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トンデモ医療の王様、量子力学にもとづいたと称する波動医学には近寄らないが吉❗

更新日:

元祖トンデモ系ニセ医学である波動医学について説明します。

やたらと難しい物理学風の用語を多用する波動医学は「水からの伝言」という疑似科学やホメオパシーというニセ医学の理論背景にもなっています。

波動医学に関わるのは危険だよ

トンデモ系ニセ医学に惑わされることは、治る病気であるのに治す機会を損失することにもなりますので、注意が必要です。

波動医学とか波動医療とか騒いでいる人がいるけど

現代医療の行き詰まり感を敏感に感じ取って、「これからの医学は波動だ❗」とか、「近未来の医療は波動療法だ❗」と主張して活動しているトンデモ系ニセ医学信奉者がいます。

人間の体の作りと病気の関係を波動で説明し、病気も波動が原因、検査も波動、治療も波動、というかなりシンプルと言うか単純な思考回路で波動医学は成り立っています。

ある程度トンデモ医学をご存じの方なら、「ああ、またあの人たちねえ~っ」と認識する方々が波動医学の中心人物となっています。例えば船瀬俊介氏、彼はとにかく目に見えないものは何でも怖がり、必要以上の危機感を煽ることで有名です。

調理器具の電磁波怖い怖いの船瀬さん関連ブログ記事はこれ。

電磁波による健康障害、でもIH調理器で健康は害しないだろうけどね❗

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「IH調理器が体に悪い影響があるって本当?」との質問を受けました。電磁波っていうと放射能と同じニュアンスで捉えられがちです。電磁波を使用して、フライパンや鍋を温めて料理するので健康を害するんじゃないか?と思いがちですが全く心配ありません。電磁波を気にしだしたらTV・パソコン・車・電車、といった電気を使う生活は無理です。

5G怖い怖いの船瀬さん関連ブログ記事はこれ。

「次世代通信規格5Gでムクドリが大量死❗」ってデマを後押ししたトンデモさんへ。

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電磁波はケータイ電話の広まりに合わせて健康に悪いという説も一部で信じられています。日本だけでなく海外でも信じられていたりします。ですが、当然デマ情報がふんだんに盛り込まれています。2020年代の通信の主流になる予定の5Gでも電磁波デマは加速しています。都市伝説とも親和性がたかいのですがデマは信じないでくださいね。

船瀬俊介氏の著作「未来を救う『波動医学』瞬時に診断・治療し、痛みも副作用もない」(共栄書房)を参考図書として波動医学・波動医療のヘンテコさを解説してみます。

波動医学の専門家(?)船瀬俊介氏はどこを目指しているのか

船瀬氏は医師ではありませんし、もともと医療に携わっている方ではありません。薬の副作用や添加物や電磁波や5Gの恐怖を煽ることを専門にしている、たぶん消費者問題の煽動家なんじゃないかなあ、と個人的に捉えています。

米国ではラルフ・ネーダーという一時期は大統領選挙にまで影響を及ぼす力を持った消費者問題活動家がいたので、日本のラルフ・ネーダー氏を目指したのかもね。ラルフ・ネーダー氏と船瀬氏の大きな違いは、船瀬氏は疑似科学・ニセ医学以外に陰謀論にも造詣が深い方であり、今回取り上げた著書でも陰謀論というトンデモ話が散りばめられている点が味わい深いです。

現代医学および現代医療は絶対であると思っている医師は皆無でしょうし、人体の全てがわかっていると考えている医師なんているわけはありません。しかし、いくら医療不信があるとしても

「生命は波動で生まれ、波動で営まれる」に飛躍してしまうのでしょうか???

