【ワクチン不足】消えた4000万回分はどこにいった?そもそもの管理システムが原因かも。

政府は供給しているのに、現場では足りない足りないとの叫びが聞こえてくる予防接種。なぜこのようなことが毎度毎度起きてくるのか、今回は大慌てで作り上げたシステムに問題があるんじゃないのか、と接種現場で働く一町医者として考察してみます。

厚生労働大臣「不足は在庫でミスマッチ」

産経新聞2021年7月8日朝刊

V-SYSとVRS、これ連動していないじゃん❗

今回大慌てで予防接種をこなすためのシステムとして、接種円滑化システムV-SYSがあります。これの大きな目的は各自治体にどれだけの本数を政府が供給したかを把握することです。

私が医業を営んでいる目黒区の場合、国 → 都 → 区 → 個別接種クリニック の順で予防接種のバイアルは運ばれ管理されます。末端である私たちのような医療機関に予防接種のバイアルが届いた時点でV-SYSに何本手元に届いたよ、とPC上で入力します。

一方のVRSの主な目的はどこで誰に接種したかの把握です。たぶん、将来的になんちゃらパスポートを発行するために必要となるシステムなんだろうな、と私は解釈しています。

私は自分のクリニックで接種を開始するまでは当然V-SYSとVRSは連動していると思い込んでいたのですけど、

V-SYSとVRSは全く連動していないし、互換性が無し❗

という事実に驚愕してしまいました。それによって、当然国側は一億回分確保したうちの9000万回分を自治体に供給したのに、合計接種回数は5000万回分であり残りの4000万回分が各自治体が在庫として保管しているのだろう、と産経新聞の報道では解釈しているようです。

一回目と二回目を同じ施設で接種していたらどうなった?

私たちのような個別接種を行っている医療機関には、基本的に一回目と二回目は同じ場所で接種するような指導がありました。個人的には今はとにかく打って打って打ちまくることが戦略なんだから、どこで接種してもいいじゃん、と思い込んでいたのです。

今回の予防接種に関しては日本では二社のものを使用している為に、一回目はA社2回目はB社という組み合わせではマズイから同じ場所を摂取するべきなんだろうな、との考え方もできます。

個別接種に関してはA社単独の採用なんですから、別にどこで接種しようと誰にどこで接種したかが把握できればいいと思いませんか、普通は。

でもこんな問題も発生するのです。

接種して速やかに登録しないと何回でも予約できちゃう

一回目を集団接種会場で接種したとします。そもそも国を挙げての集団接種は初めての経験であり接種会場は大混乱であることが予想されます。その接種会場で接種を受けた個々を速やかにVRSに登録しないと、その方は別の会場で二回目の予約が容易にできてしまうのです。

抗体つけるため4回接種した80歳代男性

https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000222016.html

抗体つけるため4回接種しちゃう80歳代のツワモノが出現しちゃうます。

一回目の接種会場で自動的になかば強制的に2回目の接種日程を決めている自治体もありますが、そうじゃない場合は二回目接種を確保するために、心配症な方は複数の接種会場に予約を入れてしまいます。

実際に集団接種会場で1回目を接種して、2回目を予約しようと思ったら列ができていたため帰宅してLINEで他の場所での接種を予約した方もいました。1回目の会場は当然のこととして2回目も接種するだろう、後で予約が入るだろうと在庫確保をしているんじゃないかな?

一回目を接種した医療機関は当然二回目も在庫確保します

当院で一回目を接種した方がいたら、当然今回の予防接種は二回がマストなので区から供給されたバイアルを在庫として抱え込みます。

供給されたバイアルは6の倍数分接種した後、三週間後の接種分も確保しなければなりません。ところが当院で一回目を接種した方に、「二回目に関しては確保できるかわかりません」と伝えたらその方は三週間後に接種できる接種会場を探しまくるんじゃないでしょうか?

予防接種予定表

当院ではこんな感じで供給されるバイアルの本数と接種予定を無駄がでないよう確実に2回接種できるようにほそぼそと行っています。

例えば上図の7月19日に供給される合計9バイアル、つまり9×6=54回分を第一回目の54人に使用してしまうと、第二回目の54人分が次回当院に供給される保証が無いのです・・・となると、27人分と考えて接種を行うしかありません。

一回目を接種した方は二回目も同じ会場で接種することをルール化すればいいのに・・・でもこれではとにかく一刻も早く接種を希望している国民に接種をするというそもそもの戦略に反することになってしまいます。

最初はほかの目黒区のクリニックも多数個別接種を行うと思い、不足するといけないと思い弱気のバイアル数確保。その後、目黒区予防接種課の方にお願いして本数を増やしました。つい先日は、「大丈夫ですか?さらに追加をお願いして」とお尋ねしたら、「大丈夫です、不足はしていません」との回答。前掲の画像の表くらいの数が当院がフル稼働しての限界である点をご了承ください。

V-SYSとVRS、そしてマイナンバーを統一すればいいじゃん

私はITのシステムとかに関してはあくまでユーザーであり、ど素人です。今回の大混乱を鑑みると、以前から健康保険とマイナンバーの統一、そして検査結果やアレルギーの有無や服薬歴も読み込めるようにしていただけると医療費の無駄も無くなるし、患者さんの既往歴などを一気に医師側も把握できるんじゃないの、とお伝えしています。

先日、一回目を区の集団接種会場で打ったけどその時点で二回目は予約できなかったので、ご自分のスマホで複数の場所での二回目を確保した方がいました。そこで、「これってマイナンバーで管理すればいいのにね」と伝えたら、「あっ、私マイナンバーもっていないや」だってさ。

おまけ

1バイアルから確実に7回分取れる問題、どうなっちゃったんでしょうか?現場の判断に任せると言われても接種済みシールは1バイアルにつき6枚しか配られていないんだよなあ・・・コピーじゃマズイだろうし。

執筆者情報

桑満おさむ医師

このブログ記事の筆者:桑満おさむ
Osamu Kuwamitsu, M.D.

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

五本木クリニックのブログを購読する

五本木クリニック院長のtwitterアカウントをフォローfeedlyで五本木クリニックのブログを購読するインスタで桑満おさむ医師のアカウントをフォローする