2016年インフルエンザは流行するか?ところでタミフルってどうなっちゃったの?電凸しました❗

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今年2016年も10月1日より、インフルエンザワクチンの予防接種が開始されました。ワクチン接種というとかならず「インフルエンザのワクチンって効果ないんだぜ」「副作用ばっかりで意味がないインフルエンザワクチン」等の半可通の方のご意見がまかり通っています。→インフルエンザ予防接種は効果がありません、という毎日新聞の報道への疑問が満載❗

予防接種の副作用とインフルエンザ治療薬の副作用について

インフルエンザの治療薬の副作用と思われる現象について「インフルエンザに感染することより治療薬(例えばタミフル)の副作用の方が怖い」なんて考え方をする自称情報通の方も近所にいらっしゃるのではないでしょうか?

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予防にはなんといっても、ワクチンの接種が一番です❗

インフルエンザ治療薬の副作用として有名なのは「タミフルによる転落や飛び降りなどの異常行動」が知られています。しかし、この副作用と思われる現象が果たしてタミフルによるものなのか、あるいはインフルエンザ感染による「脳症」の一症状なのか判別がつきにくいために、年少者には使用しないようにする、あるいは保護者が付き添うことが注意喚起されています。

近所の噂好きの方でない、医療関係者のなかにも「タミフルの副作用は怖い」というだけじゃなくて、 「タミフルが原因でギラン・バレー症候群になった人がいる」と言いふらしているヘンな医療関係者を発見しました❗

医師としてそんな怖い副作用があるのならば、と早速タミフルを販売している製薬会社に電凸した次第です。

重篤な副作用を製薬会社に報告していない?あるいは単なる聞伝え???

http://healthpress.jp/ という健康情報サイトがあります。その中で「大きなリスクを伴う特効薬 それでも抗インフルエンザ薬に頼るのか?」と題されたページがあります。そこでこんな話を薬剤師の方が仰っています。

異常行動や精神障害のほか、全身にしびれが起こり立てなくなってしまった女性が、タミフルに起因するギランバレー症候群と診断された例もある。

http://healthpress.jp/2014/12/post-1377.html

えっ、と思った私は早速タミフルの添付文書を見ました。副作用情報には女性でギラン・バレー症候群になったとの報告は書かれていません。そこでタミフルの販売を行っている製薬会社の学術部の方に速攻で電凸しました。その結果タミフルでギラン・バレー症候群になった女性の副作用情報は上がっていません❗との回答。じゃあ、この話って作り話?あるいは重篤な副作用を知りながら製薬会社に報告しなかったの???

今年のインフルエンザ感染の治療の中心はタミフルじゃないだろうけど

副作用が怖いとのイメージが染み付いてしまったタミフルですが、タミフルが効かないインフルエンザの登場で出番は少なくなると予想されます。2016-2017年に予測されるインフルエンザはA型の場合はH1N1とH3N2ですが、このH1N1はタミフルに対して耐性を獲得していると考えられています。

タミフルはオセルタミビルが正式名称ですが、H1N1に対して効果が薄いことを物語っています。

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https://www.niid.go.jp/niid/ja/influ-resist.html

これらのデータより今シーズン、万が一インフルエンザに感染した場合に、タミフルを選択する医師は少ないと考えられますので、マス・メディアを賑わした「副作用による異常行動」の報道は少なくなると予想されます。

ギラン・バレー症候群の副作用、電凸の結末

タミフルの製薬会社によれば、タミフルの服用後にギラン・バレー症候群になったと思われる報告が1例ありました。しかし、その症例は13歳の男児であり、サイトにある女性ではないです。タミフルでギラン・バレー症候群になったと薬剤師さんがおっしゃる詳細は、彼女の著書である「薬剤師は薬を飲まない」(宇多川久美子著 廣済堂出版)のP21-P23に書かれていますが、この男児の症例とその経過とは似ても似つかないものです。

このように伝聞系あるいは裏付けのない、全く根拠のない話を拡散している方がSNSでは目立ちますが、薬剤師というある意味医師よりも患者さんに近い立場の方がこれでは、悲しすぎます。

と、一瞬おもったのですが、この宇多川さんという薬剤師さんの著作やネット上の記事を拝見して安心しました。だって、この薬を飲まないと声高に主張している薬剤師さんは完璧に標準医療からかけ離れた、あっち方面のニセ医学にどっぷりなんですから。

ニセ医学にハマってしまっていると断言できる根拠

その理由をまとめますね。

ナチュラル・ハイジーンというニセ医学の典型例を基本とした思考回路

参考記事:トンデモ薬剤師さんの理論背景はやはりニセ医学でした❗

酵素栄養学というニセ医学をバックボーンにした健康法

参考記事:長生きの決め手は「酵素」にあった⁉は理解不可能 酵素栄養学は間違いなく疑似科学です。

酵素ドリンクの積極的な摂取の推奨

参考記事:酵素ダイエットで瘦せる!ワケが無いことがどうしても理解できない方へ❗

不食という全く食べ物を摂取していない人を紹介

参考記事:「不食」って知っていますか?全く食べ物を食べないで、水も飲まない人たち❗

もちろんワクチン否定論者

参考記事:インフルエンザ予防接種ワクチンは打たない派の方へ⋯なんで判ってもらえないんだろう?追記あり

こんな具合で完璧にあっち方面に突入しちゃっている薬剤師さんです。彼女は言います「野生の動物は怪我をしたり病気になったら、ただひたすら横になって体力の回復を待ちます。だから、人間は薬を飲む必要なんてないのです」的なことを。でも、怪我したり体調が悪いのにフラフラ歩いている動物って、野生の世界なら他の動物のいい食料になっちゃうから、ジッとしているんじゃないの???

追記

宇多川久美子薬剤師さんへ 中外製薬は宇多川の著作中のギラン・バレー症候群発症例に非常に強い関心を寄せています。副作用の調査のために、ぜひ著作に書かれた症例の詳細について、中外製薬に報告をお願い致します。それは医学に携わる人間の常識的な行動であり、ある意味では義務だと考えます。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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