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エボラ出血熱、国内で二人目の感染疑い!「接触感染じゃないとうつらない」という説明は信用できるの?

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感染症の感染経路は空気感染・飛沫感染・接触感染の3つの感染経路が知られています。

今回、大騒ぎになっているエボラ出血熱ですが、本日国内で二例目の感染疑いの方が出たことが報道されています。

「エボラ出血熱は接触感染で感染が広がります」って言われても具体的にどんなことが接触になるのか?

塩崎厚労大臣は「エボラ出血熱は接触感染だから」と発言して、非科学的なパニック、噂レベルの話が流布されることを懸念していることが十分理解できます。では

もちろん感染の仕組みを理解していれば無用な恐れを抱く必要はありません(『エボラ出血熱、日本で感染拡大させない為の方法として注意は必要だけど、パニックを起こすことはない』) 。

エボラ出血熱の感染経路である「接触感染」とはどのようなことをいうのでしょうか?

以前、エボラウイルスが空気感染する、という噂がネット上にあったので否定しました(『エボラ出血熱は空気感染しません、ところで感染経路の空気感染ってなんだ?』) 。
あまり医学用語を使用すると一般の方は理解しにくい可能性がありますので、市販薬を製造・販売している会社の一般の方向けの説明がわかりやすので引用します。

接触感染とは、皮膚や粘膜の直接的な接触や、手、ドアノブ、手すり、便座、スイッチ、ボタン等の表面を介しての接触で病原体が付着することによる感染のことです。病原体に汚染された食品・物・手指、病原体を含む汚物・嘔吐物を介して主に口から体内に侵入します。ノロウイルス、ロタウイルス、腸管出血性大腸菌(O157)、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌などによる感染性胃腸炎が代表です。
HIV感染によるエイズ、クラミジアのような性行為による感染症は、血液や体液、粘膜を通して感染する接触感染になります。
病原体を持つ動物に噛まれたり、引っかかれたり、体や糞に触れることによって感染する狂犬病やトキソプラズマなどや、蚊・ノミ・ダニなどに刺されて感染するマラリアや日本脳炎などのように、動物や昆虫を媒介として感染する場合もあります。

大幸薬品 感染症とは何?

上記サイトでは

  • 感染者に直接触ることで感染する
  • 感染者が触ったものからも感染する
  • 排泄物からも感染する

ということがわかりやすく説明されています。

感染は血液・体液・吐瀉物・排泄物中にエボラ出血熱ウイルスが潜んでいて、それらが口から入り込んでくることで感染してしまいます。ここで問題になるのが、感染した人が感染したことを知らないでトイレの後に手をしっかり洗わなかったり、怪我をして出血した場合の血液が付着した手で何かに触れて、それを触った人がエボラ出血熱ウイルスに感染するということになります。

となると感染した人、感染が疑われる人の行動範囲を把握して、国内における万が一のエボラ出血熱の感染拡大を防ぐ必要が出てきます。しかし、それがかなり難しいことが今回の件で露見しています。

リベリア滞在の男性発熱、「エボラ出血熱」陰性:イザ!

https://web.archive.org/web/20150107035455/http://www.iza.ne.jp/topics/events/events-5220-m.html

産経デジタル「リベリア滞在の男性発熱、「エボラ出血熱」陰性」(2014.10.29)の記事に掲載されている上図の「すりぬけ」「症状なし」の場合が国内のエボラ出血熱ウイルスの拡大を招きます❗

感染経路をお札の流れで予測する方法も紹介しました(エボラ出血熱も予測可能⁉インフルエンザ感染が拡大する様子をお金の流通経路をつかってシュミレーション❗)。

エボラ出血熱の感染が疑われる人を隔離する場合に発生する問題

日本で伝染病がごくごく当たり前の病気であった時代につくられた検疫法は海外からの日本ではまだ感染者がいないような感染症が国内に入り込まないための対策として「隔離」をすることを中心としています。

米国ではエボラ出血熱が疑われた医療関係者が「隔離は人権問題だ」と騒いで、必要以上に外出する姿がCNNなどで報道されていました。隔離期間は21日程度を想定していますが、21日間隔離された場合、自由を拘束されたことに対する怒りもあるでしょうけど、万が一感染していたら、個人の自由を振りかざして他人を最悪の場合、死に至る危険にさらすリスクもあります。

CNN_co_jp___「まだ闘いは終わらない」 外出認められた米看護師
CNN.co.jphttps://www.cnn.co.jp/usa/35056064.htmlより

個人の人権問題、自由な移動の制限、先進国の憲法で保障された権利と感染拡大のリスクのどっちを取るのか?となると高度な政治的判断が必要になるでしょう。

そんな状況におかれたオバマ大統領は「エボラ出血熱の感染の疑いがある人を隔離するのは科学的ではない」的に声明を出しています。それって本当に科学的でないんでしょうか?

エボラ出血熱の感染者はもちろんのこと、感染が疑われる人の個人情報の問題

今年の夏に世の中を騒がせた「デング熱」もある程度最初に感染した人がネットでも特定することができますが、その個人個人の基本的人権が犯されたような事実はすくなくとも調べた限りは出てきていません。

日本国内でのエボラ出血熱感染疑い第1号のジャーナリストは幸いにして疑いであって、数日の隔離後に退院していますが、彼個人が有名なジャーナリストであったために個人が特定されてしまいました。どちらかというと反日的報道を行っているエボラ出血熱感染疑い第1号のジャーナリストさんの隔離に対する意見が出てくると、メディアで多くの意見・論議が行われると考えますので、100パーセント感染が否定された段階で積極的に意見を発信していただきたいと思います。

行政は万が一感染が心配な人への配慮がたりなすぎる❗

エボラ出血熱の感染が拡大している西アフリカを訪れた人は十分にご自分の健康状態に配慮しているはずです。しかし、米国、欧州でもエボラ出血熱感染者が出ていますから、感染者が確認された地域に旅行していた人は接触感染であっても心配しているのではないでしょうか?それに対する行政のコメントは

厚労省は「健康不安などがあれば近くの保健所に問い合わせてほしい」としている。

産経デジタルiZa

この厚労省の発言、どう思います?接触感染の意味していることは「感染が疑われる人に直接接触しないとエボラ出血熱は感染が拡大しない」と考えてもおかしな見解です。

当院のように地元の方が訪れるクリニックの場合、感染を心配した人が来院したらそれこそパニックになってしまいます。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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