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ヒルドイドとヒルマイルドの違い、両者ともに「ヒル」が付くけど語源はウエッ〜!!

ヒルドイドという皮膚科で多用される処方薬があります。保湿効果が高いために、美容目的の保険適用外処方が社会問題化していました。

ヒルドイドの主成分が含まれた市販薬が複数の製薬会社から販売されるようになって、ヒルドイドを美容目的で処方を希望する患者さんが減ることが望まれています。

そこで気になるのがヒルドイドと市販薬は同じ効果が期待できるかです。また、なぜ市販薬の「ヒルマイルド」もヒルドイドも「ヒル」が名称に付くのでしょうか?ヘパリン類似物質を主成分とする外用薬のネーミングの謎、処方薬と市販薬の比較等を説明します。

ヒルドイドもヒルマイルドも主成分はヘパリン類似物質、なんで名前に「ヒル」が付くの?

ヒルドイド(Hirudoid)は進行性指掌角皮症、皮脂欠乏症、血栓性静脈炎、瘢痕・ケロイドの治療と予防などに対する効果・効能が認められている健康保険適用の処方薬です。医師が病名を診断して初めて健康保険適用薬として処方されます。

ところがこのヒルドイドは保湿効果がある、との噂によって美容液や美容クリームとして使用する奥様方に対する保険適用外処方が社会問題化していました。

保険適用外使用はNGと冷たく宣言しつつ、ヒルドイドというネーミングの語源の由来を説明して、多くのオバサマを敵に回してしまったのです。

ヒルドイドのヒルはあの蛭のラテン語が語源だよ!!

ヒルドイドのヒルは漢字で書くと「蛭」。森やジャングルでヒトに吸い付いて血を吸う、細長いぬめぬめする例の生き物の名前から付けられたのがヒルドイドです。蛭はヒトに吸い付いた時にヒルジン(Hirudin)を唾液腺から出しています。そのヒルジンの性質がヘパリンに似ているためにヘパリン類似物質と呼ばれるようになりました。

生き物の蛭の学名は「Hirudinea」であり、ラテン語で蛭は「Hirudo」です。

ネット上にはヒルドイドのヒルはドイツ語が由来と書かれている記事がありますが、ドイツ語で蛭は「Egel」だと思うんだけどねえ⋯私が間違っていたならゴメンなさい。

調剤薬局ウィーズグループブログ 医薬品名の由来 より

ヒルドイドの主成分はヘパリン類似物質、このヘパリン類似物質は高い保湿機能があるとともに、ヘパリンが備えている抗血液凝固作用の為か血行促進作用も認められています。

※ヒルドイドがにきびに効果がある、とのネット上の情報はガセネタの可能性があります。ディフェリンなどのにきびの処方薬の副作用として、皮膚の乾燥があります。その対応策として、ヒルドイドを併用が行われることがあり、早合点した人が「ヒルドイドはにきびに効果があるんだ」と誤解した可能性があります。確かにヘパリン類似物質の効果として抗炎症作用や血行促進があり、赤にきびに効果が期待できそうですが、少なくとも保険適用の病名・症状に「にきび」は含まれていません。

※ヒルドイドの名前の由来に関しては、製造販売元であるマルホ株式会社のMRさんに確認すればいいのですが、私がヒルドイドの保険適用外使用について大々的に問題提起したので、尋ねにくい状況です。ちなみに日本病院薬剤師会による医薬品インタビューフォーム(https://www.maruho.co.jp/medical/dl/pdf/hirudoid_if.pdf)でも名称の由来として「ドイツ語の Hirudo(蛭属)と~oid(~の様なもの)を組み合わせたものである」と書いてあるから、ドイツ語なのかなあ⋯

処方薬ヒルドイドと市販薬ヒルマイルドの違いは何?

