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プレガバリンの副作用「肥満」の原因が解明された⁉でも「体重減少」の副作用については原因不明

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リリカ(プレガバリン)という痛み止めがあります。私は個人的には痛み止めの決定打的に考えているのですが、問題点は副作用です。

実際に自分でも痛み止めとして服用したところ、めまいやふらつきが生じました。気になってプレバガリンの詳細な副作用とチェックしてみると、「肥満」という作用機序が理解しにくいものさえありました。

プレバガリンの副作用で肥満になってしまう理由は?

リリカ(LYRICA)は商品名なので一般名であるプレバガリン(PREGABALIN)として話を進めます。プレバガリンの効果・効能は神経障害性疼痛や線維筋痛症に対する痛み止めである一方で、副作用として眠気やふらつきが現れることが知られています。

さらに添付文書を読みすすめると謎の注意書きが・・・

重要な基本的注意として体重計測を実施すること

との文言が。

プレバガリンの副作用「体重増加」

http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se11/se1190017.html

なんで痛み止めの副作用のために体重計測をするんだろう、と思いつつ一般の方が簡単に薬のことを知ることができる「おくすり110番」というサイトを見てみると、「注意」としてそこにも「体重測定を定期的に行います」と書かれています。

私の知識ではプレバガリンという痛み止めの作用機序としてどうしても理解できない副作用である「肥満」がなぜ出現するのかをちょいと調べてみました。

少し前に「リリカ(プレガバリン)の予想外の副作用「体重増加」の頻度と原因を検証してみました‼」というブログ記事を書いたあとで論文を収集して今回のブログ記事を仕上げました。

プレバガリンの服用で体重増加が引き起こるのは事実

まずは「Characterizing and understanding body weight patterns in patients treated with pregabalin」(PMID: 22494020)という論文を読み解いていきますね。

この論文はプレバガリンを服用した人の体重を定期的に測定して体重がどのように変化するかを調べたものです。106の研究データの対象となった4万3525人の最長で一年に渡っての体重の増減を解析しているものです。実際に研究対象としてチョイスされた論文は41件で対象人数は3187人です。

  • 2607人の体重の変化は±7%であった
  • 463人はプレバガリンを服用して57-356日目の期間に体重増加が7%以上であった
  • 82人はプレバガリンを服用して2-56日目に7%以上の体重増加が認められた

との結果になっていました。7%の体重の増減とすると私の体重を65kgとした場合、69.55kgから60.45kgの間の増減となるのでたまーに体重計に乗っかる人だとしたらその結果に驚愕するのではないでしょうか?となると

プレバガリンを服用して7%以上の体重増加はかなり重篤な副作用と考えても良さそうです

私はプレバガリンを2週間ほど服用していましたが、さすがに69.55kgを超えることもありませんし、60.45kgまで減量することもありませんでした。

プレバガリンを服用して体重増加、つまり肥満が副作用として現れる確率は6人に1人であることは間違い無さそうです・・・でも作用機序はこの論文では不明でした。

プレバガリンは脳に作用して食欲を増進させる可能性

プレバガリンの副作用としての肥満のメカニズムに関して、前掲の論文ではまったく不明でした。今度は日本人研究者が中心となった「Pregabalin increases food intake through dopaminergic systems in the hypothalamus」(PMID: 30244110)という論文を読み解いてみます。

プレバガリンはドーパミンに影響を及ぼし食欲を増進させる

といった感じのタイトルの論文です。

プレバガリンを服用することによって肥満が副作用として現れることは否定できない事実としてこの論文は話を進めています(ありゃ、私は自分が服用する時にはじめて肥満という副作用をしったぞ)。

研究対象は人間では無くて動物です、たぶんマウスかラットだと考えられるんだけど、論文の文字が小さくて見落としているかも。だってプレバガリンの副作用で視力低下があるもんね。

論文の結論として

プレバガリンは食物摂取量を増やした

ってことがわかったのです。その作用機序としてプレバガリンはlateral hypothalamus (LH)、日本語だと視床下部の外側野に影響してドーパミンの増加を抑制した、とこの論文は伝えています。

プレバガリンを注射された動物(マウスかラットだと思うんだけど、見落としていることはご理解くださいね)は食欲が旺盛になる反面で血糖値への影響は観察されていません。食欲がでちゃうのに血糖値が上がらないために、満腹感が得られないので肥満になっちゃう可能性が考えられますね。

論文の最後の方に使った動物はラットであることが記載されていた、やっぱりプレバガリンの副作用による視力低下の影響なのか、あるいは「認知障害」か「注意力障害」が出ちゃったのかもね(笑)。

動物実験では明確な肥満もヒトでは不明

ここまででわかったことは

  • プレバガリンを服用すると肥満になる可能性がある
  • プレバガリンで食欲がでてしまうのは視床下部への影響が原因かもしれない

ってことですね。

でもさあ、動物実験の結果がヒトにそのまま適応されるとは限らないよね、だってラットにプレバガリンを注射しているしラットは自分で体重計に乗って、「ちょっと体重が増えちゃったから注意しようっと」とか思わないしね。

さらにプレバガリンの副作用の謎は深まるのです。なぜなら添付文書の副作用の項目に「体重減少」も記載されているんだから。

プレバガリンの副作用「体重減少」

副作用として体重増加する場合もあれば体重が減少してしまう場合もあるプレバガリン、別名リリカ、痛み止めの効果を十分に感じて少しずつ服用量を減らして安寧な生活を送ることができて感謝しています。

個人的にプレバガリンで体重増加を来してしまう理由として、痛みから開放されたからごきげんになって食欲が出ておやつとかも食べちゃうようになるからじゃないのかなあ?

「ありがとう いい薬です」と太田胃散のCMのように思いつつ、かなり気になる体重増加の謎が深まるプレバガリンでした。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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