さらに生命の誕生の原理が波動であったとしてもロスチャイルドやロックフェーラーなどの財閥が圧殺する必要があるのかなあ?ロスチャイルドやロックフェラーじゃない私だって、圧殺したり黙殺はしないで、単純にトンデモだから無視しているだけなんだけどね。

波動医療に関しては2014年から私はそれなりに問題視しています。

波動医療というトンデモない代替医療というかニセ医学の拡散力の恐怖❗ニセ医学が標準治療をおびやかす。

波動医療というトンデモない代替医療というかニセ医学の拡散力の恐怖❗ニセ医学が標準治療をおびやかす。

波動医療は、医療とは名ばかりで医療ではないインチキ・ニセ医学です。詐欺に遭わない・騙されない・自分の目で見たことしか信じない、そんな人でもなぜか信じてしまうのが波動理論。その恐るべき人の心を掴むパワーはあれど、治療効果はまったくないインチキ医療の実態を解説します。

亜流としては代替医療方面も波動を取り入れています。

波動整体療法はニセ医学・疑似医療のドンキだあ❗笑

波動整体療法はニセ医学・疑似医療のドンキだあ❗笑

波動整体療法なる施術方法は波動+整体と誰もが想像するはずです。何が胡散臭いの?と思われるかもしれませんが、その実態はツッコミどころ満載の、●●のデパート状態です。ニセ医学・疑似科学てんこ盛り具合について医師が解説します。

波動医学の波動はwaveでは無くvibration

通常高校の物理で習う波動は英語だとwave、しかし、ある意味で良心的なトンデモ医学の波動はバイブレーション(vibration)を使っています。なぜvibrationを使うと良心的な波動さんなのかというと、海外で発行されたトンデモ医療の波動関連書籍ではvibrationを使っており、良心の呵責ゆえにwaveは使っていないのです(たぶん)。

ところがどっこい、日本の波動系トンデモさんたちの間ではwaveもvibrationもごっちゃになって「波動」と呼んで書いています。

波動医療の大家である船瀬さんはそのあたりはさすがです、しっかりと波動療法をバイブレーションとして説明しています。彼らが使う波動は簡単にいえば、「あなたと私は波長が合うよね」の波長を波動として解釈しているようです。

ソマチッドって何?

波動医学関連の書籍を読むと必ずと行っていいほど出てくる言葉がソマチッド。ソマチッドは英語の一般書籍だと「Somatide」と書かれています。この用語を知っている医師はたぶん全医師の1%にも満たないと思われます。医学書に書かれていないし、医学部の授業でも習うことはないからしかたないですけどね。

しかし、船瀬氏はソマチッドや波動を医学部で教えないから現代医学は限界に達しているし、現代医学は病気そのもの人体の仕組みを自体を理解していない点が大問題だと提起しているのです。

物事を考える、物事を説明する、物事を複数人で共有して研究・検証するためにはその物事の定義が必要となります。波動医療信奉者と発展的な議論を進めていくためにはソマチッドの定義を明確にする必要があります。

「Somatide」「Somachit」「Somatit」などの表記が海外では使用されています。今回は船瀬氏が絶賛しているソマチッドの大家である森下自然医学の創始者である森下敬一氏は「ソマチッド」を使っていますので、ソマチッドで話を進めます。

ソマチッドとは4次元の氣が3次元に転入して物質化した生命細胞の最小単位である

これがソマチッドの定義です(「気」じゃなくて「氣」と書くのがポイントだよ)。

このソマチッドはガストン・ネサン(Gaston Naessens)博士というフランスの生物学者が発見したとのこと。しかし、この発見話が私にはどうしても理解できないというか、本当に発見されたのか疑問が噴出してきます。なぜならソマチッドはめちゃくちゃ微小なのに、光学顕微鏡を改造したと思われるソマトスコープ(Somatoscope)を使わないと見えないそーです。このソマトスコープの倍率はなんと最大3万倍という高性能。0.015μmの分解能を備えているそ~です。

めちゃちゃ小さい物質としてウイルスがあります(ウイルスは厳密には生き物ではないけどね)。このウイルスの大きさは0.1μmレベルであり電子顕微鏡を使わないと見えません。光学顕微鏡の最大の倍率は通常は1000倍程度、まあこれにデジタルスコープを組み合わせればそれ以上に拡大できはしますが、1800倍以上は「空倍率」呼ばれ、デカく見えるけど解像はできていない状態になってしまいます。

