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「次亜塩素酸水なんて効果ないよ」国が公式表明を出せばGoToは中止にならなかった可能性

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新型コロナ感染症の感染拡大に伴い、GoToトラベル、GoToイートが中止になりそうです。

感染者が増えなければ、ユーザーである一般国民にとっても、業者にとっても有意義な政策だと考えられます。なぜ感染者は増えてしまったのでしょうか?

正しい感染予防方法をメディアは伝えていましたか?感染予防対策の基本をしっかり実施していれば、ここまで感染は広がらなかった可能性について検討してみます。

感染予防の基本をたんたんとこなせば「Go To トラベル」はそのまま継続できた可能性も

私は確実なエビデンスは無くても、「次亜塩素酸水なんて効果ないよ、空間除菌なんでできるわけないでしょ!」と国が公式見解を出して、メディアが積極的に取り上げていれば、GoToを見直す必要なかったのでは、と考えています。

例えばNHKのこれ。

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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201121/k10012724461000.html

どこが感染対策を徹底なんだよ〜❗

ちなみに今はなぜか上記の画像が他のものに変更されています。

「フィエスタ・デ・エスパーニャ2020」(11月21~23日 於:代々木公園イベント広場)。従来の感染対策に加えて、各種バクテリア、ウイルス不活化が立証されている除菌電解水(弱酸性次亜塩素酸水)を用いた除菌サービスを行い、来場者に安心・安全にイベントを楽しんでいただくことを企図しています。

https://www.jiji.com/jc/article?k=000000004.000048657&g=prt

弱酸性次亜塩素水が各種バクテリアに効果があろうと、ウイルス不活性化が立証されていようと、新型コロナ感染症感染対策として、噴霧する、あるいは空間中に散布することによって不活化できることは証明されているのでしょうか?

次亜塩素水で除菌できたから、安心と考えた人たちが感染する、あるいは他人に感染させることはないのでしょうか?

次亜塩素酸水を散布して空間を除菌できることは証明されていない

新型コロナに対して除菌するとの言葉を使用することは科学的・医学的には間違いなのですが、消毒することを「除菌」と呼ぶ風潮が世間一般では当たり前になってしまっている為、残念ながら「除菌」を使わせていただきます。さらに「除菌」は医学用語ではありません。

空間除菌といえばクレベリンをイメージする方も多いと思われます。CMをバンバン出しているクレベリンであっても、空間除菌は無理です。

クレベリンにはエビデンスがあっても、その信頼度には問題あり❗

クレベリンにはエビデンスがあっても、その信頼度には問題あり❗

消費者庁は空間除菌の製品の広告に対して景品表示法違反(優良誤認)に当たると再発防止命令を出しています。空間除菌製品の代表であるクレベリン、ウイルス対策としての使用は、安心感は得られても実際の効果は期待できません。クレベリンは製薬会社が販売していますが雑貨なのです。空間除菌のウソ・本当について医師が解説します。

厚生労働省は次亜塩素酸水に関しては、ドアノブなどに対しては一部の次亜塩素酸水も有効だと述べていますが、普通の水拭きでも一定の有効性は認められるのではないでしょうか?

また、一定濃度の次亜塩素酸水が新型コロナの感染力を一定程度減弱されたことがNITEの検証で明らかになったとしても、減弱されたからといって、ヒトに対する感染力が無くなったとは言い切れないはずです。

誰でも認めるアルコールの新型コロナに対する不活化効果ですが、

アルコールを空間に向けて噴霧しますか?ヒトにアルコールを吹き付けますか?

次亜塩素酸水が新型コロナに対して、一定レベルの除菌効果があったとしても、空間除菌あるいはヒトに吹きかけることの馬鹿馬鹿しさが理解できるのではないでしょうか?

ニュースで次亜塩素酸水を噴霧する機械を6本店内に配置して、お客さんを待っている店主のことが報道されました。準備して待っても来店客はゼロだったそうです。

ただでさえ外で会食する人が激減してキッツキツのお金で用意した感染予防対策が無意味では、インチキ商法に騙されたのと同じなんじゃ無いでしょうか?

