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ウィンメディックス事件で使われた「がんに効く飲料水」を医学的に検証!!

更新日:

「がんに効く飲料水を開発」と触れ込みによって株式を売買し、金融商品取引法違反で逮捕された事件がありました。

「がんに効く飲料水を開発」と触れ込み
無登録で株式80億円販売か「がんに効く飲料水を開発」と触れ込み

この事件は経済事件としてメディアは取り上げていますが、ここの会社が実際に販売していた「がんに効く飲料水」を入手したので、医学的に検証を試みます。

ヨウ素製剤はそもそもがん治療に効果があるのか?

これが私が入手した「ヨウ素水」です。

がんを治すヨウ素製剤
正真正銘ホンモノです

この会社はヨウ素製剤なんてことを言っていますが、この「ヨウ素水」をやはりがん治療に使うように被害者に販売していることを知ることができる、奇妙な文書が同梱されています。

ウィンメディックス事件内部文書
ヨウ素水に添付された文書

癌患者様が、ただ、ヨウ素製剤を2時間おきに舌下吸収していれば良いわけでなく(以下省略)

この一文によって、やっぱり、がんで闘病中の方向けにヨウ素製剤を販売していたことは明白です。

抗がん剤治療など三大治療された方は赤血球も弱くなってる。血液中に酸素が行き渡っていないことも考えられるため、深呼吸を1日に朝昼晩とゆっくり数回することを勧める。

あのさあ、このアドバイスを書いた人の方が一度立ち止まって、ゆっくりと深呼吸した方がいいんじゃ無いの?馬鹿も休み休みにして欲しいぞ。

赤ちゃんの離乳食のようなドロドロの状態で口の中で咀嚼してから飲み込むことで、食道→胃に運ばれていき、栄養が十分に血液中に流れる

胃から食道に運ばれたら逆流性食道炎になっちゃうじゃん、とのツッコミはさておき、胃から栄養って吸収されるんでしょうか?医学的常識から言えば、栄養の多くは小腸から吸収されるんだけどね。

がん患者さんは脂質だけ食べろ???

がんを治すヨウ素水(ウィンメディックスはヨウ素製剤と呼んでいる)だけでは、がんは治らないようなことをがんアドバイザーさんは述べています。

懇切丁寧な説明書には、当然のごとくがん患者さんの日常生活についてのアドバイスがあり、食事についても控えるべき食材として糖質が挙げられており、その後、口にするべきではない食材の理由として、

控えるべき理由→ガンのエサは、糖質とたんぱく質のため

と書かれています。

がん患者さんは、脂質だけで生活しろ!!ってことかよ、ありえねえ。

インチキアドバイスに従って、最終的にはガリガリに痩せ細ってしまい悲惨な最期を迎えてしまったがん患者さんのご家族もいらっしゃって、詳細についての文書を入手しているのですが、裁判等になった場合のことを考えて、ここで公表するのは控えます。

なぜ「2時間おきに舌下吸収」しなければならないの?

がんを治したい人は、なぜヨウ素製剤の服用しなければならないのか?その理由として以下のような説明がなされています。

ヨードが体内に入ると、新陳代謝を著しく活性化し、免疫力を高め病原菌やウイルスを排除し、自然治癒力を引き出します。

このようにウィンメディックスのウェブサイトには書かれています(https://shigeru-supporter.work/)。

この説明の中で

②2時間毎に1回飲用
薬の代謝・排出速度を「半減期」と言う(血液中に存在する薬の最高血中濃度が 1/2 になる時間)

との文言が気になります。ここでヨウ素水を薬として取り扱っている思われます。まあ、この件に関しては管轄所轄のお役所や法律の専門家の判断に任せるとします・・・でもさあ、ヨウ素の半減期に関してはいくつかの疾患に対してヨウ素製剤を薬として処方することがある医師である私が検証してもいいよね。

ヨウ化カリウムという薬があります。この薬の体内動体というか代謝に関しては添付文書だけではなく、PMDAと言う政府の機関によってインタビューフォームと呼ばれる当該する薬のさらなる詳しい文書があります。それが「ヨウ化カリウム丸50mg」です。この中には「半減期」との言葉は記載されていませんし、血中濃度の推移に関しては『該当資料なし』となっているのです。このヘンテコな会社が販売しているヨウ素製剤の半減期(笑)がどうなっているのか、非常に疑問ですね。

ヨード澱粉反応で検証した結果

アシスタントに近所のスーパーで澱粉を買ってきてもらって、それを水溶液にしてウィンメディックスのヨウ素製剤を滴下してみました。

澱粉にヨウ素水を滴下
実験

小学校の理科の実験で習ったように、澱粉にヨードを垂らすと色が変わりますよね。

結果はまーったく色が変わりませんでした。

少なくともヨウ素分子はこのヨウ素製剤には含まれていないことが判明しました。ヨウ素が原子として単独で存在していた場合はヨード澱粉反応が起こらない可能性があるので、これ以上の検証はプロの分析機関に依頼することとします(下手すりゃ警察が分析かもね)。

毒にも薬にもならない水を信じられないほどの高額で販売していた、ウィンメディックス。

新聞の報道や被害者の方の資料を読み込んでみると、その販売方法はどうみてもマルチ的な手法であり、金融犯罪的なものであることがお分かりだと思います。

以前から私はトンデモ系ニセ医学は「まるでシステム金融のよう」と伝えています。と思ったら、ウィンメディックスの社長って以前「システム金融」で逮捕されてるじゃん!!

このインチキビジネスの広告塔となっている医師がいるのです、その医師は期待を裏切らない、以前から私がトンデモ系ニセ医学認定しているオーソモレキュラー使いであることについては続報でお伝えしますね。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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