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【実録】発熱外来24時‼こんな患者さんあるある集

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各都道府県が指定した「発熱外来」については誤解されている方が少なくはありません。

そこで発熱外来とはどのようなものであり、どのようは対応をしているのかを当院の経験をもとにしてお伝えします。

各都道府県が届出を受けて発熱外来指定医療機関となる

発熱外来は各医療機関が地域医療に貢献するために、各都道府県に設置を届け出て指定を受けて運営されています。

医療機関の場合、応召義務と呼ばれる来院した患者さんを正当な理由なく診療・診察を拒否することはできない法律があります。しかし、感染力の強い病原体に関しては限定的に診察・診療拒否が可能と解釈されているために発熱などの有症状者はかかりつけ医以外の発熱外来を受診することが少なくありません。

当院が発熱外来の指定を受けた時に東京都から発熱外来を設置していることを公開して良いのかとの連絡がありました。私は当初その意味がよく理解できなかったのですが、発熱外来を行なっていると様々なトラブルが発生し、公開を希望しない医療機関があるのも納得です。

万が一、発熱などの症状が出た場合、各都道府県が設置している発熱相談センターに電話相談して発熱外来を受診するときはいくつかの注意点があることをご理解ください。

無料検査所とはこんな点が違います

発熱外来は新型コロナウイルス感染症のためだけに設けられている仕組みではありません。インフルエンザの大流行の対策として東京都では令和2年に実施された方策です。

新型コロナウイルス感染拡大によって「発熱外来」との言葉が知られるようになりました。

この保険医療機関による発熱外来を街中に溢れかえる無料PCR検査所だと思い込んでいる人が少なくはありません。発熱外来の場合、症状のある方の場合の抗原検査やPCR検査は公費負担で確かに検査代は患者さんは無料です。しかし、初診料等、検査に係る費用以外は患者さんが一部負担する必要があることをご存知ない方もいらっしゃるようで、発熱外来設置医療機関では混乱が生じています。

また、無料検査所あるいは自費による検査を受託しているところで万が一陽性と判定されても、「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム 」(HER-SYS)に登録できないところがほとんどであり、陽性であった場合は、「医療機関を受診してね」で処理しちゃっています。感染者にとっても二度手間であり不利益だし、感染している人が街中を彷徨ってしまって感染拡大させてしまうリスクも出てきます。

発熱外来の仕組みを理解していない方による口コミ投稿

先日、夜中にハーシスに陽性者の登録作業を行なっているときにこのような口コミ投稿がありました。

無理解による悪意のある口コミ

抗原検査で陰性であっても、PCR検査では陽性と判定されることがあることをご理解の上、読み進んでくださいね。

抗原検査で陰性であっても発熱等の症状がある場合は感染している可能性は否定できません(抗原検査自体は以前よりかなり精度が高くはなっていてもすり抜ける症例はゼロではありません)。

この方が抗原検査は陰性だけど、実際は新型コロナウイルスに感染している場合、処方箋を発行して調剤薬局に薬を取りに行くとなると、感染力が強いとされている今回のウイルスですから、調剤薬局内で感染拡大させてしまう可能性もあります。

そこで当院としては家庭内で常備薬で解熱剤等をお持ちであるかを確認して、お持ちではない場合は院内に備蓄してあるロキソニンやカロナールをその場でお渡ししています。何らかの対処薬をお持ちである場合は発熱していてお辛いと考えて、「家庭にある薬で十分です」と対応しています。

そもそも新型コロナウイルスに対して処方できる薬は年齢や基礎疾患の有無などの条件があり、どなたにでも処方できる特効薬は現時点では存在しません。

目黒区の場合、抗原検査であれPCR検査であれ、陽性と診断されてラゲブリオなどの新型コロナウイルス感染症限定の薬が必要な場合は調剤薬局のご助力によって患者さんのご自宅までお届けするシステムが確立されています。

新型コロナウイルス感染と診断された患者さんではなく、同居している方が処方箋を持って調剤薬局に行けばいいじゃんとのご意見もあります。

しかし、感染者と同居している方に対しては保健所は、感染者との発症日から7日間の行動自粛(つまり外出しないでね)と健康観察をお願いしていますので、同居の方が薬を取りに行く行為もNGです。なぜなら同居している人が感染していたら調剤薬局にいる他の疾患の患者さんに感染させてしまう可能性がありますものね。