さらに追い討ちのGoTo トラベル、GoTo イートの一時停止、旅館・ホテル・飲食店は潰れます。

厚生労働省・経済産業省・消費者庁は合同で「 空気中の浮遊ウイルスの対策には、消毒剤の空間噴霧ではなく、換気が有効です。」とポスターを作って呼びかけています(https://www.meti.go.jp/press/2020/06/20200626013/20200626013-4.pdf)。

新型コロナ感染症対策の基本の一つであるマスクでさえこの有様

マスクは自分をウイルス感染から守るものでは無く、自分が感染している場合に他人にうつさない効果を目的として着用するものです。

【マスクのまとめ】今でも勘違いされている目的と効果

【マスクのまとめ】今でも勘違いされている目的と効果

新型コロナウイルスの世界的流行によって、マスク着用が社会的義務・マナーになりましたが、マスクの効果に関して勘違いをしている人が多いです。マスクに関する情報をお伝えするために医師として使命感をもって記事を書いてきました。過去のマスクに関するブログを振り返りながら、マスクの効果や注意点を整理するのにお役立てください。

麻生大臣が身につけているマウスシールド、これをマスク替わりに使用している人を街中で見かけます。

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https://news.yahoo.co.jp/articles/154d216e89aedd760ad8c216dd77b48ffba94626/images/000

インカム風でちょっとカッコいいけど、鼻がもろ露出しているので自分を守る効果はもちろん、他人への感染を抑制する効果は期待薄。

マウスシールドは自分も守れないし、他人にうつすことも防げません。

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https://www.youtube.com/watch?v=RED_HPWbqjY&feature=emb_title

10μm以上の大きな飛沫を撒き散らすことは抑えることができても、ほとんどのウイルスの大きさは0.1μm程度ですから、マウスシールドで少なくとも他人にうつすことは防げません。

感染予防効果はフェイスシールドでも同じようなものであり、通常のマスクを使用していた方が他人への感染を防ぐ効果は期待できます。

ヘンテコなマウスシールド やフェイスシールドをしていることによって、感染拡大を防げると思い込んでGo To に参加したら、当然感染はどんどこ広がってしまうことになります。

感染拡大阻止効果があると判断されている、普通のマスクを使用することをメディアは声を大にして報道するべきです。

分科会の尾身会長の苦渋の選択を読み取る

私はテレビ出演する有名人や政治家が通常のマスクでは無く、フェイスシールド・マウスシールド姿で登場する場面をご覧になって、尾身先生はこのように考えたのではないかと妄想しました。「一般人は基本的な対策が理解できていない。これ以上感染拡大を抑えるには、GoToは控えるべきかもしれない」と。

尾身先生は新型コロナ感染症分科会の会見で次のように述べています。

クラスターが多様化していたり、PCR検査の陽性率が少しずつ増加したりしている。このまま行くと、国民の努力だけではコントロールするのが難しく、さらに強い対応をしないといけない事態になる可能性がある。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201118/k10012719061000.html

これを超意訳すると「前々から三密を避けて、手指消毒をしっかりやって、マスク着用を伝えていたじゃん。だからGoToをOKしたのに、大臣達でさえ基本中の基本が守れてない。となると、このままだともっと厳しい提言を出しちゃうぞ」です。

Go To を再開させるために私たちができること

GoToトラベル、GoToイート、これが利用できたらユーザーである私たちも、旅行業関係者も飲食業の方も一息つけますよね。再開させるためには、まず基本に戻りましょう。

  • 屋内ではマスクを着ける⋯マスクは市販のマスクでOK。フェイスシールドやマウスシールドは厳禁。会食するときは変なシールドなんて使わないでソーシャルディスタンスを。
  • 3密を避ける⋯空間除菌なんて無理。次亜塩素酸水を噴霧することを禁止するべき。
  • こまめに手洗いをする⋯手指消毒は感染予防の基本中の基本です。アルコールが無いからといって次亜塩素酸水で消毒した気になったらリスキーです。普通の石鹸を使って流水でしっかり手洗いで十分。

以上の3点を徹底的に行うことで、新型コロナ感染症感染は最小限に押さえ込め、GoToトラベル、GoToイートが再開できるのでは無いでしょうか?

飲食・飲み会ではこのような状況で感染が広がっています。

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国立感染症研究所 いわゆる「飲み会」における集団感染事例について

注意:当然感染症は人の移動で広がります。しかし、各々が基本に忠実にたんたんと予防方法を行っていれば感染はここまで広がらなかった可能性があります。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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