回のIARCの「赤肉・加工肉は発がん性のリスクあり」という報道に怯えているわけです。しかし、ベジタリアン食も完璧な健康食とは言い難いようで

  • ベジタアン食では全ての必須アミノ酸を十分に摂取することができない
  • 鉄分が不足する可能性があるので、貧血になりやすい
  • EPAやDHAなどのオメガ3脂肪酸が不足する

などの欠点が指摘されています。しかし、菜食主義の欠点を補うためにサプリメントを積極的に摂りましょう❗ ってことまで言い出す健康サイトもあります。

肉食系オッサン用には、野菜不足を感じたらサプリを積極的に摂取しましょう❗ていうサプリ会社の広告も見かけますので、サプリ業界もベジタリアン向け、ミートイーター向けといった棲みわけがあるのかもしれませんね。これはロハスでは無い気がします。

なぜビーガンに同意できないのか?

マイルドベジタリアン(こんな言葉あるか知らないけど)なら、「おっ、健康に気をつけているじゃん」と思います。おばあちゃんの知恵的に「多くの種類の食べ物を満遍なく食べましょう」も納得します。肉食拒否だけでなく、卵さえも摂らないビーガンの場合、どう見ても扇情的な表現をするサイトが多く見受けられ、これにはついつい反発してしまいます。

例えば「卵を食べるということは、鶏の生理を食べるということ。女性は卵巣、男性は前立腺のトラブルに」というサイトがあります (http://vegemanga.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-a0e6.html) 。かなりグロい画像が掲載されていて、

卵を食べると子宮系の病気、卵巣の病気、前立腺の病気になる?

卵を食べることが原因で子宮の病気、卵巣の病気、前立腺の病気になる、という不思議な主張をしています(医学や農学、栄養学の専門家ではないと思われますので、これ以上は触れません)。なんで、恐怖感を煽りながらビーガン食の良さを人の広めよう、という考えになるのか、ひょとして変な宗教でもバックに潜んでいるんじゃないの?となるとビーガンは宗教なんで、彼らの食生活に異議を申し立てるこのブログは成り立たなくなってしまいます。

ビーガンの場合、動物愛護精神も伴う人が多いために、毛皮製品の撲滅も同時進行で主張される傾向があります。単にハリウッドセレブの影響を受けて、単にオシャレなロハスではなく、主義主張を持った生活って素敵だから、あなたもどうぞ+動物を殺して食べることは悪=ビーガンという図式に見えてしまいます。

シーシェパードの方々の主張は「鯨は人間同様に高等な頭脳を持っている、それを食べるのは野蛮人」と解釈していますが、じゃあ頭が悪ければ食べ物にしていいの?という素朴な疑問がわきますよね。鶏は高等な頭脳を持っているとは普通考えませんので、

ぜひビーガンVSシーシェパードの食に対する対談なんて素晴らしい企画がネット上に登場することを期待しています。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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