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過活動膀胱や神経因性膀胱をボトックス注射で治療すると「うつ病」も治る可能性がある??

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ボツリヌス毒素を用いたボトックス注射と聞くと美容医療でシワの治療がまずイメージされると思います。今ではボトックス注射は美容だけではなく、2020年4月からは泌尿器科領域の疾患である過活動膀胱神経因性膀胱の治療が健康保険で可能になりました。

以前から美容領域におけるボトックス注射とうつ病の関連性が指摘されていたのですが、泌尿器科の病気をボトックス注射で治療すると、うつ病が改善するのではないかと考えられる研究結果が出てきました。

ボトックス注射と泌尿器科の病気とうつ病の関連性を検証してみます。

ボトックス注射でシワ消し治療を行うとうつ病が軽快する可能性

以前からシワ、特に眉間のシワをボトックス注射を使って治療するとうつ病が改善するのではないか、ということが囁かれてきました。

シワを消すと「うつ病」に効果がある!という情報は事実なのか?追及してみました。

シワを消すと「うつ病」に効果がある!という情報は事実なのか?追及してみました。

私がブログを書き始めた初期にボトックス注射とうつ病の関連性をお伝えしています。その後、ボトックス注射とうつ病の関連性、つまりボトックス注射でシワ消し治療を行うとうつ病の症状が改善・軽快することを示す研究が多数行われ、

ボトックス注射がうつ病の治療方法の一つになる可能が出てきました❗

この結果を裏付ける医学論文では、しわ治療目的だけでは無くまぶたの痙攣・多汗症・過活動膀胱などに対するボトックス注射を行なったところ、やっぱりうつ病の症状の改善効果が認められたことを報告しています。

過活動膀胱をボトックス注射で治療するとうつ病が改善する可能性を伝えた論文

ボトックス注射がうつ病を改善することを裏付ける結果を伝えた論文は「Postmarketing safety surveillance data reveals antidepressant effects of botulinum toxin across various indications and injection sites」[1]とのタイトルであのNature(ネイチャー)が出しているScientific Reportsであり、専門家によって査読されているものなので信頼度は高いものです。

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現在、ボトックス注射はシワ治療だけでなく、片頭痛・手足の痙攣・斜頸・多汗症、そして泌尿器の病気で使用されています。

2020年4月から日本でも保険診療が可能となったため、五本木クリニックでも治療を開始したボトックス注射による過活動膀胱・尿失禁・神経因性膀胱治療を行った場合のうつ病改善効果もこの前掲の論文では検証されています。

うつ病と過活動膀胱の深い関連について

論文ではボトックス注射によってシワ治療を行うとうつ病の症状が軽快することは明らかに有意差があり、将来的にはボトックス注射がうつ病治療の一つになる可能性を強く伝えています。一方で泌尿器関連の病気とボトックス注射で治療したからといって、うつ病の症状が軽くなることに関しては残念ながら有意差なしらしいです。

しかーし、

うつ病と泌尿器関連の病気は泌尿器科医の間では半ば常識化しています

、というのも例えば夜間頻尿はうつ病のリスク因子であるとともにうつ病の症状として夜間頻尿があることが「The association of depression, anxiety and nocturia: a systematic review」[2]などのよって報告されているからです。

他にも多数の泌尿器科領域の病気とうつ病の関連を調べた論文があります。

シワをボトックス注射で治療すると、過活動膀胱も良くなるか?

当院五本木クリニックには美容医療専門医師によるボトックス注射治療がシワ治療を多数行っていて、さらに私が専門とする泌尿器科領域の病気に対してもボトックス注射治療を行っているために、ボトックスは偉い、ボトックス注射は万能だよ、とバイアスが掛かっている可能性もあります。

そこで全く畑違いの医師による、うつ病と泌尿器科の病気との関連性に関するお話もお伝えしておきます。

東邦大学医療センター佐倉病院神経内科の榊原隆次先生によれば未治療でうつ病を主訴として精神科を初診として受診した患者さんに対して泌尿器科領域の症状の有無を調べたところ、過活動膀胱・排尿困難の症状がある患者さんが多く見られたそうです[3]

ということは、

うつ病だと過活動膀胱などの泌尿器科の病気になる → うつ病を治療すれば過活動膀胱が軽快する

ってことになりますよね。そうなると、

シワ治療目的でボトックス注射をする → うつ病が改善する → 過活動膀胱など泌尿器科関連の病気も軽快する

との理論も成り立つことになります。

当院では過活動膀胱へ対するボトックス注射治療を開始したことは以前お伝えしています。

ボトックス注射を使った過活動膀胱治療が、やっと日本でも保険適用されました❗

ボトックス注射を使った過活動膀胱治療が、やっと日本でも保険適用されました❗

過活動膀胱へのボツリヌス毒素を膀胱内に注入する治療は保険適用(2020年4月より)です。過活動膀胱は突然トイレに行きたくなり、我慢が難しい尿意切迫感や我慢できずにお漏らししてしまう切迫性尿失禁や頻尿です。ボトックス注射を使った過活動膀胱治療は、どこの泌尿器科でも受けられる治療ではありません。詳しく解説します。

美容部ではボトックス注射によるシワ治療は定番の人気メニューです。シワ治療でボトックス注射を希望する患者さんへは初診時に泌尿器関連の疾患の有無もお尋ねするように美容担当医師に指示しておくようにした方が良さそうですね。

と、思ったのですが、美容治療目的で受診した患者さんに「おしっこの検査をお願いします」とか「おしっこ漏れませんか?」とか、問診したら美容の患者さん激減必至かも(笑)

ボトックス注射以外で失禁治療を行ったところ、「毎日が楽しくなりました」「夫が亡くなって沈みがちの気分が晴れました❗」とのご意見を私は複数人経験してます。「レーザーを使った尿失禁治療、保険適用では無いけど効果は期待できそうです。」泌尿器科と美容医療とうつ病の関連、今後もアンテナを高く医療情報の収集を続けてまいります

過活動膀胱(おしっこが我慢できない、トイレの回数が多い)

過活動膀胱(おしっこが我慢できない、トイレの回数が多い)

頻尿や尿漏れなどの症状のみられる過活動膀胱で悩む人が増えています。。突発的に催す我慢できないくらい強い尿意(尿意切迫感)を伴う「頻尿・夜間頻尿」や「切迫性尿失禁」が代表的な症状です。加齢とともに増える症状ですが、近年では若い人でもは多く、特に男性よりも女性に多い病気です。新しい治療法はボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法(保険適応)です。

参考文献

  1. Makunts, T., Wollmer, M.A. & Abagyan, R. Postmarketing safety surveillance data reveals antidepressant effects of botulinum toxin across various indications and injection sites. Sci Rep 10, 12851 (2020).https://doi.org/10.1038/s41598-020-69773-7
  2. Breyer BN, Shindel AW, Erickson BA, Blaschko SD, Steers WD, Rosen RC. The association of depression, anxiety and nocturia: a systematic review. J Urol. 2013 Sep;190(3):953-7. doi: 10.1016/j.juro.2013.03.126. Epub 2013 May 13. PMID: 23680309; PMCID: PMC4153377.
  3. SAKAKIBARA, R., ITO, T., YAMAMOTO, T., UCHIYAMA, T., YAMANISHI, T., KISHI, M., TSUYUSAKI, Y., TATENO, F., KATSURAGAWA, S. and KUROKI, N. (2013), Depression, Anxiety and the Bladder. Lower Urinary Tract Symptoms, 5: 109-120. https://doi.org/10.1111/luts.12018

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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