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ホルモン大量使用の安い米国牛肉を食べると乳がんリスクが上昇、じゃあ、前立腺がんリスクは減少するはずじゃん。

米国牛肉がホルモン依存性がんを急増させていると騒いでいる人がいるけど

朝の日課である医学関連情報をiPad片手にトイレでチェックしていたら、こんな記事を見つけました。

安い米国牛肉と「ホルモン依存性がん」急増の因果関係は?

日刊ゲンダイ(2019/12/20 https://www.nikkangendai.com/articles/view/life/266497)

記事の内容は

残留ホルモン(エストロゲン)が高い米国産の牛肉が乳がんなどのホルモン依存性がんの発症リスクを高めている。日本人も以前と比較して牛肉の消費量が5倍になっているのと比例して、ホルモン依存性がんが5倍以上も増加している。故に日本は安さだけを求めて、ホルモンが大量投与されている米国牛肉をありがたがって輸入するべきではない。

と私は読み解きました。

しかし、これって変なんだよなあ。スマホの普及率が高まるにつれて乳がんが増えた、プリウスなどのハイブリッドカーが増加したことに比例して、乳がんの患者さんが増えた。だからスマホは乳がんのリスクを高めるし、プリウスは日本人の健康を考えたら禁止されるべきである、という擬似相関関係なんじゃないでしょうか?

ホルモン依存性がんの代表である前立腺がんは増えているけど

エストロゲンは確かに乳がん発症と強く関連してます。しかし、単純にエストロゲンが乳がんを発症させるわけでは無く、歳を取るにつれて増加するエストロゲン受容体が増え、そのエストロゲン受容体とエストロゲンが組み合わせることによって乳がんを発症させると医学的には考えるのがスタンダードです。

女性の場合、乳がんがホルモンと関連あると考えられているように、男性の場合は私の専門でもある泌尿器科領域で年々増加している前立腺がんが代表的です。

前立腺がんの治療には、エストロゲン(正確にはエチニルエストラジオール)が使われます。もしも、米国産の牛肉に人体に影響する量のエストロゲンが残留していたとしたら、前立腺がんの患者さんは当然減少するのではないでしょうか、日刊ゲンダイさま。

アステラス製薬「前立腺がん」より

前立腺がん治療に使用されるエストロゲンが大量に米国産の牛肉に含まれているのであれば、ホルモン依存性がんである前立腺がんの発症数はガンガン右肩下がりになるのはずです。

食事と乳がんの発症リスクの関係

欧米型の食事が乳がんのリスクと強い関連があることは間違いありません。

国立がんセンター予防研究グループ「食事パターンと乳がんリスクとの関連について」より

確かに食事パターン、特に欧米型の食事をすることはホルモン依存性の乳がんのリスクが高くなりやすいのは現時点で間違いありません。

しかし、欧米型の食事とは

肉類・加工肉、乳製品、酒類、果物ジュース、コーヒー、ソフトドリンク、マヨネーズ、魚介類などの摂取が多く見られますが、そのうち飲酒や肉類・加工肉の過剰摂取と乳がんとの関連はこれまでの研究から指摘されています。

と多岐多様であるので、米国産牛肉を食べることによって乳がん発症リスクが高まるとの因果関係は現時点では全く明らかになっていません。

だからこそ国立がんセンターの研究は欧米型食事と乳がん発症リスクについて

食事パターンとホルモン受容体別乳がんに関する研究は国内外からもまだ少なく、今後さらなる研究結果の蓄積が必要です。

と慎重なコメントを述べてます。

日刊ゲンダイの記事を書いた方はこのような反論があることを予想したかのように

ズバリの因果関係は証明されていないにしても、こうした数々の研究結果があるから、EUは肥育ホルモン使用の米国牛肉の輸入を禁止しているのだ。

とエクスキュースを入れていますけど・・・これも実はちょっと違うんだなあ、ファクトは。

EUが米国産牛肉をホルモン剤を使用しているから輸入禁止、日本も安易な輸入はリスキー?

日刊ゲンダイの米国産牛肉怖い怖い記事は

EUはホルモンを使用した米国産牛肉の輸入を禁止している → 米国に押し付けられて安易にホルモンを使用した米国産牛肉を輸入することはいかがなものか?

ってことですよね。でもさあ、EUと米国のホルモン使用牛肉問題はとっくのとうに解決していませんでしたっけ?

1998年、EUの米国産牛肉に対する輸入禁止措置は、科学的根拠に基づいておらず、WTO協定違反であるとされた。これを受けて、米国は、年間総額1億1680万米ドル相当の特定EU産品について報復関税を課した。

独立行政法人農畜産業振興機構(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_001765.html)。

「国際食品規格委員会(コーデックス)」は食品の安全性の基準を定めています。残留ホルモンに関しては人間が一生に渡って食べても問題が無いと科学的に判断されたものが、一日摂取許容量です。少なくとも米国産牛肉がホルモン残留が基準値を超えたものは見つかっていません(詳細は厚生労働省 輸入食品監視業務FAQ Q10をご覧ください)。

米国産牛にホルモンが使用されていたとしても、人体に及ぼすリスクがあるとの判断は科学的根拠基づいていないよ!!なんですね。

米国産ホルモン大量使用牛肉を食べないEUの乳がん発症リスクは減少しているのか?

EUの人は当然ホルモン漬けの牛肉を食べていないので、当然乳がん発症リスクは減少しているはずです。

https://ganjoho.jp/data/reg_stat/statistics/brochure/2008/fig22.pdfより

これを見る限り、EU諸国の乳がんになるひとの割合が全がん中で少ないとは思えないのですが・・・。

そもそも欧米各国では1990年代以降、乳がんによる死亡率は減少しています。

ただし欧米では、乳がんの患者数は依然として増加しているものの、死亡率は1990年代に入って減少しはじめているのです。

がん研有明病院「乳がん」(https://www.jfcr.or.jp/hospital/cancer/type/breast.htmlより)。

乳がんと診断される人が増加しているのは、がん検診の普及や診断技術の向上が一番考えられる理由です。そして、死亡率が減少しているのは治療技術が発展していることが大きく寄与していると考えるべきなのでないでしょうか?

私は米国産牛肉の輸入に関して、政治的な問題をとやかう言う立場にありません。ホルモン漬け、大量にホルモンを使用した米国産牛肉が健康面に及ぼす影響を必要以上に懸念することは無いよ、と皆さんに伝えたいのです。

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