費用の後日精算が仇となる

当院の場合、発熱等の症状でお辛いでしょうし、感染者と診断されたら心ここに在らず的に動揺する方もいますし、とにかく一刻も早くご自宅での療養に入ってもらいたいが故に自己負担分に関しては、陽性であろうと陰性であろうと自宅での自粛期間や隔離期間終了後に精算という形を取っています。

後日精算をお願いしても「検査が陰性なんだから支払う必要がない」とか「受付の態度が悪かったから払わない」「無料PCR検査所で陰性だったからお前のところは誤診だろ」、中には「診察した医師(私ね)が十分に説明しなかったのになんで診察料を支払いしなきゃいけないの、保健所や国民生活センターにチクったからな」なんてレベルの理不尽な理由にて診察料が回収できない例が少なくはありません。未精算分を回収する作業がこれまたスタッフには過度な負担になっています。

当院が開業している場所は比較的穏やかで意味不明な苦情は滅多にありません。発熱外来をやめてしまいたい、とスタッフは愚痴をこぼしております。

発熱外来を設置していて、悪口ばかりを言われてさらに書き込みされるとなると、当院をかかりつけにしている方限定の発熱患者さん対応に切り替えたくもなります。東京都ではそれを選択することも可能です。

しかし、私が発熱外来を設置した大きな理由は、「当院をかかりつけとしている高齢者及び地域の高齢者を感染から守る」です。地域がら2世代、3世代が同居あるいは同じ敷地にお住まいの方が少なくありません。悪口を書き込まれても、救われる人の方の絶対数が多いことは明らかです。涙を流しながら発熱外来は続行します。

陽性と診断された場合のフォローについて

当院で陽性と診断された方から他院で新型コロナウイルス感染症と診断された同居人と扱いが随分違うとの苦情をいただいたこともありました。

感染者の方へ療養期間中、毎日病状伺いをするとかなり高額な報酬が医療機関はいただける仕組みがあります。当院の場合は感染者の方に対して10日間毎日病状をお伺いすることは行なっていません。

重篤な基礎疾患があり、毎日の病状を把握する必要がある方に関しては積極的に保健所に当院で優先度を高めるようにお願いしていますし、急激に悪化する可能性がある場合は万が一の入院先の状況把握まで保健所に強く依頼しています(すいません、保健所の方に過度な負荷をかけてしまって)。

抗原検査で陰性、PCR検査で陽性の場合は夜中でもHER-SYSに登録をしています

一刻も早く陽性者をHER-SYSに登録することによって、管轄の保健所の管理下に入ることによって、自宅療養期間での最悪の事態を避けることが可能です。いまだにFAXで届出をしている医療機関もあるようですがこれだと保健所がその患者さんを把握することが遅れる可能性があります。

抗原検査で陽性と診断された場合はその場でHER-SYSにスタッフが登録しています。当院の場合、PCRは外部の検査機関に依頼しているため、検査結果が判明するのは翌日の夜、多くは深夜になることが多いです。この作業が遅れ遅れ先延ばしにしている医療機関もありますし、なんとFAXを利用しているクリニックさえあります。

私は患者さんに検査結果をお伝えするとともに、速攻でHER-SYSに登録するように心掛けています。これを当院スタッフに任せるのは、異常な休日出勤や長時間労働になってしまい、少しでも心身ともに休息を得ることが不可能となってしまうので、私が自ら行なっています。重症化リスクのある方には翌日にご様子を伺うメールをすることもあります。

うれしいメールをいただけるのが唯一の心の励みです

感染してしまった方から現状報告として、このようなメールがありました。

「症状としては微熱程度で、倦怠感と咳くらいなのでメールできました。保健所から連絡もきまして明日くらいにはホテル隔離の予定です。」(個人が特定できないよう一部改変)に続いて、

「急な連絡にも関わらず対応頂き本当にありがとうございました!」

微力ながらも地域医療に貢献できいることが確認できました。悪口投稿されるからと凹んでいる私及びスタッフの励みになります、ありがとうございます、発熱外来は当分の間は受付作業も大変負荷がかかるため休日出勤を可能な範囲でお願いして、事務の一部は家族を動員し、私も老体に鞭打って続行します!!

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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