fbpx

分子栄養学の分派メガビタミン療法のトンデモ加減に驚いた❗オーソモレキュラーに惑わされないための基礎知識。

更新日:

オーソモレキュラーは、分子栄養学というトンデモ系ニセ医学から派生したヘンテコな医学理論に基づいた治療法です。

このオーソモレキュラーの伝道者ともいえる医師の著作を参考にして、どのような点が非科学的であり、限りなくニセ医学に近いトンデモであるかをお伝えします。

すべての不調は自分で治せる?そんなワケ無いじゃん❗

すべてなんだな、どんな不調でも自分で治せるんだな❗を青筋を立てる申し立てるつもりはありません。軽い気持ちで、タンパク質と鉄とメガビタミンを摂取してもすべての不調(たぶんすべての病気と行ってしまうと誇大表現になると自粛したのか)が自分で治せるわけ無いじゃんレベルで受け止めてください。

しかし、そんなありえない主張をお医者さんが多数の書籍やFacebookで喧伝していたら、いたいけで純情な心をもった素朴な人々は惑わされるでしょうね。さらに現代医学では治らなかったと感じている病気に悩まされている人にとっては魅力的な言葉です。

それは飛んで火に入る夏の虫状態、赤子の手を捻る状態であり、下手すりゃ、沈むことがわかりきっている藁を溺れるものに差し伸べる状況にもなりかねません。現時点で日本におけるメガビタミンの大家の1人であると思われる藤川徳美医師の主な活動の場はFacebookです。

そこで人柱的に清水の舞台から飛び降りる心構えで「医師や薬に頼らない!すべての不調は自分で治せる」という藤川徳美医師の著作をプロパーで購入して、どう考えてもトンデモであるメガビタミン療法についての検証を行ってみます。

メガビタミンのあらましは、このブログ記事をお読みくださいませ。

医師が知らないニセ医学【その3】メガビタミン療法ってなんだ?

医師が知らないニセ医学【その3】メガビタミン療法ってなんだ?

分子栄養学には真っ当な研究者によって今でも地道な努力が日々行われているものと、全くの別ものの分子栄養学を名乗るトンデモ系ニセ医学の2種類あります。さらにトンデモ系の分子栄養学(厳密には分子整合栄養医学)の一流派と思われるトンデモさんとして 、メガビタミン療法なる怪しげな治療方法がネットで散見できます。

前掲のブログ記事で取り上げた治療家のアカウントが現時点で削除されていることは、私のブログ記事が原因とは考えたくありません。私はトンデモであろうと疑似科学であろうと、思想信条に拘らず言論の自由は絶対に守られるべきだと思います。

しかし、命に関わる健康医学情報において明らかに間違った情報を垂れ流すことであっても、言論の自由の範疇であるのかは判断はできていない状態です。ある程度の科学的思考と読解能力と調べる努力を惜しまなければ、ニセ医学かの判断は専門家でなくても可能なんじゃないかなぁ。そうなれば、めっちゃくちゃ非科学的・非論理的な情報は無視されるか、自然消滅するはずと信じています。

メガビタミンはトンデモ系ニセ医学オーソモレキュラーの一流派

藤川徳美医師が奨めるメガビタミンはあきらかに三石巌氏の分子生物学から派生した分子栄養学の影響を受けています。また、海外で活躍しているアンドリュー・ソウル (Andrew W. Saul) 氏の言葉として「Doctor Yourself」を挙げています(Doctor Yourselfってアンドリュー・ソウル氏の本のタイトルのような気もするけど⋯)。

画像

https://www.amazon.co.jp/Doctor-Yourself-Natural-Healing-Works/dp/1591203104より

分子生物学からかなりヘンテコな方向へ進んだ三石巌氏についてはこちらをどーぞ。

トンデモ医学オーソモレキュラーの元祖分子栄養学が残した大罪。

トンデモ医学オーソモレキュラーの元祖分子栄養学が残した大罪。

病気の原因は栄養の欠損であるとする説を唱える書籍が溢れていますが、そのような主張の元祖が分子栄養学または分子整合栄養医学なるニセ医学です。このニセ医学を信奉する医師も少なくないので、非常に厄介です。そんなオーソモレキュラー医学の元祖といえる分子栄養学が遺した罪について解説します。

