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注意が必要!物忘れだけでは無い、暴言・暴力も認知症の一つの症状です。

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地元密着型のクリニックを24年間も続けていると、当時中年だった患者さんもご高齢になってくるのは当然のこと。彼ら彼女らが高齢者になって一番心配しているのが認知症。ちょっとした物忘れを、「先生〜、最近物忘れが酷くて。ボケ出したかしら」なんてことを仰ります。

ボケとの言葉はあまり適切な用語とは考えられないとは思いますが、文中に「ボケ」との言葉が出てきたら患者さんの生の声だと判断してくださいね。

認知症に伴う症状もろもろ、町医者として経験した症例

認知症といっても種類があります。代表的なものは以下の4つです。

  1. アルツハイマー型認知症
  2. 脳血管性認知症
  3. レビー小体型認知症
  4. 前頭側頭型認知症(ピック病)

日本ではアルツハイマー型認知症が多く全体の6割以上と考えられています。

ちょっとした物忘れが果たして認知症の症状なのか?私が経験した患者さんなどを例として挙げながら考えてみます。

ちょっとした物忘れ、即認知症では無い

小学生が忘れ物をする、中学生が英単語を思い出せない、高校生が化学式を忘れちゃった、これを普通は認知症とは呼ばないですよね。物忘れと認知症の症状の判別は難しいのですが、このように考えるとイメージが伝わってくるのでは無いでしょうか?

  • A:朝に食べたメニューを忘れちゃったけど、朝食を摂ったことは忘れていない。
  • B : 朝食を摂ったのか、それを忘れちゃった。

Aは日常生活でよくある物忘れ、Bは認知症が疑われます。

  • A : 友達の電話番号が思い出せない。
  • B : 自宅の電話番号が思い出せない。

これはちょっと難問です。私が若い時はちょっと気になる異性の電話番号を聞き出しそれを暗記する技がモテるかモテないか大きな差につながったとの考え方もありました。当時は固定電話が主である、東京であっても03以下は7桁。その後8桁になってもマメ男は小耳に挟んだ電話番号をしっかり記憶していました。その後、携帯が主流となり古い古い形式の携帯電話も030-13-●●●●●という感じでなんとか憶えることができました。

携帯の普及により090-313-●●●●●となると、ちょっと聞いただけでは憶えることはかなり難易度が高くなりました。でも、携帯自体に電話番号を憶えさせる機能が付随しているので日常生活で困ることはありません。

高齢者に生年月日をお尋ねすることで認知症を見分ける場合があります。しかし、現在では家庭に固定電話が無い場合もあって自宅の電話番号を憶えているかで認知症の判断をすることは難易度が高くなっているかもしれませんね。

Aは新しいことを憶えられるのかを見分けるものであり、Bは古いことを記憶しているかを見分けるための質問です。ちなみに認知症の疑い患者さんが自宅の電話番号を思い出せ無い例は私はあまり経験していません。それこそ、私自身が自宅の電話番号を固定電話でかけようとすると間違い電話になってしまうことがあります笑。

人格が変わってしまう認知症、突然暴言をわめきちらす❗

日本人が認知症という疾患があることを広く知らしめた小説で有吉佐和子氏の「恍惚の人」があります。「花いちもんめ」という映画のキャッチフレーズは「おじいちゃんが壊れていく」でした。

ここ数年、「キレる老人」「キレる高齢者」が週刊誌ネタ(読者自体がすでに高齢者だったりする)になっています。

私が患者さんに説明する例としては、「コンビニでバイトの外国人留学生に怒鳴り散らしている人」。中年でこのような人の多くは認知症ではなく、私は男性更年期障害の一症状ではないかと推測しています。

認知症の一つの症状として「暴言・暴力」があります。

暴言・暴力を引き起こす仕組みとして、

  • 脳の機能低下による感情の抑えが効かなくなる
  • 前頭側頭型認知症は前頭葉が萎縮するために、怒りっぽくなる

認知症を患った高齢者の暴言や暴力には介護施設などでは大問題になっています。

そういえば、2020年開催が延期となり2021年開催が計画されているオリンピックに関して、こんな発言がありましたね。

「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」

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https://mainichi.jp/articles/20210204/k00/00m/050/263000c

発言の主である元首相は以前から、つまりお若い時から失言癖があるようなんで、これは多分お年につきまとう何らかのご病気ではないとは思いますけどね。

私はこのようなものです、絶対秘密にしてくださいね

開業して間もなく85歳以上の前立腺肥大症で通院していた方が突然こんなことを言い出しました。

「私は実はこのようなものです」と懐からボッロボロの手帳を取り出し、「先生、絶対に言わないでくださいね。命に関わりますから」と仰います。命に関わると言われたら、聞き流すことはできません。私は当然、「医師は守秘義務がありますから、なんでもおっしゃって下さい」と伝えました。

「実は私はCIAの秘密調査員なんです❗」

メモの内容を見せてくれたのですが、鉛筆で書き殴ったようなグチャグチャの文字が(ひょっとして暗号だったのかもしれませんけど)。後日、ご家族がいらっしゃって認知症に伴う誇大妄想との説明を受けました。でも、ひょっとして家族にもバレないように認知症を装っていたのかもしれません。

おまけ:梅とボケの違い

私は花や木の名前をしらないことがちょっとコンプレックスです。梅と桜の違いも明確ではありません。以前、Facebookに「梅の花」と画像を上げた時に、「それはボケ」と指摘された思い出があります(憶えているので、今のところ自分自身は認知症の症状は無さそう)。

ボケは漢字では木瓜と書き、学名は「Chaenomeles」で英語だと「Japanese quince」。ボケはちょうど梅が咲く季節と同じくらいなので、ボケと梅の見分け方は難易度が高いとも考えられます。

ボケと梅の見分け方がわから無い人も多いようで、ネットでもかなり多くのサイトでボケと梅の見分け方が解説されています。私がなるほどと感じた見分け方として「ボケは枝に棘がある」との解説を見つけました。

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「梅(ウメ)」と「木瓜(ボケ)」の違い。見分け方。https://engaku.net/engaku-blog/tree/chaenomeles-speciosa/

ところでこれってボケですか?梅ですか?

このツイートをされた参議院議員の方と私の間でこんなことがあったので、ひょっとしてボケかなぁ、なんて思ったので。

学会の症例報告で個人情報が晒されてしまった❗ネットで晒された場合はどうなるか?

学会の症例報告で個人情報が晒されてしまった❗ネットで晒された場合はどうなるか?

政治家の発言・行動は何かと話題になります。漢字の読み間違い・一般人とかけ離れた感覚・常識を欠いていると思われることまで幅広く、一時的に世間を賑わすだけでなく、辞職せざるを得ないような大事に発展することも。政治家が一般人の個人情報を晒すだけでも問題ですが、誤ったレッテル貼りに繋がりかねないような行動は大問題です。

ご多忙で対応不可なんでしょうね。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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