「短いスカートは健康に悪い」との説、どうみてもトンデモだよ❗

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世の中には不思議なことを言い出す人がいます。短いスカート、つまりミニ・スカートが健康に悪いと主張があります。

ミニ・スカートが身体に悪影響があることを啓蒙するポスターには「科学的に証明されました」と書かれています。本当に短いスカートは身体に悪影響があり、科学的に証明されたのでしょうか?医学的にミニ・スカートが健康に及ぼす影響、特に悪い影響があるのかを検証してみました。

学校のポスターはミニ・スカートが健康に悪いことが科学的に証明された、と伝えているけど⋯。

こんな不思議なポスターが学校に掲示されていたとのことです。

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https://twitter.com/hirate_you/status/1305135169980870659/photo/より

短いスカート(ミニ・スカート)を着用していると、次のような健康への悪影響があるとこのポスターは語っています。

  • 病気になりやすくなる、病気になると治りにくくなる可能性がある!
  • 心臓への負担が増えて健康障害になる可能性がある!

そもそも2の心臓への負担が増えて健康障害になる、って1の病気になりやすくなる、に含まれるような気がしないでもないのですけど⋯話を進めますね。

冷えは万病の元、との言葉はだれでも一度は耳にしたことがあると思います。めっちゃ寒い環境であるとそれは身体に良くはないだろうけど、最近の日本の夏のようにめっちゃ暑い環境も当然身体には良いわけはありません。健康のためにとにかく身体を冷やさないように積極的に身体を温めましょう神話を拗らせて、「冷えとり」という妙な健康法に走ってしまう人、特に女性が少なくないことは以前から頻回にお伝えしています。

「冷えとり」体験レポート1/3ニセ医学御用達の好転反応「めんげん」は本当か??

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芸能人が使っているから効果ありと思ってしまったり、テレビで紹介された飲食店に実際いってみたらたいしたことなかったという経験は誰にでもあるはずです。でも、たまに当たりもあるから、どうせ宣伝とわかっていてもあえて失敗を繰り返してしまうのが私達です。でもニセ医学に騙されて失敗はしたくないはずです。

短いスカートが身体に悪影響を与えることが科学的に証明された、と断言する啓発ポスター。かなり気になるので本当に証明されたのか調べてみました〜❗

お約束の体温が下がると免疫力が低下(笑)

「体温を上げて免疫力アップ」って感じの一般書籍のタイトルやネット記事があります。そもそも免疫力って何?とまっとうな医師なら判断するはずです。免疫は複数の要因が複雑に絡み合ったシステムです。今回の話題から言えば体温を上げたことによって免疫システム(免疫力じゃないよ)が良くなることを証明した信頼度の高い医学データはありませんし、免疫を表す一つの指標が良くなったとしても免疫システム全体が改善されていることを強く明確にした医学論文はありません。

某製薬会社の一般向けサイトでさえ「体温を上げると免疫力アップ」なんて記事を掲載していたので、当時は今ほど丸くはなく大人の対応ができなかった私は徹底的に追求しました。

製薬会社HPの「体温を上げて免疫力アップ」???なので電凸しましたレポート❗

製薬会社HPの「体温を上げて免疫力アップ」???なので電凸しましたレポート❗

免疫力あげれば病気にならない・病気になってもすぐ治る、と世の中なのほとんどの人が盲信しています。免疫力なるパワーを高める方法の中で基礎体温を上げると免疫力UPというものがあるのですが、これを製薬会社が堂々と明記していたので質問してみました。免疫に関してはわかっていることのが極めて少ないのが現実なのです。

結論から言えば、体温を上げると免疫力が上がるとの説は某医師が東洋医学思想に基づいて一般書籍を書いたのがそもそもの始まりです。

なんちゃらをして免疫力アップとの記載はトンデモ系ニセ医学のリトマス試験紙である❗

と断定して問題なし、と私は判断しています。

なぜ短いスカート、つまりミニ・スカートが健康に悪いとのポスターが学校に掲示され、「科学的に証明された」なんてことを言い出しているのか、複雑な経緯があったことが予想されますが、様々なキーワードで医学論文を検索しても「倉敷市立短期大学」から出された論文はありません。

倉敷市立短期大学「学校制服に関する研究」

これってひょっとすると、ポスターの下に記載されている「尾崎商事株式会社」がなんらかのつてで倉敷市立短期大学の人工気候室を使用して、非科学的に行われた実験なんじゃないかなあ⋯よくある「消防署の方から来ました」的な。

もしもミニ・スカートを着用することによって病気になりやすくなることを明確にしたまっとうな論文があったら、ぜひご提示願いたいと尾崎商事さんにはお伝えしたいと存じます。

追記:尾崎商事さま、国会図書館にて論文ありました、生意気なことを申し上げてしまい謝罪します。

国会図書館「学校制服に関する研究」

著者のなかに尾崎商事入っていないようですが、佐藤希代子先生の業績中で以下のような記載がありました。

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尾崎商事さんは産学共同研究の一つとして倉敷市立短期大学の先生と実験を行っていたのですね。普通の論文検索サイトでは見つかりませんし、さらに論文のコピーサービスの対象外のようで国会図書館まで出かけないと現物が入手できません。勝手なお願いですけど、御社のサイトにこの研究論文全文を掲載して頂くことを強く希望します。

ミニ・スカートで心臓への負担が増加??

心臓への負担が増加して、健康障害が起きるのであれば、大問題ですね。

血流が悪化 → 心拍数が増加 → 心臓への負担が増加

とのロジックが啓発ポスターで使われています。これが科学的に証明されたことなんだろうか的な疑問はおいといて、心拍数の増減を調整するヒトにそなわったシステムもそんな単純なものではありません。

もしも心拍数の増加が身体に悪い影響を及ぼすのであれば、心拍数をわざわざ上げる有酸素運動は健康のために控えるべきものであり、健康増進効果のために運動をして心拍数を増やしましょう、との主張は強く批判されるべきことになっちゃいますね。

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公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット」https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/undou-kiso/shinpaku.htmlより

過度に心拍数が増加すれば、それはそれで心臓に負担を掛けることになるとは思います。でもさあ、ミニ・スカートを着用しただけで心拍数が170を超えちゃう人なんていないと思うけどね。

そもそも「冷え症」の定義自体が明確じゃないよ

「冷え性」、あるいは「冷え症」との言葉は医師が主として学ぶ西洋医学にはありません。近年、再注目されている東洋医学であっても冷え性や冷え症の定義は明確になっていません。一般的には「冷え性」は冷えやすい体質をあらわし、「冷え症」は冷えることによって何らかの症状が出ている状態のことを意味すると考えられています。

西洋医学で「冷え症」との概念がないからといって、人体の症状として冷えやすいと感じている人は少なくないです。しかし、「冷え症」の定義自体が研究者によって違っているのです❗

例えば、「冷え症の病態の臨床的解析と対応──冷え症はいかなる病態か,そして治療できるのか」(医学のあゆみ Volume 215, Issue 11, 925 – 929 2005) によれば冷え症は年齢が高くなると多くなると記載されています。しかし、「成人女性の冷えの自覚とその要因についての検討」(石川看護雑誌 / 石川県立看護大学研究・紀要委員会 編)では冷え症は若い人ほど多くなると記載されています。

定義が明確ではない「冷え症」について、「科学的に証明されました」と記載してしまうこと自体が科学的じゃないと感じてしまったのは自分だけでしょうか⋯。

短いスカートが身体に与える悪影響」は全く科学的には証明されていないということだけは確実だと言い切って良さそうです。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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