メガビタミンを主張している人はそんなこと無いよ、というでしょう。また、オーソモレキュラーの人もそんなこと無いよ、というと思います。しかし、どう見てもメガビタミンとオーソモレキュラーは同根。同じようなことをやって同じような理論でトンデモ医学を構成しています。

分子生物学 → 分子栄養学 → オーソモレキュラーまたは分子整合栄養医学 → メガビタミン

がメガビタミン発祥の流れです。分子生物学はまっとうな学問なのに、分子生物学とトンデモ疑似科学と考えられる分子栄養学を派生させちまった三石巌氏、そしてさらなるトンデモであるオーソモレキュラーが生み出され、さらにさらにメガビタミンなるトンデモ系ニセ医学に発展というか進化というか退化してしまったようです。

メガビタミン療法が通常のビタミン療法ではダメでメガ(「mega」、非常に大きな)でなければ行けない理由として、「確率的親和力」という言葉で説明しています。この確率的親和力、オーソモレキュラー独特の用語でありこのような現象が人体内で実際に起っていることを明確に示した文献はオーソモレキュラー関連以外では見つけることができません。

そもそもオーソモレキュラーは間違った非科学的な医学から派生しているのですから、メガビタミンがまっとうな医学であるはずは無いと考えるのが論理的だと思うんだけどなあ⋯。

ノーベル賞を二度受賞したライナス・ポーリング氏がビタミン信奉者になったのが、ビタミン至上主義のそもそもの始まりと考えることができます。

医師が知らないニセ医学【その4】高濃度ビタミンC療法

医師が知らないニセ医学【その4】高濃度ビタミンC療法

ビタミンCは大量に摂取しても大丈夫が常識として浸透し、高濃度ビタミンC療法なる治療法を医師が薦めていたら効果あると思ってしまうのは当然です。信じる・信じないはあなた次第ですなんて無責任なことをいうつもりはございません。ノーベル賞を2回受賞したライナス・ポーリング博士が考案でも、高濃度ビタミンC療法はニセ医学です。

いくらノーベル賞を受賞したと行っても、晩年にヘンテコなことにこだわって、ロタウイルス?ワクチンの開発であるPaul Allan Offit氏は著書「Pandora’s Lab: Seven Stories of Science Gone Wrong」の中で、ポーリング氏がビタミンCに固執したことを、「転落」とさえ表現しています。

プロテインやサプリメントは人類の英知の結晶?

分子栄養学の三石氏はビタミン不足が病気の原因であると強調するとともに、タンパク質も重視しています。その影響のためか藤川医師はタンパク質をプロテインという言葉に置き換えて、サプリメントとしてタンパク質を摂取することとを薦めています。

画像

藤川医師の本のカバーには「プロテイン1日20g×2回のすごい効果!」と書かれていますね。

確かにタンパク質は三大栄養素の一つですから生命を維持するうえでも、健康であるためにも必要であることに疑問はありません。成人のタンパク質の必要量は1日体重1キロあたり0.65g〜0.8g程度、体重60キログラムだと39〜48gくらいです。しかし、タンパク質をサプリメントのプロテインとして摂取する必要があるのでしょうか?

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」によれば、タンパク質の摂取量は男女ともに不足しているとは言い難いのです。

画像

この辺りからもトンデモさんの特徴の、「計算が不得意」「量の概念が乏しい」あるいは、「データを読み間違える」が、見え隠れしています。今までの医学常識の方が間違っていると信奉者は言うでしょうけどね(苦笑)

メガビタミンの治療効果はそもそも反証が不可能じゃん

藤川医師はとにかく現在の医者は栄養学について勉強不足である、医学常識は間違いだらけであり栄養学は自分の主催しているFacebookの投稿で学んだ一般素人の方が知識があるのだから、とにかく医師に健康管理を任せたり質問するのは無駄である、とのお考えが著作の至るところから、ほとばしっています。

だからこそ医師の治療を受けないで、すべての不調は自分で治そう❗というのが著作の趣旨と私は読解しました。

この考え方、この主張は非常に優れたものですね。藤川医師を信奉するようになれば、実際に藤川医師の診察を受ける必要もありませんし、カルテ等に治療の詳細を記録する必要も無く、サプリメントで体調が改善した人たちの証言を簡単にFacebook上で症例報告としてバンバン掲載できますから。

藤川医師が尊敬している三石巌氏は物理学を専門とした学者ですから、カール・ポパーの「再検証できないものは科学ではない」という言葉をご自身の著作に記載しています。藤川医師の著作には多数のメガビタミン療法で健康を回復した人たちの経過が個人の感想レベルで記載されています。しかし、

