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「ギャクリア」という胃薬は効果よりマーケティング手法がすごい⁉

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小林製薬って以前は「こんなグッズあったらいいなぁ」的なものを販売していて、実はわたくしはファンでした。

しかーし、最近の小林製薬、ネーミング専属部隊でもあるのか、と思えるほどつぎつぎと市販薬を販売しています、笑っちゃう商品名で。

ネーミング力はすごい小林製薬「ギャクリア」ときたもんだw

会社のポリシーが「あったらいいなをカタチにする」ですから「サカムケア」「キズドライ」「ケシミン」「ノドヌール」などなど便利な商品が販売されています。最近、気になったのが胃薬「ギャクリア」です。

小林製薬のある意味オヤジギャグ的ネーミングから「逆」+「クリア」=逆流性食道炎と予想しました。胃酸の分泌を抑える薬としてガスター10が市販薬としてありますので、H2ブロッカーを主成分としたのが「ギャクリア」だろうと思いつつ念のために主成分を調べてみると「六君子湯(リックンシトウ)」でした⋯なんだ漢方じゃん❗

今まで漢方を若干いじめる傾向のある私ですので、皆さんもこの「ギャクリア」をいじめることを予想したんじゃありませんか?実は

漢方を主成分とした「ギャクリア」にはしっかりとエビデンスがあるのですよ❗

もちろんちゃっかり屋の小林製薬ですから、自社ではエビデンスは調べていない様子です(ネットで見る限りは)。ギャクリアの主成分は六君子湯という有名な漢方薬であり、抗がん剤治療の副作用である吐き気にも使われています(ツムラのものは)。

漢方薬は副作用が無いと思っていませんか?高齢者ほど危険な漢方薬の副作用。

漢方薬は副作用が無いと思っていませんか?高齢者ほど危険な漢方薬の副作用。

人工のものは身体に悪く、自然界に存在するものは身体に優しいという一見もっともらしい考えですが大間違いです。対処方法なしの猛毒の存在は?天然由来のウイルスは?とちょっと考えればおかしいことは分かるはずです。同様に漢方薬には副作用がなくて身体にやさしいという謎のイメージがあるのですが漢方薬にも当然副作用はあります。

六君子湯の効果はすごい❗ギャクリアはどうなんだろうか?

薬って効果があるからといって何でもかんでも詰め込んでしまうと、効果が少なくなるばかりでなく、副作用も増える可能性があります。小林製薬さんは割と何でもかんでも系のイメージが強いので六君子湯の成分表示を調べてみると

・1日量(2包:3.6g)中に含まれる六君子湯エキス1.9g、添加物として、ステアリン酸マグネシウム、ケイ酸Al、l-メントール、プロピレングリコール、無水ケイ酸、乳糖

一方、漢方の雄であるツムラの六君子湯は ・1日量(3包:7.5g)中に含まれる六君子湯エキス4.0gであり、ステアリン酸マグネシウム、乳糖、ショ糖脂肪酸エステル

となっていてギャクリアとちがってスッキリとした内容です。

何でもかんでも入れ込んじゃう社風の小林製薬

小林製薬のギャクリアは主成分がツムラの半分なので、効果も半分かもしれません。ギャクリアの適応症状は「体力中等度以下で、胃腸が弱く、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすいものの次の諸症:胃炎、胃腸虚弱、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐」ですが、ツムラの六君子湯は「胃腸の弱いもので、食欲がなく、みぞおちがつかえ、疲れやすく、貧血性で手足が冷えやすいものの次の諸症:胃炎、胃アトニー、胃下垂、消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐」と少し違いがあります。漢方薬って病名じゃなくて症状に対応しているんですね。

ツムラの六君子湯は機能性ディスペプシアや抗がん剤治療の際の吐き気、嘔吐、食欲不振にも効果が認められています。

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http://www.rikkunshito.jp/understand/rinshou_kouka.htm

小林製薬さん、ひょとしてトンデモさんも意識していませんか?

もちろん新製品の開発のために様々な研究をしているとは思いますが、ネーミング至上主義的なイメージがつきまとう小林製薬のラインナップです。ギャクリアの場合、胃をスッキリさせるためにメントールを配合したところまでは良かったのですが、ケイ酸Alはちょとマズイです。

Alとギャクリアの成分表には記されていますが、これ間違いなく「ケイ酸アルミニウム」ですよね〜。

だって一部のうるさい方々がアルミニウムとアルツハイマーの関連を強く訴えていますものね〜。飲料水にアルミニウムが含まれていた地域にアルツハイマー病の発症者が多かったとか、人工透析が原因でアルミニウム中毒が起きて神経系にダメージがあったとか、変な噂を撒き散らすトンデモさんをも意識したマーケティング手法を取り入れてしまう、小林製薬ってスゴイです❗

量を考えれば問題ないのに、なんでアルミニウムをAlって表記するんだろう??

本当に逆流性食道炎なら将来のことを考えて医療機関を受診すればいいわけですが、なぜかスタンダードな医療を否定する一派も存在しますので、その方面の方がお仲間に見つからないようにこっそりドラッグストアでギャクリアを買っちゃうんでしょうかね?

たかだか少量のケイ酸アルミニウムですから、神経毒の原因にはならないですし、アルツハイマー病の発症とも関係ないはずです。それなのにアルミニウムを「Al」って表記してしまうのは、やっぱりギャクリアはアルミが入っていてアルツハイマーになるんだって❗買ってはいけない派の方々やなんでも添加物は怖がってしまう自称食品研究家やいい加減な情報を振りまくフードプロデューサーさんとかを意識しちゃっているように思えてなりません。

フードプロデューサーさま、ニセ医学系の健康に関する異説を唱える前にせめて1次ソースを調べて下さい

フードプロデューサーさま、ニセ医学系の健康に関する異説を唱える前にせめて1次ソースを調べて下さい

自称フードプロデューサーが食に関するトンデモ情報を発信しています。食に関する情報は様々な説が入り乱れていて、健康被害が出なければ何でもありな状態ともいえます。ですが健康被害が出てからでは遅いですしニセ情報発信者は責任をとってはくれませんので、医師として何が間違っているのかを解説します。

トンデモさんやニセ医学、疑似科学信奉者って意外と科学用語をご存じありません。アルミニウムを「Al」と略しちゃうだけで、ごまかせると小林製薬の商品開発部(あるのかは不明)やマーケティング部(これもあるかは確認しておりません)が意識していたとしたら、恐るべし小林製薬❗です。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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