光学顕微鏡の参考資料

  • オリンパス「顕微鏡の能力 その1 ~分解能と倍率~」https://www.olympus-lifescience.com/ja/support/learn/03/045/
  • 大学共同利用開発法人 分子科学研究所 「微細な形・構造を光で見る方法」https://groups.ims.ac.jp/organization/okamoto_g/beginer/nyumon2.html
  • 日本顕微鏡工業会 「光学顕微鏡の基礎」http://www.microscope.jp/knowledge/01-4.html

光学顕微鏡をどんなに改造しても3万倍になることはありえないのです。その理由は顕微鏡の分解能は光の波長に左右されますし、人間が視ることができる可視光線の限界は400nm(0.4μm) ですから0.015μmの光学顕微鏡自体がありえません❗

あはははっ、めちゃくちゃピンぼけだけど、ソマチッドが動いているところが光学顕微鏡で見えてる(爆)。

画像

https://www.youtube.com/watch?v=udaxsKNPKL8 Polimorfismo – Dr.Gaston Naessensより

船瀬氏は著作中で波動を説明するにあたって波長とか周波数を多用しています。波長を理解しているはずなのに、物理学的にありえない波長の分解能をもちあわせた顕微鏡で確認されたソマチッドの存在を前提にして波動医学を説明する時点でロジックは破綻しているんじゃないの?

不可能を可能とする魔法の言葉が「量子力学」

船瀬氏によれば、生命は波動であり、ものの存在自体が波動なんだそーです。波動のトンデモ利用の裏付けとして、量子力学の創始者ともいえるマックス・プランク(Max  Planck)が引っ張り出されています(船瀬氏はなぜか「マックス・ブランク」と書いているけどね)。

量子力学はかなり高度な物理学の分野であり、高校の物理で習う量子力学は量子仮説を基盤とした量子論で説明した物理学であり、1925年以降に発展した部分を量子力学だよレベルの説明で終わりです(複数の高校の物理の教科書や参考書による)。

量子力学を船瀬氏は次の様に説明しています。

すべては波動であり、その影響である。現実には何の物質も存在しない。すべてのものは波動から構成されている

未来を救う『波動医学』瞬時に診断・治療し、痛みも副作用もない P53

以上のようにマックス・プランクが説明していると記載しています。しかし、マックス・プランクがどの文献にこのようなことを書き残したのかを、私は数年気にかけて調べているのですが、どっこにも見当たりません。

まあ、何の物質も存在しないのですからマックス・プランクが書き残した文献も存在しないのでしょうね(笑)。

すべての生命体は固有波動を持っていて、病気は波動の乱れが原因???

波動医学の根源的理論はすべての生命体は波動で生まれ、臓器も固有の波動を有している、つまり病気の原因は波動の乱れであり、波動の乱れを見つけて診断して波動のズレを直せば病気を治すことができる、との考え方です。

この人体の波動の乱れを発見して、波動のズレを修正する未来を救うのが波動医療???ってことなんです。

自分でなにを言っているのか全く理解できないでこの記事を書いています。なんでそんな面倒なことをしているかというと、波動測定装置「メタトロン」のバカバカしさをいつか説明するためなのです。

次回、トンデモ系ニセ医学御用達かつトンデモの本丸である、「波動測定装置メタトロン」についてブログ記事を書きますのでお楽しみに。

書いたよ〜❗

「波動測定装置メタトロン」はトンデモ系ニセ医学なのか?未来を救う医療機器なのか?

「波動測定装置メタトロン」はトンデモ系ニセ医学なのか?未来を救う医療機器なのか?

波動を測定するメタトロンなる機器があります。メタトロンは波動医学なるニセ医学を信奉する信者が行っている医療・サービスで使われる機器で、医療機器のように扱わていますが、メタトロンを販売しているメーカー・代理店は「医療機器ではありません」といっています。では、このメタトロンにはどんな存在価値があるのでしょうか?

おまけ:トンデモ医学の基礎用語

以下の言葉が医療健康情報記事で出てきたら99.9999%の確率でトンデモ系ニセ医学と判断してください。

  • 波動
  • ソマチッド
  • 量子力学
  • 固有波動
  • メタトロン

以上、おぼえておいて損は無いですよ。トンデモ系ニセ医学に惑わされているとまっとうな医療を受ける機会を損失しちゃいますからね❗

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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