イベルメクチンを処方しまくるお医者さんが衆議院選挙に立候補❗

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言論の自由は、私にとって最低限のプリンシパルです。ですから国民の代表としてどのような意見の持ち主であっても国政選挙に立候補できることは強く支持します。

また、職業選択の自由も保障されるべき最低限のルールではあるのですが・・・医師免許という国家資格を持ちながらトンデモさんになってしまう人が後をたちません。

国政選挙の立候補者に医療系トンデモさんが混入

私が営んでいる医業は科学分野のひとつであり、1+1=2という誰もが疑う余地のない思考で判断されるべき領域と考えている方もいるでしょうけど、人間を対象としている為に様々な因子が作用して数式のような明確な結果にはならないのです・・・そこにトンデモさんが入り込む余地がガバガバに存在しているのです。

PPEの間違った着用をしている田淵正文医師

https://twitter.com/tabuchimasafumi/status/1438661969045647361

この画像のお医者さんについて今回は検証しますが、この遡上のお医者さんは正しく防護服(PPE)を着用していませんね、手袋は防護服の袖口の外側じゃないとダメなんだけど・・・感染症はあまり慣れていない様子が伺われます。

効果が証明されていないイベルメクチンを推すお医者さん兼立候補者

イベルメクチンという薬が話題になっています。もともとは寄生虫が原因となって失明などを引き起こす感染症の特効薬として日本人研究者によって開発された薬なのに、なぜか新型コロナウイルス感染に効果があると信じ切っている人々が一定数存在してます。

必要以上にイベルメクチンを推している医師が2021年の衆議院選挙に立候補しております、ほらねっ。

イベルメクチン推しの田淵正文医師

https://twitter.com/tabuchimasafumi/status/1449403806727356417

イベルメクチンが新型コロナ感染症に対して特効的な効果があればそれはそれで素晴らしいことなのですが、残念ながら真っ当な研究結果としてはイベルメクチンの効果を支持するものは現時点ではナッシング。

ネギを首に巻くと風邪に効くと隣の家のおばちゃんが教えてくれて試したら本当に風邪が治っった!!ってことがあったとします。でもその風邪は人参を首に巻いても治ったかもしれませんし、なーんも治療をしなくても治ったかもしれません。

ある薬が本当の効果があるのか、これを科学的に検証するための方法として1990年以降は二重盲検試験(ダブル・ブラインド・テスト、double blind test)という方法が医療の現場では採用されています。

ダブル・ブラインド・テストを簡単に説明すると薬を投与されるグループを2つに分け、一方には本当の薬を、もう一方には偽薬を服用してもらいます。これだけでは処方する側の医師にバイアスがかかってしまうリスクが生じます。

偽薬を処方するときはオドオドしてしまい、本当の薬を処方するときは自信をもって処方していたら処方された患者さんも、「これは偽薬かも」「やったー、本当の薬を処方された」と判断してしまいます。

このようなバイアスを排除するために処方する医師もどちらが本当の薬か偽薬かをわからないようにして行われるのがダブル・ブラインド・テストであり、これで得られた結果の信頼度は高いものと考えられます。

東京都医師会長もヘンテコなことを言い出しているけど、私が話題としているお医者さんは医師会には所属していないから、なにも殿ご乱心的発言を遵守することもないと思うんだよね。

都医師会の尾崎会長のイベルメクチン推し発言、会長は論文をお読みでしょうか?

都医師会の尾崎会長のイベルメクチン推し発言、会長は論文をお読みでしょうか?

反ワクチンな人たちの心の拠り所といいますか、完全に洗脳状態にあるイベルメクチン信仰ともいうべきおかしな流れがネット上にあります。事故で亡くなった人からウイルスの陽性反応が出たらウイルスのせいで死んだ、ワクチン打ってた人ならワクチンで死んだ、と因果関係無視で決めつけてしまうのと同じことをイベルメクチンに求めています。

では、イベルメクチン推しの衆議院選挙に立候補したお医者さんの主張を見てみましょう。

イベルメクチンを含む3種配合の薬ってなんだろう?