マルホのMRさんに以前、「ヒルドイドって効果があるけど、美容目的で処方が多いから、市販薬として販売はできないの?」とお尋ねしたことがあります。マルホの回答は「市販薬としての流通チャンネルが自社には無い」とのことでした。

ヒルドイドの保険適用外問題がマスメディアに取り上げられたことの影響なのか、ここ数年でヒルドイドの主成分であるヘパリン類似物質を含む市販薬が登場して、派手にCMを打ち出しています。

 King & Princeの永瀬廉さんを起用したヒルマイルド

https://general.kenei-pharm.com/healmild/

しかし、紛らわしいネーミングを付けちゃったヒルマイルド

ヒルマイルド!!外観もヒルドイドそっくりで、名前までそっくり。このヒルマイルドを製造販売している健栄製薬は私たちが診療で日常使いする消毒用アルコールなどで有名な信頼できる製薬会社です。

ヒルマイルドというネーミングはたぶん、ヒルドイドの「ヒル」と穏やかを意味する「マイルド」を組み合わせたものだと予想されます。

そうなるとヒルドイドとヒルマイルドは効果として全く同じであるのか、気になります。

ヒルドイド(クリーム0.3%)の添付文書による成分構成はこれです。

一方のヒルマイルド(クリーム)の成分構成は

https://general.kenei-pharm.com/healmild/products/

成分的に大きな違いは処方薬のヒルドイドは基剤として味気ないグリセリンを使っているのに対して、市販薬であるヒルマイルドはサラシミツロウを使っている点。

市販薬の方がユーザーを意識して、ユーザビリティを重視していることがわかります⋯でもさあ、ヒルマイルドは無添加とCMページに書いてあるけど、ヒルドイドでは添加物って書いてある成分が入っているのが気になるなあ。

処方薬が市販薬になった場合、スイッチOTCと呼びます

解熱鎮痛薬として医療機関で大量に処方され、患者さんも名前を覚えてしまった薬の代表格「ロキソニン」。このロキソニンは今では処方箋なしで、薬局で購入可能です。

ロキソニンのように処方薬が市販薬になった場合、OTC(Over The Counterの略。店頭でカウンター越しに購入できることを意味します)の中でもスイッチOTCと呼ばれます。処方薬から市販薬にスイッチ(切り替えた、ってこと)したことを表現しています。

ちなみに処方薬であっても先に販売された先発薬と先発薬の特許が切れた後に作られるジェネリックでは、添加物や味付け香りに違いがあることも。

あの小林製薬さんはヘパリン類似物質入り市販薬を販売しているかな?

ヒルマイルド以外にもヘパリン類似物質が主成分の市販薬は多数あるようです。先陣を切ったのはマツキヨのヒルメナイド。似たりよったりのネーミングですが、ネーミングといえば!!小林製薬でしょう。小林製薬さんは同じような成分なのに抜群のネーミングをつけることを得意としていることで高名ですよね(苦笑)。

小林製薬も当然人気のヘパリン類似物質を主成分としている商品を販売していました。

小林製薬の市販薬としては地味なネーミングの「さいき(Saiki)」です。「スキンケアではなく医薬品で治す!」と勇ましいキャッチコピーが小林製薬さんの持ち味を醸し出していますね(https://www.kobayashi.co.jp/brand/saiki/product/

でも「ヒフミド」という名前の小林製薬のヘパリン類似物質を含む商品の広告を見た記憶が⋯

ありました、ありました。その名も「ヒフミド」!!ヘパリン類似物質を主成分とするために、ネット上の広告(https://www2.kobayashi.co.jp/seihin/lt/cyb/hifmid1_07/)では「驚きの保水力!うるおい体験」とか「気になる、乾燥小ジワを目立たなくする」とか「あなたの肌を守る製薬会社品質です」などなど、さすがに宣伝上手ですね。

ちなみに医薬品「さいき」、化粧品「ヒフミド」は成分的にどんな違いがあるのか気にはなるけど、詳細な検証はやめておきます。