藤川医師の著作にある症例集の症例自体が再検証不可能じゃん❗

私は、なぜ藤川徳美医師を信奉する素人さんや代替医療の治療家、そして医師がいるのか不思議でしかたがないのです。

藤川医師の著作には推奨するサプリメント、及び購入できるウェブサイトが親切に記載されています。

治癒した人がいてもそれはたまたま、あるいは平均への回帰の可能性が大

「平均への回帰」という言葉があります。例えば腰痛で苦しんでいる人であっても、毎日毎日腰痛の症状は同じではなく、死ぬほど痛い日もあれば、軽い運動くらいはできる日もあったりするように、症状・病状には波があることは多くの人が経験しているはずです。

たまたまめちゃくちゃ痛い日に処方された薬を服用して、痛みが軽快したら、「あの先生は名医だ!」または「この薬ってめっちゃ効果的」と感じるはずです。しかし、慢性の腰痛の場合はどうでしょうか?服薬した日に痛みが軽くなったとしても数日経ったらもとのような痛みがぶり返してくることもしばしばあります。

痛みが軽減したのは医師の診断が良かったのか、痛み止めが効果的だったのか、あるいは自然と痛みが解消したのか、または症状に波があるためか、などを検証する必要が出てきます。この問題を解決するためには、少数の症例だけでは判断ができなく、長期的な観察が必要となり、それらのデータを再検証することによって医学が科学に近づくことができるのです。

メガビタミン療法で病気が治った、症状が軽減した、という症例は平均への回帰的なたまたまなのかもしれません。または効果があったと思われる症例だけのピックアップの可能性もあります。

メガビタミン療法を実践しなくても、一時的に症状が軽快して病気が治ってしまったと患者さんが感じただけかもしれません。しかし、苦痛に苦しむ人がなんらかの処置をして現状を打破したいと考えるのは自然の行為であり、そのあたりの微妙な患者さん心理をうまく取り入れたのが藤川医師の症例集なんじゃないでしょうか?

メガビタミン療法は検証に耐えうるまともな研究データさえありません

メガビタミンに関してNIH(National Institutes of Health、アメリカ国立衛生研究所)は「NIH State-of-the-Science Conference Statement on Multivitamin/Mineral Supplements and Chronic Disease Prevention」との声明を出してます(これはしっかり文章として残っているので、メガビタミン方面の方は反証してね)。アブストラクトには次のようにと書かれています。

In systematically evaluating the effectiveness and safety of MVMs in relation to chronic disease prevention, we found few rigorous studies on which to base clear conclusions and recommendations.

これをGoogle翻訳しますと以下のようになります

慢性疾患の予防に関連するMVMの有効性と安全性を体系的に評価したところ、明確な結論と推奨事項の基礎となる厳密な研究はほとんど見つかりませんでした。

ビタミン至上主義から派生したメガビタミン(NIHの声明文だと MVM=Multivitamin/Mineral Supplements)、科学であるための基本中の基本である第三者の再検証によって、まともな研究は無いよ!と判断されているのです。

メガビタミン療法信奉者およびオーソモレキュラー信奉者の反撃にそなえて、「オーソモレキュラー療法入門」(エイブラハム・ホッファー、アンドリュー・W・ソウル著 論創社発行)を入手しましたので、近いうちにオーソモレキュラーについてのさらなる詳細な検証ブログを書く予定とします(なるべくもう少し短いブログ記事にするね)。

なお、誠に勝手ながらメガビタミン信奉者関係の方からの苦情・反論は電話では承っておりません。かならずメールや文書でお願いします。だって第三者によって反証できないもんね、電話だと。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

Affiliated Medical Institutions

主な提携医療機関

一般診療
診療日
月・火・水・金
9:30~12:30/15:00~18:30

土 9:30~12:30
休診日
木・日・祝
受付時間
9:00〜12:15/14:30〜18:15

泌尿器科・内科・発熱外来

フリーダイヤルがご利用になれない場合は03-5721-7000

美容診療
診療日
月・火・水・木・金・土
10:00~18:30

※完全予約制です。ご予約はお電話ください。
休診日
日・祝
受付時間
10:00〜18:30

美容外科・美容皮膚科

フリーダイヤルがご利用になれない場合は03-5721-7015

© 2023 医療法人社団 萌隆会 五本木クリニック