このお医者さん兼立候補者はこのように述べています。

一昨日久しぶりに陽性者55男、13日から怠さと熱発と喉痛。15日午後来院。イベルメクチンを含む3種の配合剤飲んで16日朝に解熱して倦怠感も消失。凄くききましたと患者の弁。

https://twitter.com/tabuchimasafumi/status/1449403806727356417

3種配合の内訳は

  • イベルメクチン・・・寄生虫の薬
  • カモスタット・・・膵炎や逆流性食道炎の薬
  • クラリスロマイシン・・・抗菌剤

であることが彼のインスタから知ることができました(参考  https://www.instagram.com/p/CUDoIwrhody/?utm_medium=twitter

新型コロナの治療には疎い私としては支離滅裂に感じられてしまう不思議な処方をこのお医者さん兼衆議院選挙立候補者は新型コロナが疑われる患者さんに処方するのがルーチンになっているようです。

独自開発した処方で99勝とトンデモない発言をする田淵医師

https://twitter.com/tabuchimasafumi/status/1438655488724373506

独自に開発したイベルメクチンを中心とした3種の配合剤は99勝1不戦敗。重症化なし、よく効きます。

100人の新型コロナ感染者に対してイベルメクチンを中心とした独自に開発した3種配合の処方をしたところ99人が重症化することなく重症化すること無く軽快したと普通は考えてしまいますよね。

でもねえ、これはまったく科学的検証による効果の証明にななっていないんだよ。

そもそも事前にイベルメクチンのあり得ない効果を喧伝している医師のところでイベルメクチンを処方される時点でお互いにバイアスがかかりプラセボ効果(英語だと「Placebo」なので、プラシーボと呼ぶ人もいます)が強く影響するために統計学的に効果があったことを証明することはできないのです。

ニセ医学がはびこる理由⋯プラシーボ効果ってこんなに凄いからねえ。

ニセ医学がはびこる理由⋯プラシーボ効果ってこんなに凄いからねえ。

病は気から、というように心理状態・精神状態と肉体はたしかに密接な関係にはありますが、治療やクスリはできる限りプラセボ効果を排除した上で結果をださないといけないのです。実際には効果がないものでも信じることで何かしらの改善が得られてしまうプラセボ効果、これを排除するのが医学、都合よく利用するのがニセ医学なのです。

めちゃバイアスかかりまくりプラセボの影響を受けたと思われる症例がこのお医者さん兼衆議院選挙立候補者のツイートから知ることができます。

イベルメクチンを含む3種の配合剤飲んで16日朝に解熱して倦怠感も消失。凄くききましたと患者の弁。

https://twitter.com/tabuchimasafumi/status/1449403806727356417

「凄く効きました」はひとりの患者さんの感想でありn=1という統計学的検証に耐えることはできないレベルのお話です。

そもそも処方の必要のない、積極的な治療を必要としない患者さんが混じっている可能性も否定できません。

薬の効果判定には第三者による検証が可能であることがマスト!!

医師が自分の経験だけを頼りにして、「イベルメクチンは効果がある!!」といくら騒いでもエビデンスレベルとしてはかなり低いものになってしまいます。もちろん隣のおばちゃんのアドバイスよりはエビデンスレベルは高いけどね。

私の経験では抗原検査・PCR検査によって陽性と判定された患者さんのうちで抗体カクテル療法が必要だった人はたったの1例。後の方は幸いにも自宅療養で解熱剤の投与だけで回復なんだけどねえ・・・。

積極的な処方無しで99勝ってツイートしちゃおっかなあ、周囲のお医者さんアカウントにボッコボコにされるのは火を見るより明らか。イベルメクチン推しのお医者さん、私のお友達はだーれもフォローしていなくて良かったね。

お医者さん兼衆議院選挙立候補者、私の選挙区じゃん!!(棒)

こんなポスターを近所で見かけました。

たぶち正文選挙ポスター

このお医者さん、そういえば当院がある目黒区で開業しているので当然選挙区も私が投票する選挙区。どうしても投票したいなあ、当選してほしいなあ、という候補がいないとなると、同業者のお医者さんに投票しちゃおうか、と一瞬思ったのです。危ないところでした(棒)。

このお名前、なんか記憶に残っているんだよなあ、なんだったっけ?と色々検索したところ

FACTAスクープ! 維新の衆院選「東京五区公認」の田淵正文は「とんでもない医者」

https://facta.co.jp/article/202103037.html

このFACTAという有料媒体の記事が正しいのか否かに関しては私が判断することはできません

そこでさらに右肩痛のため服用している鎮痛剤リリカの影響でぼんやりした私のポンコツ脳細胞が「この話ってかなり以前も出回っていたよなあ」との伝えたのです、まあポンコツ兼リリカの影響を受けた脳のメモリーですのでこれまた真偽は不明だけどね。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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