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2019年最も検索された10の健康に関する質問、Googleは正しい健康・医療記事を上位表示したか?

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世界中で健康情報をネットで検索しているが多いことを受けて、Googleの検索エンジンは正しい優良な健康情報を検索結果として表示するために、日々アルゴリズムの改良をしています。米国で2019年にもっとも検索された10の質問を日本のGoogleで試してみました。改良されていると思われているGoogleの検索エンジンですが、残念ながら常に正しい医療情報を上位表示する結果にはなっていないようです。

Google検索の健康情報の結果は信頼できるものなのか?

面白い記事を見つけました。

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この記事によると

1. 血圧を下げる方法は?

2. 「ケト」とは?

3. しゃっくりを止める方法は?

4. インフルエンザは何日で治る?

5. しゃっくりはなぜ出る?

6. 腎臓結石はなぜできる?

7. HPVとは?

8. コレステロール値を下げる方法は?

9. 一日に必要な摂取カロリーは?

10. アルコールはいつまで体内に残る?

がもっとも米国でググられた健康に関する質問だったとのこと。

日本でこの質問をググった場合、果たして正しい答えが得られるのか?試してみました。

血圧を下げる方法は?の検索結果はひどいものでした

「血圧を下げる方法は?」をキャッシュがどうしても残ってしまうので、シークレットモードで検索してみたところ、かなりひどい結果が上位表示されました(シークレットモードでも、検索の癖を完璧に除外できないらしいけど)。

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検索結果の上位3つが読まれる記事で、それ以下が読まれる確率はかなり低いらしいことが一般的には言われていますよね。

上位表示された、1日1分で本当に血圧が下がる、驚きの「降圧体操」(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56042)はあの医療批判記事で有名な現代ビジネスの記事でした。

つまり、高血圧は自分の体からの大事なサイン。降圧剤を飲むことはそのサインを無理矢理消すという行為で、本当はとても怖いことなのです。

あのー、薬で血圧を下げることはそんなにいけないことなんでしょうか?サインが出まくって急性の脳疾患や心疾患が発症しちゃうんですけど。

NOに注目したことはそれなりに評価されます(EDの改善薬もNOに作用しますからね)。でも、この体操によって血管を拡張する物質であるNOが増加したとの、信頼できる精度の高い医学論文はあるのでしょうか?加藤雅俊さん、ぜひ勉強のために論文をご提示いただけると非常に助かります。

血圧を下げる方法は?の検索結果は医学的見地から信頼度はかなり低いものだと判断しても良いかと。

謎の言葉、「ケト」とは?

いきなり「ケトとは?」と質問されて、即答できる医療関係者は稀だと思います。これはどうも近年流行っている糖質制限ダイエットの進化系である「ケトジェニック・ダイエット」に関する質問のようです。

トップに表示されたのは、食べて痩せる? 噂のケトジェニックダイエットをはじめる前に知っておきたいこと。さすがlife hacker、「ケト」とか「ロカボ」とかの意味不明な略語を駆使してケトジェニックダイエットについて解説しています。記事の内容としては目くじらを立てるほどのものはありませんでした。

ケトン食でみるみるがん細胞が縮小するなんて記事が上位表示されなくて良かったです。現代ビジネスよりは遥かに読者が多いと思われる東洋経済の免疫栄養ケトン食事療法のヨイショ記事がん細胞を兵糧攻め!『究極糖質制限』の威力が上位に表示されていたら、Google検索は使わないでBing検索を今後は使おうと思っていたんだもん。

私はニセ医学と判断した東洋経済のヨイショ記事に関して、こんなブログを書いています。

がん免疫栄養ケトン食療法、なんだか怪しげな雰囲気が⋯。

がん免疫栄養ケトン食療法、なんだか怪しげな雰囲気が⋯。

ケトン食療法では糖質・炭水化物の摂取を可能な限り減らすことで、通常エネルギー源として使わる糖の代わりに脂肪が分解されケトン体が発生・増殖するという理論の食事療法です。糖が癌細胞の栄養源であるとするとケトン食療法によって癌細胞がなくなるという説を主張する人たちがいます。さて、これは本当なのでしょうか?

インフルエンザは何日で治る?の検索結果は妥当かな

米国で4番目に検索された「インフルエンザは何日で治る?」の日本のGoogle検索の結果はまずまず妥当です。ここで問題が発生します。インフルエンザは何日で治る、を検索した人の多くは家族がインフルエンザになった、自分がインフルエンザになったことによって、このワードで検索したのだと思われます。

しかし、学校に通っている場合、インフルエンザの治癒証明書の提出を求められた人が検索している可能性もあります。このインフルエンザの治癒証明書が大問題なのです。

そもその学校保健法では治癒証明書の発行は義務つけられていないのです。厚生労働省も

学校において予防すべき感染症の解説〈平成30(2018)年3月発行〉」によると、「診断は、診察に当たった医師が身体症状及び検査結果等を総合して、医学的知見に基づいて行うものであり、学校から特定の検査等の実施を全てに一律に求める必要はない。治癒の判断(治癒証明書)も同様である。

との見解です(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html)。

さらに仕事をしている人もインフルエンザに罹患すると職場から診断書をもらってこい、治ったのなら治癒証明書をもらってこい、と言われることがあるようですが、これも厚生労働省は

インフルエンザの陰性を証明することが一般的に困難であることや、患者の治療にあたる医療機関に過剰な負担をかける可能性があることから、職場が従業員に対して、治癒証明書や陰性証明書の提出を求めることは望ましくありません。

との見解です。

あくまで私の経験による印象ですが、インフルエンザになった診断書をもらってこい、とか、治癒証明書をもらってこい、と言う会社に限って予防接種を推奨していなかったするんだよなあ⋯。

しゃっくりを止める方法は?の検索結果に驚いた❗

いやー、Googleの検索エンジンって本当に優秀ですねえ。特に日本のGoogleの検索エンジンはここ数年健康関連情報の表示に関して、独自のアルゴリズムを採用したそうで、インチキ健康医療情報が上位に表示されにくくなっています。

私のブログが上位表示されているんだもん、Google先生ありがとう。(→https://www.gohongi-clinic.com/k_blog/356/)

少なくとも日本における「しゃっくりを止める方法は?」に関するGoogleの検索結果は高評価です。私がブログに書いたしゃっくりを止める方法より、上位表示された記事のしゃっくりを止める方法とどっちが効果あるか、ダブルブラインドで比較試験してもいいですぜ。

6位以下も調査する予定です。でも、今日中に校正しないといけない真面目な医師向け専門誌の原稿の催促が来ているっぽいので本日はこの辺りでやめておきます。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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