「うつ病」は心の病気ではなく、「脳の病気」と考えた方がいいかも。

うつ病は様々な要因によって発症する病気です。

要因として性格・環境・社会環境・ストレス、それと残念ながら遺伝的要素も挙げられています。

年々増加する「うつ病」を心の病と考える時代は過去のもの?

うつ病は厚生労働省のサイトによれば、一生のうちにうつ病を経験する人は3〜16パーセント、過去1年に経験した人は1〜8パーセントとなっています。なんでこんなに幅のある数字になるかというと、うつ病って血液検査で診断されるワケではないですし、診断基準もちょくちょく変更されるようですし、自分で「うつ病である」と思わない人もいるので明確な疫学的な数字を提示することが難しいのです。

公務員の間でうつ病が急激に増加しているとの話

地方公務員安全衛生推進協会」の平成26年度の「地方公務員健康状況等の現況の概要」によれば、

  • 精神及び行動の障害によって長期に病欠している人は10万人中1239.5人
  • 長期病欠者のうち、「精神及び行動障害」を理由としている人は50.2パーセント

平成27年で地方公務員の数は273万8,337人(総務省調べ)ですから、3万3942人(2.48パーセント)が長期病休者と扱われているんですいるんです!!

公務員の間で「うつ病」が大量発症!!

ってワケでは厚労省の有病率が正しいとすれば無いようです。

地方公務員健康状況等の現況(平成26年度)の概要

前述サイトより 一般企業と比べた場合、休みやすいのでしょうけどね。個人事業主の場合は死活問題になっちゃいます。

休んでも給与やポジションが保障されえているからかは不明ですが、10年前と比較して1.56倍になっていることは間違いありません。トヨタの従業員数は344,109人なので地方公務員と同じだけ長期病欠の人がいたら8530人も休んでしまうことになります⋯ドル高に苦しむどころでなくて、企業存続の危機になっちゃいますね。

うつ病の症状って性格にも左右されるので、明確な診断基準が必要です

某グーミン先生と99.99パーセント意見が合わない私ですが、0.01パーセントだけ一致しているのはうつ病患者さんへの複数大量の薬が処方されていることです。

うつ病は様々な症状があるので、一つ一つに対応する薬を処方するとそうなっちゃうのでしょうね(心の中ではそんなワケないじゃんと思っていますけど)。

例えばうつ病の症状として「マイナス思考」「興味の消失」「意欲の低下」などがありますが、日本国民全員が「プラス思考」になってしまっては某隣国のようなハイテンション国家になる可能性があります。プラス思考だのマイナス思考だの、多種多様な思考傾向があって別に問題ないのでは。

「興味の消失」だって、そりゃ長い人生で経験しますよね。例えばあるブランドの服に凝って給料の大半をつぎ込んでいた人が、ある日突然「しまむら」のファッションに魅せられた場合、第三者からは「あの人ってファッションに全く興味がなくなったみたい」と評価されます。

「意欲の低下」、これも誰でも経験していると思われます⋯私も時々長期間ブログを書かないことありますから。これだけで「うつ病」って診断されたらたまったものではありません。

うつ病の場合、蓄積する疲労感・頭痛・便秘・睡眠障害などの気分障害以外の身体的障害が現れます。しかし、これらの症状を明確に数字化することはできません。精神障害の判定基準として、「Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders」というのがあります。長ったらしい名前なので、一般的にはDSMと呼ばれているのですが⋯これって米国の精神医学会が作成したものですから、うつ病の要因であると考えられている社会環境・環境・遺伝・ストレスを日本人に当てはめちゃっていいのか、と素朴な疑問が湧いてきます。

うつ病のメカニズム

うつ病と聞くと「心の病」と考えがちですが、「脳のメカニズムの障害」(表現はキツイですけど、この方が個人個人の性格等を否定することにはならないのでは?)と考え方が最近は主流です。

意欲や気分を左右する体内の物質として「セロトニン」「ノルアドレナリン」ちう神経伝達物質を中心に考える方法です。これらの神経伝達物質が何かの影響によって不足する、あるいは神経伝達物質に対する受容体が上手く受け入れられない、この障害によって発症するとの考え方です。

この考え方を発展させ、脳にある「扁桃体」に注目が集まっています。ストレス下では扁桃体が副腎に命令してコルチゾールを大量に分泌しますが、この過剰なストレスホルモンであるコルチゾールが脳の細胞の働きを鈍らせて、うつ病が発症するとのメカニズムです。これならコルチゾールを血液検査で測定し、functional magnetic resonance imaging(fMRIと呼ばれることが多い)で脳の活動を観察することによって「うつ病」と確定診断ができる可能性が出てきています。

男性の場合は「男性更年期障害(LOH)」の場合もあります。これは血液検査で遊離テストステロンを測定することで、見える化して確定診断可能です。

明確な診断基準、診断の見える化が可能になれば、ニセ医学系の精神疾患治療にはまり込む信者さんは減少するのではないでしょうか⋯でも、見える化している「がん」でも、ヘンテコな治療方法にはまり込む人多数か。

執筆者情報

桑満おさむ医師

このブログ記事の筆者:桑満おさむ
Osamu Kuwamitsu, M.D.

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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