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沢庵は塩分たっぷりだけど高血圧を改善する効果があるらしい。

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白いご飯に漬物、日本人が日本人でよかったと実感する至高の組み合わせ。

今回は、そんな漬物の中でももっとも代表的な「たくあん」のお話です。

漬物は発酵食品です。発酵食品は健康によいイメージをお持ちだと思いますが、漬物といえば気になるのが塩分。この記事で取り上げる「たくあん」には血圧を下げる効果があると言われています。高血圧の人って塩分を控えるはずでは?はい、そうなのです。高血圧を改善するといわれているのに塩分が多い「たくあん」、これは気になりますよね?

漬物大好きな人もそうでない人も、いずれ高血圧と向き合う日がくるはず。是非ごらんくださいませ。

漬物は塩分たっぷりで高血圧に悪そうだけど、「たくあん」は血圧を下げる?

歳を取ると、漬物と白いご飯、そしてお味噌汁の美味さを実感することが多くなります。白米は玄米と比較して健康に対してはいまいちであることが、多くのエビデンスによって支持されています。お味噌汁は発酵食品であるから身体に良さそうなものの、塩分が高血圧に対してのリスクとなることが指摘されています。

白米摂取増量効果があると考えられる漬物は発酵食品であったとしても、塩分たっぷりであり、同時に白米をバクバク食べてしまう点火剤(添加剤でもいいかw)の役割を果たしてしまうのが欠点と考えていました。

漬物類の中でも独特の香りと毒々しい色合いから、食べず嫌いの方も多いんじゃないかと予想されるのが「たくあん」。このたくあんは「タクアン」なのか「沢庵」なのか正式な記載の仕方は不明ながら、「たくあんを食べると血圧が下がる」あるいは「高血圧の人ほどたくあんを食べましょう」との説があります。

自宅で食事をする機会が増えている今日この頃です。新型コロナ感染症太りとの言葉さえ、メディアでは飛び交っています。

たくあんが塩分たっぷりなのに血圧を下げる効果がある、に関して検証をしてみますね。

たくあん漬けは血圧を下げる効果がある、との論文の内容

有り余る時間をつぶすために、ネット上をふらふらしていたらこんな論文を見つけてしまいました。

塩漬け大根たくあん漬は、高血圧自然発症ラットに降圧作用を示す

「The salted radish takuan-zuke shows antihypertension effects in spontaneously hypertensive rats.」[1](PMID: 28960015)、これはラットを使った実験です。

たくあんが血圧を下げる効果を示す原因物質はこの論文を読む限りではγアミノ酪酸(正式名はγ-aminobutyrate、略して「GABA」、これって機能性表示食品でよく見かけますよね)らしいです。

ラットにたくあんを食べてもらう実験方法に非常に興味があったのですが、まあ、とにかくラットにたくあんを食べてもらったと。

その結果、たくあんを食べたラットは血圧が下がったことが確認されたとの結論に至っています。

この論文でかなり気になるワードが出てきます。

「Shio-oshi takuan-zuke」と hoshi takuan-zuke 」です。たくあんなんて製造方法はどれでも同じだろうと考えていた私は有り余る時間を有効に使用するため、「塩押けたくあん」と「干したくあん漬け」の違い、さらには「たくあん」と「たくあん漬け」の違いまで調べる羽目になっちまいました。

血圧を下げる効果があるのは「たくあん」か「たくあん漬け」か?日干しタクアン漬けか?塩押しタクアン漬けか?

前掲論文ではたくあん漬けに含まれるGABA以外の物質が、さらに血圧を下げる効果があるのではないか、と予測しています。

血圧だけじゃなくて腎機能改善効果もあると考えられる物質はポリフェノール、アルギニン、およびα-リノレン酸なんじゃないかなあ、と論文には記載されていますけど、現時点でほかの研究者によって追試は行われていない模様です。

そもそも、たくあん、たくあんと気軽に呼んでいるけど、たくあんにも種類があるのです。たくあんは「たくあん」と「たくあん漬け」の二種類に分類されることと、恥ずかしながら今回初めて知りました。

農林水産省によれば

「たくあん漬け」は、生干ししたダイコンを、米ぬか・塩を混ぜた漬け床に漬け込んで作る、代表的な漬け物で単に「たくあん」とよばれます。たくあん漬けの呼び名は関東から発生したもので、京都では「辛漬(からづけ)」、九州では「百本漬(ひゃっぽんづけ)」と称するようです。

農林水産省「消費者の部屋通信」[2]

お役所的な解釈だと「たくあん漬け」が正式名称で「たくあん」は略称、そして地方によっては別称があるとのことですね。

Takuan-Wikipedia

ちなみにwiki英語版だと「Takuan」が本名で「takuan-zuke」は別称的な扱いですね。[3]

しかし、たくあんは製法によって「干したくあん」と「塩押したくあん」があることにたどり着いてしまいました(面倒くさいけどね)。

日干したくあんVS塩押したくあん、高血圧に効果があるのはどっち?

たくあんには日干したくあんと塩押したくあんがあることも、恥ずかしながら今回初めて知りました。

高血圧症に対する効果としては前掲論文からはたくあんの量で比較してみると、日干したくあんの方が塩押したくあんの方が少ない量で効果を発揮するようです。

診療時に患者さんが使う表現だと「日干したくあんの方が塩押したくあんより強い」ってことです。

日干したくあんと塩押したくあん、この違いを理解するのにかなり時間を要してしまいました(時間つぶしなんだから、いいんだけどね)。

全国有機農法連絡会のサイトによれば、そもそもたくあんを作るには「干し大根」を用意する必要があります[4]。干し大根を作るときに天日干しすれば「干したくあん」になることは字面から予想できます。

そうなると「塩押したくあん」とは何ぞや、との流れに自然となってしまいます。

安易な手段ですがCOOKPADによれば、だいこんを干した後に、かなりの量の塩と糠を添加することによって「塩押したくあん」になるのですね。

昔ながらの素朴な味・手作り沢庵のレシピ

COOKPAD「昔ながらの素朴な味☆ 手作り沢庵」[5]

血圧を下げる効果は前掲論文によると

日干したくあん >>> 塩押したくあん

でしたよね。日干したくあんの方が塩押したくあんより塩分が少ないことが大いに予想されます。

これってひょっとして、たくあんじゃなくて、普通の日干しだいこんの方が効果があるんじゃないのと考えるのは自然のこと。

となると、スーパーで簡単に購入でき、独特の色合いや香りがしない、切り干しだいこんの方がさらに血圧を下げる効果があるんじゃないの、との思考および妄想をしながら、不本意である外出自粛を厳守した私のGWでした。

引用文献・参考文献

  1. Kumakura K, Kato R, Kobayashi T, Kimura N, Takahashi H, Takahashi A, Matsuoka H. The salted radish takuan-zuke shows antihypertension effects in spontaneously hypertensive rats. Food Funct. 2017 Oct 18;8(10):3491-3500. doi: 10.1039/c7fo00890b. PMID: 28960015.
  2. 消費・安全局消費者情報官「消費者の部屋」(平成24年6月) 農林水産省 PDF
  3. 英語版ウィキペディアのTakuanのページ Wikipedia
  4. たくあんの作り方 有機野菜の宅配・通販 全国有機農法連絡会(山形)
  5. 昔ながらの素朴な味☆ 手作り沢庵 cookpad

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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